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消化試合ではなく貴重な1試合 〜J2リーグ第39節 レノファ山口FC vs FC琉球 プレビュー〜

J2リーグ第39節レノファ山口FC vs FC琉球のプレビューです。

前節の振り返りはこちらです。


対戦成績

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山口は前節の勝利で琉球は水曜日に行われた鹿児島vs岐阜の試合結果によってともにJ2残留が決まった直後の対戦となります。J3とJ2での対戦成績は山口から見て3勝1分とリードしている状況です。両者は今年の天皇杯の2回戦でも対戦があり,そこでも山口が2-1で勝利してます。琉球とすれば来年も対戦がある山口への苦手意識を残さないためにも勝利が欲しい1戦となります。

天皇杯での対戦も含めてスコアを見てみると山口は全ての試合で複数得点をあげてることが分かります。1試合の平均得点が3点というおかしな数字になっています。今回の対戦も両者のチームの特色を考えれば打ち合いは必至かもしれません。


FC琉球の現状とあれこれ

スライド2

琉球は現在11勝10分17敗の勝ち点43で15位に位置しています。14位の山口とは勝ち点差が4であり1つでも順位を上げるためには大事な直接対決となります。直近5試合の成績は1勝2分2敗となっています。対戦相手を見ると自分たちより順位が上のチームとの対戦で勝ち点を落とし順位が下のチームから勝ち点を獲得していることが分かります。

夏の移籍では活発な動きが見られました。スライドにまとめましたのでご覧ください。

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主なところで言えばまず小野伸二の加入でしょう。これは言うまでもありません。そして鈴木孝司の放出も大きなニュースでした。前回の山口戦でも2ゴールを挙げましたね・・。

また山口サポにとっては鳥養の移籍が最も大きな話題であろうと思います。彼の維新でのプレーを楽しみにされていた方が大勢いたと思いますが,全治3ヶ月の負傷でこの試合でプレーすることは不可能になってしまいました。残念ではありますが来年プレーが見られるその時を待ちましょう。同時に小野伸二も負傷でこの試合のプレーは不可能だと思われます。これまた残念ですが次の機会に期待です。


では琉球の数字紹介に参ります。今回は2つです。

まずは時間帯別の得失点についてです。琉球はここまで総得点53,総失点73となっています。得点はリーグ8位タイ,失点はワースト1位となっているのですが時間帯別でそれらを見ていきましょう。

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まず得点は後半の残り15分とアディショナルタイムに圧倒的に多いことが分かります。合わせて17ゴールが生まれている時間です。これはリーグ3位タイの数字です。またその他の時間帯に差はありません。

次に失点は全体的に後半の方が多いことが読み取れます。さらに前半と後半の残り15分とアディショナルタイムにはそれぞれ失点が多いことが伺えます。前半残り15分の16失点はリーグワースト,後半残り15分の20失点は千葉と並んでリーグワーストタイとなっています。

ここから読み取れることは,試合終了残り15分はオープンな展開になりやすく点を取られる可能性も高くなるが点を取ることもできるので明確なウィークポイントではなさそうだということです。京都戦や千葉戦はこの時間を意識して山口は戦っていましたが琉球に対してはこの時間よりも前半の終了間際の方を意識したほうが良いのではないかと思います。

なぜなら前半残り15分の時間帯が得失点差のマイナスが最も大きいからです。16失点の一方で7点しか取れておらず得失点差が-9になっています。

琉球を追っているわけではありませんから明確になぜということは分かりませんが,日曜日の試合を観るときに前半残り15分の時間帯になぜ得失点差が-9になっているのかを考えながら観るのも1つの楽しみ方だと思います。


もう1つは上門知樹の数字です。鈴木孝司が抜けた後の琉球で攻撃の軸に成長した選手です。高卒4年目の今年ついにブレイクしました。上門は昨シーズンまでJ3通算35試合で2ゴールの成績でした(うちスタメン出場が12試合)。それが今年J2の舞台になって35試合で13ゴールの成績を残しています(うちスタメン出場が24試合)。鈴木孝司に次いでチーム2位のゴール数です。

DAZN週間スーパーゴールに4回も選ばれていることから分かる通りシュートのパンチ力がまず魅力的なところですが,前節の大宮戦を観て感じたことは間で受けるポジション取りのうまさとターンの技術でした。先制点のFKにつながったファウルを受けたのも上門でしたし,相手のボランチの背後に常に立っているところからボールを受けて前を向くプレーに注目です。山口とすれば受け渡しをしっかりすることが重要だと思います。ちなみに今年の天皇杯での対戦でゴールを奪っているのも上門です。


レノファ山口の現状とあれこれ

スライド3

山口は前節千葉相手に勝利を挙げ13勝8分17敗の勝ち点47で14位に位置しています。直近5試合の成績は3勝2分,5試合負けなしの状態です。今年の負けなしは6月から7月にかけての6試合が最長でそれ以来の5試合負けなしとなっています。

山口の数字を簡単に紹介します。

まずはホーム戦の連勝記録です。前節の勝利でホームでの連勝記録が4になりました。これはJ2昇格以降初めてのことです。ですからこの試合はJ2昇格以降初めての5連勝チャレンジとなります。次に目指すのはJ3時代に達成したホーム8連勝でしょうか。まあ1つずつですね。

