見出し画像

山口ペイトリオッツ 挑戦の軌跡 #10

今節の対戦相手は長崎ヴェルカ。推しも推されぬ、今シーズンの本命チームである。今シーズンよりB3リーグへ参入することとなったが、B1チームに在籍している選手を積極的に獲得。ここまでリーグ戦では1敗、天皇杯でもB1のサンロッカーズ渋谷を撃破している。そんなビックチーム相手にホームでどのような戦いができるか、山口としては試練の2試合となるであろう。


GAME1
山口73-98長崎
(21-17,13-28,21-26,18-27)

-長崎ディフェンスの強度の高さに苦しめられる山口

山口のスターティング5は23.モーガン、11.山口、1.山下、12.サンプソン、7.エヴァンスというお馴染みのメンバー。長崎は4.狩俣、14.髙比良、1.松本、5.ボンズ、32.カーターの5人だった。1Qは山口が常に先を行く展開。チームを引っ張ったのは11.山口だった。ミドルショットで先制点を奪うと、その後もスリーポイントを2本沈め8得点の活躍を見せた。また、彼だけでなくチームとして、23.モーガンのドライブを起点に得点を挙げる形も見られた。ディフェンスは長崎の最初のポゼッションから2-3気味のゾーンを採用していた。マッチアップ優先のゾーンという印象は前節から変わりはなかったが、長崎はシュート確率に苦しんでいるように見えた。その中でも5.ボンズを中心にオフェンスリバウンドからのセカンドチャンス山口がゾーンを敷く前の速攻で試合を繋いでいた。最後は、0.山田がスリーポイントを沈め21-17と山口リードの1Qとなった。

2Qは長崎がディフェンスで試合を変えた。ディフェンスだけで試合をひっくり返したと言っても過言ではない展開となった。2Qの長崎はオールコートで山口のボールハンドラーにプレッシャーをかけるディフェンスを徹底していた。2ポゼッション連続で、高い位置でのボールハントによる得点で21-21と同点に追いつくと、山口のターンオーバーを誘い速攻という形で26-27と試合をひっくり返すことに成功する。この間の長崎は、チームとして作ったショットがことごとく落ちており、オフェンスリバウンドも確保できないという流れだった。それでも、山口のターンオーバーを誘ってからの得点だけで試合をつないでいた。山口は、長崎のディフェンスに対して相手コートに入るまでに一苦労、相手コートに入ってもペイントタッチに更に苦労という展開になっていた。2Qだけでターンオーバーが11個という数字にその苦労が表れていると言えよう。結局、2Q通して長崎がディフェンスで山口を圧倒、終盤に0-9のランを作り、34-45のスコアで前半を折り返した


-アウトサイドシュートも当たりだし、リードを広げた長崎

3Qのメンバーは互いにスターティング5と同じとなった。大きな流れとしては前半と同様だった。長崎がディフェンスからテンポの速いオフェンスで得点を重ねる展開である。前半不調だったアウトサイドシュートも4.狩俣が連続で決めていた。対する山口は、2Qよりもボール運びができるようになったことでチームオフェンスが少しずつ出せるようになっていった。しかし、作ったショットが決まらず、ディフェンスリバウンドを確保した長崎に走られて点差を広げられてしまう。結果、3Qの中盤で44-62と18点の差がついた。終盤、4.狩俣以外のシュート精度が上がってこない長崎が、ディフェンスリバウンドを拾った山口に走るチャンスを与えてしまい50-62と点差を詰められる場面もあったが、最後は22.近藤のスリーと山口のターンオーバーからのイージーショットで再び突き放し、55-71とした。

4Q、ここまでスリーポイントショットが5/29と、アウトサイドシュートに苦しんでいた長崎についに火がついた。4Qだけでスリーポイントが7/11と大当たりとなった。中でもこの試合プレータイムがなかった21.松井が3/4と高確率で決め、印象に残る活躍を見せたと言えよう。山口は11.山口の2本のスリーと12.サンプソン、7.エヴァンスのアタックで得点は挙げるものの流れを変えるまでには至らず。前半は苦しんだように見えた長崎が、終わってみれば73-98と大勝を収めた。


-苦しい試合で流れを変える術を持つ長崎

GAME1は長崎がアウトサイドのシュートタッチに苦しんだ試合だったと言える。シュートは水物とは言え、ここまで入らないと流れを掴むのは難しいのではないだろうか。その中でもオールコートでの激しいディフェンスとテンポの速いアタックで山口にリズムを掴ませず試合をつないでいく姿は、お見事としか言いようがなかった。悪いながらもディフェンスで試合のリズムを変えられる長崎は、首位を走っているだけのある安定感のあるチームだと感じた。

GAME2は山口が長崎のテンポやプレッシャーに慣れ、自分たちのプレーが出せるかどうかにかかっていると感じる。GAME1では、山口が22個のターンオーバーを出し、長崎に16個のスティールを許した部分が試合結果に大きな影響を与えたと思う。この数をどうやって減らすのか、そこに注目してGAME2を楽しみたい。


GAME2
山口89-97長崎
(25-18,21-28,16-26,27-25)

