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ミートソーススパゲッティ 〜 夢破れて #8

実家を離れる日、僕は父と二人で上京した。

武雄温泉駅から博多行きの特急みどり号にのり、
博多駅で新幹線に乗り換え東京にむかうという長い道のりだったが、
それは幼稚園児の時以来、人生二度目の父との旅でもあった。

新幹線の席に着いたとき、父は少し苦笑いで僕に言った。

”お前には騙された”と。

仕事ばかりしていて息子の受験校も知らなかったくせに、
この人は何を言ってるんだろう…
というのがそのときの僕の感情であり、僕から父に聞き返すことはなかった。

そして、そのまま父と二人で食堂車にむかった。
食べたのはいつもと同じミートソーススパゲッティだった。

45.ミートソーススパゲッティ

# ミートソーススパゲッティ # だし醤油 # 肥前佐嘉角屋
# 有田焼 # 三川内焼 # 心和庵

何年前だったか、RITAというBARに通っていた縁もあり、
数十年ぶりに朝の連続テレビ小説"マッサン"をみた。

“マッサン”は僕の中高時代のことを思い出させてくれ、
当時描いていた夢が脳裏に蘇った 。

# マッサン
# 涙が溢れすぎて恥ずかしくてひとりでみていたドラマ

ちょうどそのとき父からメールが入り
僕は佐賀に呼び出された。

そしてその数ヶ月後、父は病に倒れた。

# 11012015

上京してから30年以上経ち、父も旅立った。

何年か前に帰省したとき
母から新幹線での会話のことをきく機会があった。

父のあのときの言葉の意味を理解するまでの月日は長かったけど、
使命やカタチはかわれど夢を描き直すことは出来ると確信した。

# 遥か # GReeeeN

一度は失った夢が数十年後に蘇ることもある。
だから夢は一生描き続けるものなのだろう。

つづく

★父のこと

★使用した肥前佐嘉角屋の「だし醤油」のご紹介


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