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「夫」を忘れた夫 (再編集)

以前、書いた記事ですが・・・。
うりもさん企画に参加したくて、短く再編集しました。
(前に読んでくださった方々、しつこくてゴメンナサイ)

2度目の昇華。
恥の上塗りとも言う。



忘れたいのに、忘れられないことがある。

忘れちゃいけないのに、忘れてしまったことがある。

忘れたつもりだったのに、忘れてなかったことがある。

無意識は、日々の意識の積み重ね。

記憶は、意識と無意識のあいだを、はかなく漂う。



な〜んて、カッコつけてスタートしましたが、
まぁ結論から言うと、「夫」という漢字を忘れてしまったという、情けないヨタ話なんですけど・・・。 (汗)

封印し、忘れたかった、黒歴史であります。


さて、25、6年前のはなしです。

嫁さんが虫垂炎になり、すぐに入院、手術が必要になりました。
あれよあれよと事が運び、私はナースセンターに呼び出される。

「ご主人、今のうちに同意書にサインお願いしますね。」
「あっ、ハイ。」


地獄は突然やってくる

名前書いて、住所書いて、え〜と続柄、続柄・・・。
目の前にいる、若くて可愛い (これセクハラですよ〜) 看護師さんが、「普通にオットでいいですよ」と、合いの手を入れてくれる。

「ですね、オット、オット、えっ、おっと、おっと、あれっ、オット・・・」
謎の呪文を唱える私。


何故か「夫」が出てこなかった!!

もう、アタマの中が真っ白である。
見かねた、若くて可愛い (だから、それダメ) 看護師さんが、「ににひと」ですよ って、ささやいてくれる。

「え〜と、ニニヒト、ニニヒト、ににひと???」
次の呪文を唱える私。

いちど飛んでしまうと、ヒントは役に立たないということを知りました。

このあたりから、ナースセンターにいる全ての看護師さんの視線を感じる。
見られている恍惚感と焦燥感のあいだで揺れる男心。(なんのこっちゃ)


彼女はついに奥義を発動した

「二人ですよ、ふ・た・り。」
「ふたりが合体したやつ。」

えっ、え〜、何を言っているんだ!!


ふ、ふたりが合体したヤツぅぅ〜!?

もう色々な意味で戦意喪失し、うなだれる私。

優しい看護師さんは、そっと私の左手を握り、手のひらに指で「夫」と静かに書いてくれたのでした。


その瞬間、全ての謎が解けました。

ついに呪文は成就され、二人は合体できたのです。 笑



とまぁ、30過ぎたオッサンが遭遇した、生き地獄の一部始終でございます。

「穴があったら入りたい」とか「消えて無くなりたい」とか、ホントにあるんだと実感した数分間でありました。 (滝汗)

あんなに恥ずかしい思いをしたのは、後にも先にもあの時だけです。
変な汗が、全身から吹き出してましたねぇ。
焦れば焦るほど、ってヤツです。

その後、ナースセンターの前を通る時には、小走りで・・・。 笑


ちなみに、嫁さんは

このことを知りません。
バレたら、どれだけバカにされることか・・・。

小学校からやり直しのヒゲオヤジ なのでありました。


では、では、また次回。 ありがとうございました!!