3度目の正直なるか!? 〜J2リーグ第38節 レノファ山口FC vs ジェフユナイテッド市原・千葉 プレビュー〜
J2リーグ第38節レノファ山口FC vs ジェフユナイテッド市原・千葉のプレビューです。
前節の振り返りはこちらです。
対戦成績
これまでの対戦成績は見ての通り千葉の3勝・山口の2勝・2つの引き分けとなっています。山口のホームでは山口の1勝2敗となっており千葉が連勝中です。
スコアを見ていくと両者ともに得点がよく入るカードであることが分かります。特に千葉は無得点に終わった試合が1度もなく7試合で14得点を挙げています。山口も無得点の試合が2試合あるものの4得点以上の試合が2試合あるなど7試合で13得点を挙げています。両者のチームスタイルなども考えれば非常に納得のデータかと思います。今回も点の取り合いになるのでしょうか。
ジェフ千葉の現状とあれこれ
千葉は前節の千葉ダービーに敗れ9勝12分16敗の勝ち点39で17位に位置しています。降格圏の21位の栃木とは勝ち点差が9あり残留争いに巻き込まれることはなさそうですが,「まだ何かあるか分からない」かもしれない・・といった状況なのではないでしょうか。直近5試合の成績は1勝2分2敗となっています。またスコアを見てみると完封したと思ったら次の試合で複数失点をするというように良い時と悪い時の差が大きいのだろうと想像できます。
次に夏の移籍の話題ですが,千葉はその動きは少なくガンバ大阪から米倉恒貴をレンタルで獲得したのみとなっています。放出は山本真希と古川大悟の2名です。
さて,千葉の数字紹介に移ります。今回は2つです。
まずは千葉の時間帯別の得点と失点についてです。そもそも千葉の今シーズンの得点数は42,失点数は58となっています。ここではそれぞれを時間帯別に見ていきたいのですが,その内訳は以下の通りです。
前後半で分けると得点が前半20後半22,失点が前半18後半40となっています。得点については前後半であまり差はない一方で失点はかなりの差があります。つまり後半に多すぎる失点の部分が千葉の問題であると言えそうです。
さらにこの時間帯別の得失点で特に注目すべきは76-90分そして後半アディショナルタイムの得失点です。
千葉のこの時間帯の得点は5+1で計6得点です。これはワースト2位タイの少なさです。一方失点は14+4で計18失点となっています。これはリーグ2番目の多さです。この時間帯だけでの得失点差が-12なっています。おそらく試合終了間際で決勝点を奪われたり同点に追いつかれたりして勝ち点を落としている試合が多くそれが苦しいシーズンになっている要因の1つではないかと思われます。
なぜこの数字に注目したのかというと山口がこの数字をかなり意識した中で試合に臨んでくる可能性があるからです。山口は京都戦で京都の後半残り15分の失点の多さを意識して試合をしておりそれが頑張って守る力になっていたのではないかと思っています。なかなか点が取れず我慢の展開になっても残り15分で必ずチャンスがくると分かっていれば頑張る力も大きくなると思うからです。
-完封かつ相手のシュートも押さえ込んだ。守備についてはどこが一番良かったか?
時間とスペースを与えると、京都さんは非常にクオリティーの高い選手が揃っていますので、僕らが奪えない時間が続いてしまう。彼らの最終ラインにプレッシャーを掛ける。彼らが3枚でも4枚でも彼らの最終ラインにプレッシャーを掛けて、そこから出てくるパスの精度を下げさせる。もちろん、前線に非常にドリブルの能力があり、個人で打開できる選手が揃っていますので、そこに良いボールを入れさせない。中を締めて外に出させる。そういうことを90分、途中から出た選手も含めて完璧にこなしてくれたと思います。
ハーフタイムで相手のシュートが1本もないということは、僕らの守備がはまっている。自信を持って後半も、疲れるかもしれないけれどもラスト15分が勝負だという話をしていました。京都さんのデータを見ると、ラスト15分での失点の数が一番多い。僕らはラスト15分で戦える、走れる強みを持っていますので、僕らは残り15分になったときにイーブンの戦いができていれば十分に勝つチャンスはある。僕らのリズム、僕らのペースで試合に進めるぞという話はしていたので、今日はミーティングで言ったことを選手たちがちゃんと理解して、感覚、本能、才能だけではなく、ちゃんと頭を使ってサッカーをしてくれたことが非常に嬉しく思います。
ですからこの試合の山口も千葉のこのデータは意識する可能性があります。千葉としては得意な前半は山口の苦手でもあるのでその前半のうちに勝負を決めたいところだと思います。
もう1つが数字から浮かび上がる注目選手の紹介です。その選手とは堀米勇輝です。前回の山口戦で退場処分となってしまった堀米はここまでリーグ戦24試合出場と試合に出続けているわけではないのですが,出場時はチームに大きく貢献をしています。注目すべきは出場時のチームの平均得点とスタメン出場時のチームの平均獲得勝ち点がいずれもチームNo.1であるということです。
これは天皇杯も含めての数字になるのですが,千葉の1試合の平均得点が1.11であるのに対し堀米出場時は1.31,チームの1試合の平均獲得勝ち点が1.03であるのに対し堀米出場時は1.5となっているのです。
前節の千葉ダービーでは後半開始からの出場となり結果は残せませんでしたが,そこから立ち直りを図る山口戦でのスタメン出場は数字的に見ると大いにあり得るのではないかと思います。彼の出場がどのタイミングであるかということに注目です。
レノファ山口の現状とあれこれ
