柊月 めぐみ

詩と詩論、時々朗読。23.12第一詩集『星降る森の波音』/2024詩と思想詩誌評担当/…

柊月 めぐみ

詩と詩論、時々朗読。23.12第一詩集『星降る森の波音』/2024詩と思想詩誌評担当/2023&2021詩と思想新人賞入選他/2023現代詩の新鋭/詩誌La Vague編集&季刊Recipe/柊文庫@PASSAGE bis!/ご連絡はhizukimegumi*gmail.com

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最近の記事

【朗読】天乃絵留「執事たちの沈黙」

2024.04.30詩誌『凪』朗読会 夜09:00〜 詩誌『凪』第五号 P.82〜 天乃絵留 「執事たちの沈黙」

    • 【書評】世界の中の他者と自分を問いかける『黙然をりて』

      『黙然をりて』 著:山崎 佳代子  書肆山田、2022年3月10日、2,860円+税  第三〇回萩原朔太郎賞にノミネートされた、山崎佳代子氏の『黙然をりて』。世界の中の他者と自分の関係を重く問いかけてくる作品だ。  セルビア在住の山崎氏は、7冊の日本語詩集、6冊のセルビア語詩集に加え、紫式部文学賞を受賞したエッセイ『パンと野いちご』(二〇一八年、勁草書房)や『イェレナ、いない女』(二〇二〇年、幻戯書房)を含む日本語への翻訳作品、セルビア語による研究書等両国文芸をつなぐ活動

      • 凪 第4号朗読会「胎児の夢ー擬詠歌」

        2024.01.23開催 詩誌『凪』第4号朗読会 作品 藪下明博「胎児の夢ー擬詠歌」 朗読 柊月めぐみ

        • 【書評】テーマ型翻訳詩集としての『英詩に迷い込んだ猫たち:猫性と文学』

          『英詩に迷い込んだ猫たち:猫性と文学』 著:松本舞・吉中孝志 小鳥遊書房、2022年3月、3,200円+税 本書は英文学者である松本舞・吉中孝志による共著である。タイトルのとおり、英詩(翻訳含む)作品の翻訳と、猫という人の身近にあって、世界中の作家が題材として取り入れてきた生き物について、「猫性」の観点から解説・考察したものである。  「猫性」とは本書では「猫らしさ、猫たるものの特徴、猫の不思議」と定義し、それに基づく十二章立てで構成されている。章頭には英詩の翻訳が各一~

        【朗読】天乃絵留「執事たちの沈黙」

        【朗読】天乃絵留「執事たちの沈黙」

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          【詩】いまじねーしょん

          紫外線ばかりが強い青空 吹き抜ける風に熱を奪われる 夏の終わり そこここに手向けられた 赤い花と揺らぐ蝋燭 路地裏に潜む好奇と憎悪 焦点の定まらない視線と乾いた肌が 鉄の歯車の轍を突きつける 僕の親戚は市街戦で行方不明になったきり この国の誰もが家族を失っている 豊かな国の君には解らないだろうけど いいえ あなたは知らないのです 頑強な男は早々と大陸に送られ 戦友は機銃掃射に斃れた 食糧調達班の一兵卒は 人を殺さなかった誇りだけを胸に送還された 飢えと見知らぬ土地

          【詩】いまじねーしょん

          【書評】寄り添いと対峙の『雨の合間:Lull In The Rain』

          『雨の合間:Lull In The Rain』 著:津川エリコ デザインエッグ㈱、2021年9月、1,257円  第55回「小熊秀雄賞」に輝いた津川エリコ氏の『雨の合間:Lull In The Rain』は、多方面において稀な印象を与える詩集だ。ペーパーバック版である本詩集は、かえって装飾のない質実な言葉の本質が立ちあがる存在感を示している。  アイルランド在住の津川氏による本詩集は横書き、日英二言語による対訳形式をとる。英詩は明瞭かつ味わい深く、双方を読むことで、世界の

          【書評】寄り添いと対峙の『雨の合間:Lull In The Rain』

          詩と思想新人賞 入選のこと

          詩と思想新人賞とは 毎年8月末を締切に募集される「詩と思想新人賞」(主催:土曜美術社出版販売)。 詩の賞というと詩集で応募するものが多いですが、こちらは詩作品一篇で応募できる賞です。 そして新人賞に選ばれた方には、副賞として3年以内の詩集の制作が贈られます! 詩人として、自分の書く詩を文芸作品として誰かに届けたい。 そんな思いを持つ新しい詩の書き手にとって、詩壇の方々はじめ、広く世に知っていただける、とてもありがたいチャンスなのです。 私の応募歴 とはいえ、詩が好き