一方で11月のホーム戦はJ3時代も含め勝ったことがありません。ただ,11月にホームで5試合しか行なっていませんのでどうでもいい数字ではあると思います。しかし,来週のプレビューのために一応報告しておきます笑。とはいえ悪い数字はないほうが良いわけですし,今年は9月のホーム初勝利を達成しましたから11月のホーム初勝利も達成してもらいましょう。


そして,山口のダブルボランチについて言及しておきましょう。前節の千葉戦において実況の寺西さんが高が出場した試合の成績についてコメントされていました。高は夏にガンバから加入して9試合に出場しその成績は5勝2分2敗となっています。9試合で勝ち点17,1試合平均1.89の勝ち点です。チーム平均が1.24ですからこれは素晴らしい成績です。また高の相棒を務める佐藤も1試合平均の勝ち点が1.94とチームトップの数字です。

これはこの2人の中盤での貢献が表れている数字と言えるかもしれません。中盤でボールを奪える選手がいることで三幸が1つ前のポジションでプレーできるなどこの2人が固定されてから試合が安定するようになったと思います。現在の好調は中盤の2人の活躍なしには語れませんので,この試合でも2人のプレーに注目しましょう。

*追記します。

今節佐藤健太郎は累積警告のため出場停止となっています。つまり,平均獲得勝ち点がチーム1位の中盤の選手を欠くこととなります。当然高にかかる期待が大きくなるわけですが代わりに出る選手がどうなるのかが1番の注目ですね!


展開予想

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こちらが予想スタメンです。琉球はSBに怪我人が多くこの試合も右SBは上原だと思われます。またこの布陣から変更があるとするとGKのカルバハルのところかと思います。前々節の栃木戦はカルバハルでしたが前節の大宮戦は石井でしたので,この試合もどちらか分かりません。山口は出場停止の佐藤の代わりに誰が入るかですね。ボランチにそのまま吉濱を入れるのか三幸を1列下げて前の選手を入れるのかといったところでしょうか。私は後者で予想してみました。やはりチームで1番点を取っている選手をスタメンで観たいです。

琉球の前節は大宮との戦いでした。試合は2-3での敗戦でしたが琉球も悪い試合をしたわけではなかったと思います。この試合の大宮のシステムと山口のシステムが違いますのでどこまで参考になるかというところはあるのですが,琉球vs大宮の試合を踏まえた注目ポイントを挙げていきたいと思います。

まず山口の守備のフェーズでは山口がプレスをかけた時に敵陣でどれだけ奪えるかに注目です。琉球はリーグ屈指のディフェンス力を誇る大宮のプレスに対してもボールを後方から繋いでいくことを目指していました。そしてプレスを剥がしてゴール前まで進入する形も作っていました。ですから,山口が相手になったとしても琉球は別に変わらず繋いでくることが予想されます。ここの攻防でどちらが上回っているかを見ると良いと思います。

そして,自陣にブロックを作って守る時にはボランチの脇で常にボールを受けることを狙う上門風間宏矢に注意が必要です。琉球は相手が自陣に構えた時には後方で上里が絡みながら遊び球を使って相手が出てくるところを待ちます。そこで相手が出てくればその間に斜めのパスを通して一気にスピードアップを図ります。特に上里から上門のホットラインに警戒しなくてはなりません。大宮戦の2得点目のシーンは中ではなく外を崩しましたが,遊び球を使って相手のマークをずらし河合が茨田を外した瞬間に1本のパスで突破をして見せました。

山口としては焦れずに中を締めてブロックを作ることも必要です。このフェーズではどちらが我慢できるかがポイントです。山口はブロックを作り間を空けないでいられるかという我慢琉球は間が空いてから縦パスを入れられるかという我慢の勝負になるでしょう。

一方で山口の攻撃では琉球が我慢できずに無理に縦パスを入れてきたところを引っかけてカウンターが狙い所だと思います。琉球はボール保持の際,SBが高い位置を取り前線に6人が並ぶこともあります。そうなった時に縦パスを引っかけられるとカウンターが止めにくくなります。大宮の1点目と3点目のシーンは琉球のボールを奪われた後の切り替えのところで大宮に上回られた形でした。

山口としては奪った後の1本目のパスが重要です。素早く宮代に入れることができるかどうかに注目です。宮代ならば背負ってボールを受けてもターンして前を向けますし,最悪でもファウルをもらってくれます。宮代を起点にカウンターが発動するシーンが増えると得点のチャンスが増えるのではないかと思っています。


お互いに来年戦う舞台が決まった直後の試合です。第三者的には注目度の低い「消化試合」かもしれませんが,当該チームに関わる人にとっては大事な1試合であることには変わりません。このチーム,このメンバーでの試合が見られる機会はあと4試合しかありません。1試合も無駄にすることはできません。貴重な残り4試合,一瞬一瞬を目に焼き付けたいと思います。


*文中敬称略

*データは以下のサイトのものを参考にしています。
 Football-LAB (http://www.football-lab.jp/kyot/preview/)
 Soccer D.B.(https://soccer-db.net)
 J.League Data Site (https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
 transfermarket(https://www.transfermarkt.com)

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