必殺食材仕分け人の料理と沈黙のおしゃぶり息子

なす、大根、えりんぎ、じゃがいも、えび、たまねぎ。

目の前にある食材で何品作ろうか。何を作ろうか。何食分できるかな。

毎日のことながら、できるだけ作り置きしつつ、工夫して新しい品に作り替えるのが日々の目標。自分は必殺食材仕分け人なんて思いこみながらやると、気分があがる。

目の前の食材とにらめっこしながら、皮むきをする。その間、ベビーゲートのすぐ向こう側は、隣接されたリビング。ほぼ同じ空間なのに、なぜ泣くのだろう。子供の線引き感覚は感心する。

泣きじゃくる息子をなだめつつ、時には聞かないふりしながら。寝る前だけと決めていたおしゃぶりで蓋をしてしまうことに少し心苦しくなりつつ。子供の泣き声というのは、どうしてこう、胸を締め付けられるのだろう。5分が限界。いや、3分が限界。

エビは、調理直前まで簡単でニンニクの風味がくせになるガーリックバターソテーと決めていた、のに、気が付くとエビを細かく刻み、ゆでててた玉ねぎを取り出して刻んで片栗粉、小麦粉、塩コショウ、マヨネーズ、牛乳と混ぜてエビ団子を作っていた、、、、

と、その時、どんどんTVの音が大きくなり始めた、、、振り返ると、おしゃぶり息子がリモコンの音量ボタンを思いっきり両手で押し続けている、、音量は瞬時にして大きくなり、気が付いた時は最大音量になっていた。耳をふさぎながらリモコンを奪い取る私。

音量を戻してほっとする。

しかし、このほっとした瞬間というのは、何かが起きる前兆でしかないこと、常に予測していかなければならない。息子の沈黙は、何かいたずらをしている証でもあるのだから。

おしゃぶり息子の沈黙に、はっとして、どきりして、冷や汗をかくのが常になった。

台所に散らばった作りかけの料理を見るたび、世界中の母親たちが経験している、育児の大変さを思い知る。

しかし、今回は、エビ団子は無事においしい献立となってくれた。

良かった。

反面、必殺食材仕分け人なんてテンションあげてた私は、息子の予測のつかない行動に、ジェットコースターのようにどきどきさせられてすっかり疲れてしまった。

もう全部さっさと投げ出して、今は、息子の隣でこうやってキーボードカタカタしているってわけです。

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