          詩と思想新人賞 入選のこと

          『星降る森の波音』出版のお知らせ

          【お知らせ】 第一詩集が出版になります。 ✨『星降る森の波音』✨ 土曜美術社出版販売   A5版変形 ハードカバー  全27篇 128ページ 2,200円 12月5日刊行予定 詩集制作のお話をいただいてから、2年近く。 自分の中で構想ができるまで、1年を要し。 具体的につくり始めてから、さらに半年。 いくつかの入選作や、いつか読んでいただきたいと思っていた作品を、じっくり編みました。 星降る森のさまざまな景色を、お楽しみいただければ嬉しいです。 【ご予約案内】 <<

          『星降る森の波音』出版のお知らせ

          朗読あれこれ

          公開中の詩作品に「創作工程」という詩があります。 今から3年ほど前に書いたもので、ライトヴァースというのでしょうか、さらさらと読めるタイプの作品です。 noteには、あまり考え込まずに読める作品を上げるようにしていたのですがーー というのは、やはり純粋な詩の読者が増えて欲しいと思うからです。 詩を書く人=読む人、であるうちは、難解でも閉鎖的でもいいけれど、詩を書かない人や、あまり読まない人にとっては、ダイイングメッセージのような暗号めいて釈然としないものは、一つか二つでおな

          朗読あれこれ

          お久しぶりです。

          お久しぶりです。今年は怒涛のように走ることが続き、 はたと気づけば、更新がだいぶおろそかになっておりました。猛省。 その間にも、本当はnoteでお知らせしたいことが山のようにありました。 X上ではちょっとしたお知らせを、日々呟いています。 140文字のごくごく簡単な内容になりますが、よろしかったらXもご覧くださいね。 このところの活動を少し振り返ったり、これからの活動をお知らせしたり、 またいろいろアップしていく予定です。 どうぞまたおつきあいいただけましたら、とても嬉

          お久しぶりです。

           春のひまわり

          ひまわりの迷路には 迷子の不安よりも 花を見上げて走り回る喜びに あちらからもこちらからも 等身大の歓声が響いていた 子どもたち 西へ向かう今 私の種を三つ持ってお行き 一つめはお腹が空いた時のために 二つめは祈りを込めて渡すために 三つめは再び野に蒔くために #nw連詩組 2022年2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻始まる。 詩人の宮尾節子さんによる呼びかけで、Twitter上で「#NW連詩組」として多くの詩が生まれました。これはその際に投稿したものです。 1年が

           春のひまわり

          「青空市」

          2022年度 第30回可児市文芸祭 現代詩部門「入選」作品について、 こちらで公開いたします。 公園は賑わっていた 降っては止む雨の気まぐれに 脱いだり羽織ったりする人の熱が 靄となって立ち込める 三年ぶりの青空市 作家物にご執心のご夫婦 子供たちの器を探す家族連れ 走り回る姿はすっかり大きくなった プレゼントしあう学生に紛れて そぞろ歩く 探しているのです 平茶碗ではなく 筒茶碗でもない 大服でもなく 今日は重ねの楽でもない 金彩を散りばめた錦の華やぎに もう

          「青空市」

          ムラサキ

          いつの頃からか そうして控えている 知的なまなざしの面影 赤や黄のうつろいが 小麦色の光に胸を張る その下で 秋がつぶつぶ わけ入って 静かにつぶつぶとして 居る 蔦のまだ色づかぬころ ぎゅっと とらえていった あのひとの名残り

          ポストカードのお知らせ。

          先日、季刊『Recipe』のGoogleダウンロードリンクをお知らせしたところですが。 今度はポストカードのお知らせです。 『Recipe』の表紙イラストは、代表の甘夏これさんによるオリジナル作品です。季節ごとに4種類のスイーツとタイトル横の花の絵柄、そして色合い。 画面でも、またお手元で印刷していただいても、水彩の美しい透明感に目を奪われることと思います。 『Recipe』といえば、食欲をそそるこの表紙イラスト。 私も大好きな絵です。 そんな表紙絵と詩のフレーズでコラボ

          ポストカードのお知らせ。

          季刊「Recipe」その後

          東京は金木犀の香りもあっという間に散り、柿が色づきはじめました。 はっとするほど美しい月が、冷え始めた夜気に冴えるようになったと感じるこの頃、相まって甘いものが食べたくなる季節、新米や季節の味覚が何をとってもおいしいと感じる、危険な季節の到来です。 食べ物といえば。 創刊時にアナウンスした季刊「Recipe」、おぼえていらっしゃるでしょうか? Recipe企画というこちらの企画、とても簡単に言うと、ダウンロード形式(PDF)のウェブ詩集(詩誌)です。 2021

          季刊「Recipe」その後

          はぜる

          夜まつりの能舞台は 板のはぜる音がひびく かがり火に照らされて こんなところまで おもては遠くて 眩しく見あげる お鳴り物の喝采がなだめる むせかえる湿度の記憶 風と共に旅立ったうしろ姿を あのこは すっかり細くなった体で 見つめつづけている ************************************* すとんと暗くなる日暮れに、街のシルエットが浮かび上がる秋。 色彩の目まぐるしく移る前に、即興詩をお楽しみいただけましたか。 乾いた板張りを踏みしめて響く音、