山口は前節の鹿児島戦を今シーズン初のスコアレスドローで終え12勝8分7敗の勝ち点44で14位となりました。直近5試合は2勝2分1敗と4試合負けなしの状況と調子が少しではありますが上向いてきたと思います。
そんな山口の数字を2つご紹介します。
まずはホーム戦の連勝記録についてです。山口は現在ホーム3連勝中です。今節の千葉戦はホーム4連勝がかかった試合となります。実は千葉戦に勝ってホーム4連勝となればJ2昇格以降では最長の連勝記録となります。これまで山口はJ2での戦いにおいてホーム連勝記録は3が最長です。J3の戦いも含めれば最長記録は8となるのですがJ2に昇格して以降は3が最長です。
ホーム3連勝は今回が3度目です。1度目は2016年の4月から5月にかけての讃岐・千葉・群馬相手の3連勝でした。この時の4連勝チャレンジの相手は金沢で0-1での敗戦となりました。2度目は昨年の5月から6月にかけての東京V・讃岐・岡山相手の3連勝で4連勝チャレンジの相手は横浜FCでした。結果は0-3での敗戦となりました。
今回で4連勝チャレンジは3度目となります。過去2戦は1得点も奪うことができていませんからまずは得点を取ること,そして3度目の正直で勝利となることを願いましょう。
さて山口の方でこの試合の注目選手をピックアップするならばGKの吉満大介となるでしょう。なぜならこの試合がJ2通算50試合目の1つの節目となるからです。
吉満はキャリアを栃木でスタートさせその2年間でJ2では1試合,J3では30試合(さらに入れ替え戦の2試合)に出場しました。そして17年に山口へ移籍し最初の年は8試合,18年は17試合に出場しました。今年は開幕スタメンとなったもののその後は怪我があり離脱する期間がありましたが16節の水戸戦で復帰してからはスタメンフル出場を続けています。今年はここまで23試合に出場し,現在J2通算49試合出場となっています。
失点数が多い山口ですが吉満の貢献は非常に大きく試合の中でビックセーブを見せて流れを持ってきたり攻撃の面で彼のキックからチャンスが生まれるシーンもあったりしています。節目となる50試合目の出場を完封勝利で飾ることができるのでしょうか。
展開予想
予想スタメンはこんな感じです。山口は左SBが川井なのか楠本なのかというところが注目だと思います。千葉は前節の負けからどのくらいメンバーを変更してくるのかという部分がポイントになりそうです。特にボランチの鳥海のところは変更があるかもしれません。引退発表をした佐藤勇人のスタメンも十分に考えられるでしょう。
さて千葉の前節は柏との千葉ダービーでした。結果は0-3での敗戦,内容的にも柏のゲームでした。特に試合の終盤は千葉の選手がボールを追っても柏からボールを奪えず反撃のチャンスすら作ることができない展開でかなりのダメージがあったと思います。まずこの千葉ダービーからどれだけ気持ちの部分で立て直しができているのかが山口戦のポイントになるはずです。
千葉は2トップからかなり強めのプレスで柏からボールを奪おうとしていました。もちろん個人のプレスの強度は高いのでそこでボールを奪えることもあるのですが,チームとしての連動が足りず前進を許してしまうケースが度々見られました。特に柏のアンカーの三原にボールを入れさせないように2トップがプレスをかけようとするもののボールを三原に入れられてしまうシーンは印象に残りました。試合開始最初のシーンはまさにそのプレーでした。
山口としては千葉のプレスの強度に対してボールを失うことがあるかもしれません。そうならないためには自信を持ってプレーすることがまず重要だと思います。その上で千葉のプレスにある穴をチームとして突いていけるかどうかを見ていきたいと思います。
逆に千葉の攻撃ですが,これも柏に完璧に対策をされて千葉ダービーではなかなか良さを出せていませんでした。柏はこの試合に4-1-4-1のシステムで臨み千葉のダブルボランチを江坂とヒシャルジソンで消しにいきました。これが見事にハマり千葉は前進することが難しそうに見えました。
この対策によって千葉はボランチにボールを入れられないのでCBがボールを持つ時間が増え,選択肢が少ない中でSBにボールを預けたところを瀬川とクリスのプレスで奪われるという流れになってしまいました。さらに,ボランチにボールが入らないところをサポートしに下りてきた工藤に対して使うでもなく前線のクレーべにロングボールを蹴ってこぼれ球を拾う人が誰もいなくなるという悪循環も生まれていました。
ですから,山口も千葉のボランチをどう消すのかという点がポイントになりそうです。しかし,山口に柏と同じことはできませんし千葉も2試合連続で同じやり方で負けるわけにも行きませんから何かしらの対策をしてくるはずです。つまり前節の千葉ダービーを踏まえた上でお互いがどんな手を使うのかという点が見どころになると見ています。
千葉のリバウンドメンタリティと山口のここ最近のホームでの勢いが試される1戦になると思います。お互いに苦しいシーズンを過ごしてきた中で最後良い形で来年につなぐためにも勝ちたい試合になるでしょう。良い試合を期待します。
*文中敬称略
*データは以下のサイトのものを参考にしています。
Football-LAB (http://www.football-lab.jp/kyot/preview/)
Soccer D.B.(https://soccer-db.net)
J.League Data Site (https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
transfermarket(https://www.transfermarkt.com)