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【ライブハウスの人】 第1回/ゆいちゃむ(四谷アウトブレイク!・受付担当)

ライブハウスの人〜音楽を愛するライブハウススタッフに話を聴いてみた

コロナ禍で「ライブハウス」はとても厳しい状況を迎えています。それでも、そこで働くスタッフたちは創意工夫と努力を重ねながら、懸命にバンドマン、音楽ファンの居場所を守ってくれています。四半世紀近くライブハウスの現場を見てきましたが、この人は「プロ」だなと思うスタッフばかり。彼らが培ってきた優れた技術や仕事への情熱は、なかなか世間には伝わっていないようなので、あらためてインタビューを通じて、「ライブハウスのスタッフってスゲェ!」と思ってもらえたらと、この企画を始めました。

四谷アウトブレイク!の看板娘

ゆいちゃむ(四谷アウトブレイク!・受付担当)
第1回目は、四谷アウトブレイク!の受付・ゆいちゃむ。彼女の描く会場前の看板はとても特徴的で、看板はお客さんやアーティストたちからも愛され、まさしくアウトブレイクの看板娘という存在。先日1月18日からは彼女が約12年間に描き続けた看板を一堂に展示した「四谷アウトブレイク歴代看板展示会【ゆいちゃむの世界】」が開催され、多くの人が展示に駆けつけています。ゆいちゃむの看板にかける想い、ライブハウスの仕事とは何なのか話してもらいました(2021年1月21日取材)。

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看板に愛を込めて、ライブハウスの1日に参加

●ライブハウスの仕事に関わったきっかけは?

ゆいちゃむ 高校生の頃からライブハウスで働くのが夢で、18歳で専門学校に通いながらライブハウスで働いています。四谷アウトブレイク!に勤めるようになったのは、卒業後、就職せずにダラダラと過ごしている時、PAの長沢さんから声をかけられたのがきっかけで、それから13年! もうヤバイです! 干支も一周しちゃいましたよ(笑)。

●受付とバーカウンターを担当していますが、看板を描き始めたのいつごろから?

ゆいちゃむ 店のシステムで受付が看板担当になっているので、入ってから、ずっと描いています。

●それが、いまのような看板になったのはどうして?

ゆいちゃむ 何年かすると私の仕事が受付だけになりました。受付はフロアの外なので、ライブの様子は観られない、お客さんたちとの接点も少ない状況にだんだん孤独を感じて、一緒にライブハウスの1日を作り上げている気持ちが薄れてきたんです。私も何らかのカタチでライブハウスの1日に参加したいと思って、お客さんたちが真っ先に目にする「看板」に自分の気持ち、愛を込めてみようというのが始まりです。

●看板を描くうえでのこだわりは?

ゆいちゃむ 一番は「見やすく」、次に「目立つ」ようにです。私の勝手なイメージなのですが、このバンドは赤色っぽいな、あのバンドは緑色っぽいなとか、バンドやジャンルによって字体や色を変えています。

歴代看板を見て、日常への希望にしてもらえれば

●今回、四谷アウトブレイク歴代看板展示会【ゆいちゃむの世界】が開催された経緯は?

ゆいちゃむ 私は看板を描くのが好きだし、その看板を好きだと言ってくれる人もたくさんいて、私がアウトブレイクを卒業する時には、ホール内に自分で描いた看板を集めたいのが、ずっと夢だったんですよ。
4月に緊急事態宣言が出て営業自粛となり、私個人では何もできないことがもどかしかったです。技術職の人たちは配信などで頑張っているのに、受付とカウンターだけの私は店に何も貢献できなくて「うわ〜!」って。じゃあ、自分に何ができるのか考えた時、先ほどの撮り貯めた「看板」があるじゃないか、別に卒業でやる必要もないと思いました。展示会であれば「密」にならないし、時短だっていけるなと、自分の頭の中でピースが一気に埋まって、店長のブーンさんに相談したら、「じゃあ、来週やろう」と急遽決定。

●そのスピード感はアウトブレイクらしいですね(笑)。展示会を開催してみていかがですか?

ゆいちゃむ 過去にすがる訳じゃないけど、展示を観た人たちが、こんな日があったね、また観たいね、とか、バンドさんだったら、またアウトブレイクで企画やりたいと思ってくれたら嬉しいし、コロナ禍が収束した後の「希望」に繋がればいいなと。

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●コロナ禍で心境の変化などはありましたか?

ゆいちゃむ アウトブレイクも配信ライブを頑張っていますが、やはり「生」に勝るものはないなと思っているので、このコロナ禍を越えた後は「生」でやっていることが、さらに強くなっていく気がします。「生で観る」「生で聴く」と、これまで当たり前だと思っていたことが、今回のことで、より大切なことなんだと知りました。

●ゆいちゃむにとってライブハウスとは

ゆいちゃむ 私にとっては生きがいだし、なければ死んでしまうかも。とにかく「居場所」です!

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まとめ

看板はライブハウスのその日1日を表す大切のもの。誰よりもライブハウスを愛する四谷アウトブレイク!の看板娘・ゆいちゃむだからこそ、出演者やイベントの本質を見抜き、それを文字というカタチで表現できるのだなと思いました。ライブハウスに足を運んだ際は、ぜひ、入口の看板に注目してください!

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