-山口のゾーンディフェンスと一進一退の攻防

GAME2のスターティング5は山口は前日と同じ5名。長崎は4.狩野に代えて3.山本を起用した。先に流れを掴んだのは山口。この試合も採用したゾーンディフェンスからターンオーバーを誘い、速攻の形で得点を挙げていく。23.モーガンのスティールからの得点で先制すると、終盤も同じような形で64.井手や8.土居が得点を挙げていた。
素人目にはどの辺りが違うのかが分からないが、山口のゾーンディフェンスがGAME1よりも明らかに効いていた1Qだった。足がすごく動いていた印象で、インサイド・アウトサイドともに素早いローテーションで長崎に自由を与えなかった。そのような流れで立ち上がりに山口が9-4とリードを奪ったものの、セカンドユニットが出てきてから長崎が押し返す。前日プレータイムが短かった21.松井と23.野口が投入直後にスリーをそれぞれ決め、そこから0-11のランを作り9-15と逆転。しかし、終盤再び山口が流れを掴み、25-18と7点リードで1Qを終えた。

2Qは互いにアウトサイドシュートが飛び交う展開となった。GAME2も引き続き21.松井と23.野口以外はアウトサイドシュートに苦しんでいたように見えた長崎だったが、2Qの立ち上がりで4本のスリーポイントを沈めて見せた。1.松本から始まり24.ボンズが2本、そして32.カーターとスターティング5の選手についに当たりが出た。ただ、山口もスリーポイントシュートを決め返し一進一退の攻防に。12.サンプソン、11.山口、25.田中が2本と山口も4本を沈めた。終盤は一転して良い守備からのファストブレイクとインサイドでの攻防が見られた。長崎は34.ギブスが7.エヴァンスと94.延原相手にインサイドを支配し5得点、山口も12.サンプソンが終盤に5得点を挙げた。2Qは長崎が盛り返し46-46と同点で後半を迎えることとなった。


-引き離す長崎と執念の粘りを見せる山口

3Q、長崎が一気に突き放しにかかる。山口の最初のオフェンス、7.エヴァンスのポストプレーに対して32.カーターと5.ボンズでダブルチームを敢行しターンオーバーを誘発。直後のオフェンスは24秒バイオレーションでターンオーバーとなってしまうものの、その後のポゼッションからはディフェンスとトランジションで山口を圧倒した。スティールからのファストブレイクで4点、ディフェンスリバウンドを拾った5.ボンズのランニングプレーから4点を挙げ開始早々0-8のランを作った。すると、オフェンスリバウンドからのセカンドチャンスでもポイントを重ね、引き離す展開に。中盤から終盤にかけては、ベンチから出てきた21.松井と22.近藤にスリーポイントが飛び出し53-72と大きなリードを奪った。しかし、残り1分15秒から山口が反撃。12.サンプソンのレイアップで2点を返すと、直後に25.田中のスティールから0.山田のスリーポイントが生まれ14点差に。そして25.田中のドライブから94.延原のフローターが決まると、またまた25.田中のスティールから12.サンプソンがフリースローを沈め、9-0のランを作った。これで62-72、10点差で4Qへ突入した。

4Qは白熱の展開。21.松井のスリーポイントとスリーポイントシュートファウルによるフリースローで長崎が6点を先に奪う。山口0.山田がスリーを1つ返すも長崎23.野口がスリーを決め返すという流れに。GAME2では長崎のベンチメンバー21.松井と23.野口の要所での活躍が大きかったと感じる。この2人が山口の流れを切り、長崎の流れを作ったとも言えるのではないだろうか。その後は11点差から16点差ぐらいの間を行ったり来たりする展開。互いにターンオーバーやリバウンド確保からのアーリーオフェンスを中心に得点を挙げていた。終盤残り76-87から5.ボンズがリバウンドから5得点を挙げ、76-92と16点差になり残り2分27秒。勝負あったかに思われたが、そこから山口が最後の反撃を見せる。11.山口のスティールからのレイアップと直後に11.山口のスリーで再び11点差に戻すと、ディフェンスリバウンドを拾って12.サンプソンのトランジションスリーと25.田中のスティールからのレイアップで86-92と6点差まで迫る。ここからファウルゲームを仕掛ける山口だったが34.ギブスが4本のフリースローをしっかり決め万事休す。突き放されかけた場面をディフェンスで何度も盛り返した山口だったが、89-97と惜しくも届かず長崎が連勝を飾った。


-確かな差を見せつけられた4連戦、希望の見えた4連戦

ビックチームの千葉・長崎との連戦は4連敗という結果になった。しかし、前を向ける4試合だったと思う。特に4連戦最後の長崎とのGAME2は、3Q4Qと大差がついてもおかしくないような展開の中で、足を動かしてディフェンスを頑張り追い上げを見せてくれたし、最後は何か起きてもおかしくない雰囲気まで持っていってくれた。前半は良い入りを見せながら後半突き放された千葉とのGAME1から考えると、長崎とのGAME2は大きな成長を感じることができた。

ただ、結果としては大きな点差をつけられての負けが多く、まだまだ足りない点があることも事実である。B3は1巡目と2巡目の対戦順が同じなので、シーズン後半にまた千葉・長崎との連戦が待っている。その連戦までに更なる成長を遂げ、そこでは結果を掴み取れるように、そんな戦いを繰り広げてくれることを期待してこれからのシーズンを追いかけて行きたいと思う。

次回の対戦ではやってくれそうな期待は持てる、そんな4試合だったのではないだろうか



*文中敬称略

この記事が参加している募集

#スポーツ観戦記

13,500件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?