見出し画像

ハープ

新芽がそよぎ出したから
ハープを持って丘に登ろう
クローバーが群生して
ホイッスルを待ってる

こわばったアームをひと撫で
響板が伸びをする
緩やかな弦の
さらさらと鳴る
風のささやき
鈍く光る弦は
遠いむこうの音を奏でる

胴に響く撥弦
指先の軽い痺れ
溶け合う交差点
舞い上がる春の再生

****************

2021年3月19日Twitter掲載詩

春先にはいつも〽サリーガーデンが脳内リフレイン。アイリッシュの少し太い、揺らぐような音色が、どこからともなく聴こえてくるのです。

新しい季節を迎える、悦びが弾ける。命を謳歌する者たち。縮こまり、止まっていた時がまためぐり始める。そんな季節。

死に絶えたものと、めぐる命がこだまして、一抹の寂しさと哀しさを抱えて、それでもまた春がやってきたから。

吟遊詩人の友、ハープ。歴史と伝説を見聞きしてきたであろうその楽器は、春を呼吸して風の丘の音色を奏でる。

***********************************

謝辞:画像作成には『L版SSメーカー』sscard.monokakitoolz.net/ を使わせていただきました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?