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J2リーグ第2節 FC琉球 vs レノファ山口FC 感想【フォア日記05】

2021年のレノファの第2節、FC琉球戦は1-2で敗戦となりました。今回はその試合の感想です。


磐田戦とは違う姿を見せた琉球

試合を見ながら、今回の記事を書くにあたり開口一番言わないといけないことがあると思いました。それは「琉球さん、ごめんなさい!お見事でした!」ということです。

なぜ謝らないといけないかは以下の記事を見ていただきたいのですが、磐田との開幕戦とは別の顔を見せた上で素晴らしい戦いを見せていたからです。

磐田との試合では、非保持でアクションを起こすことがほどんどなくブロックを構えて待つ選択をしていました。それがあったので琉球は非保持でアクションを起こさない、起こすことができないのだろうかと思っていたのですが、そんなことはありませんでした。

山口との試合では、開始1分で先制点を奪った後、しばらく厳しい時間が続いていました。ボール保持ではサイドバックへのパスを山口にサイドバックに咎められ、非保持では相手のサイドバックにプレスをかけられない状態でした。

しかし、16分49秒からのシーンと18分53秒からのシーンの2場面で、立て続けにプレスをかけ山口のビルドアップを阻害することに成功しました。個人的にはここから前半の潮目が変わったと思っていて、この後も主に左SHの清武が右CBの楠本にプレスをかけることで流れを引き戻すことに成功しました。

これは、磐田戦で見せた琉球の姿とは異なるものだったと思います。

そして、流れを掴んだ中で完璧なビルドアップから追加点を奪いました。このシーンは左右に展開しながら山口を同サイドに寄せたところが大きなポイントでした。直接的な起点は、風間宏希から知念へパスが出たところからでした。その瞬間、左SBの沼田が内側を駆け上がるアクションを起こします。そして、大外でフリーになった清武へ綺麗なパスが通り、スピードを落とすことなくマイナスの阿部のシュートまで持ち込みました。逆サイドから詰めていた田中の動きも含め完璧なゴールでした。

結果的に2-0で折り返すことになりましたが、ここまでは琉球の良さが目立つ展開でした。


論理的な修正と左サイドの関係

山口側から見た際、前半で厳しかったポイントは、やはり琉球のプレスをまともに受けてしまっているところでした。琉球としての嵌めどころであるサイドバックのところで狙い通りに窒息させられてしまう点と前線の2枚が裏抜けタイプで長いボールを収めてもらうことがイメージしづらい点、この2点が要因かもしれないと思っていました。

琉球がここまで出てくるのであれば、長いボールを使わないと流石に厳しいので、とりあえず後半開始からポストプレーヤータイプのFWを入れたいと私は感じていました。

その後半開始のタイミングで渡邉監督は2枚投入という決断を下しました。FWに梅木、右SBに田中を入れ、池上と高井のポジションもそれぞれ変更しました。

さらに既存の選手の立ち位置にも修正を加えました。ボール保持の際、左SBの石川を内側に立たせ、高木を大外にという関係を明確にしました。いくつか見せた修正策の中で特にポイントだったのがこの左サイドの関係だったと思います。

琉球のSHにかなり強めにプレスにこられていた前半でしたが、サイドバックを内側に立たせることによって自重させることに成功し、迷う風間宏矢ところを狙い、チャンスを作っていきました。

左サイドが生き返ったことで山口が流れを掴み、得点を奪いました。得点シーンは、右から左への展開となりましたが、その際にテンポを落とすことなく琉球の守備が整う前に佐藤謙介が素早く高木にパスをつけたプレーも良かったです。その先はまさに高木が外、石川が内という関係からペナルティエリアに進入し、最後は草野がしっかり仕留めてくれました。

その後も山口がペースを掴んでいたのですが、少しずつ少しずつ琉球が形勢を戻していきました。本当に少しずつだったと思います。その要因は1つではなく、様々なことが影響していました。

まず、琉球が選手交代で風間宏矢を下げ、池田を右SHに持っていったことが挙げられます。風間よりも後ろ向きで守備にエネルギーを使えるのが池田だと思うのですが、それによってやられていた右サイドの守備のテコ入れを図ってきました。

そして、飲水タイムで山口が高木と高井のポジションを入れ替えました。この狙いは最後まで分からなかったのですが、ここまで有効だった高木と石川のコンビが解体されることになりました。

最後に佐藤謙介の交代です。この交代によって、左サイドバックが新保になることに加え、石川が右サイドへ移ることとなりました。

今挙げた要素のどれか1つが決定的に作用したわけではないのですが、それぞれが複合的に絡み合ったのか、反撃の糸口になった左サイドはまた勢いを失ってしまいました。その際、何か別の糸口を見つけられれば良かったのですが、それもなかなか見つけられず敗戦となりました。


そんなに簡単じゃない、まだまだこれから

負けはしましたが、随所に良いプレーが見られましたし、チームとしての狙いや論理的な修正もピッチ上で表現できていました。ですので、そんなに悪い試合ではなかったと思います。こういった試合で勝点を取るためにはもう少し時間がかかるのでしょう。

そう考えるポイントの1つとして、まだ属人的な要素が強いことを挙げたいです。誰かがいなくなった際に、チームとして表現したいことを別の誰かが入っても同じように表現できるかどうか。また、違う人が入った時にまた別の形で相手に脅威を与えられるかどうか。こういった点がまだまだ伸び代なのだろうと感じました。

例を挙げると、佐藤謙介がいない時でしょうか。個人的には彼のチームと言えるぐらい重要な存在だと感じています。ビルドアップ時に最終ラインに下りて攻撃の第1歩となるだけではなく中盤から前線へ縦パスも送るシーンも多くあります。そんな存在がいない時にチームとしてどういう形を見せ、チャンスを作っていくのかという点は今後を楽しみにしたいと思っています。


今年のJ2もやはり簡単にはいかないと感じる試合になりました。次は開幕連勝の新潟との試合になります。厳しい相手になりますが、ホームみらスタでの試合ですから是非とも勝利を挙げて欲しいと思います。


*文中敬称略

*この試合のハイライトはこちら。


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