文章を上達するために、誰の声を指標にしたら良いのだろうか?
成長するにはフィードバックが大事だ。
特に指導に対して進んでいるスポーツの世界では、コーチの存在が当たり前になっている。フィードバックはビジネスでもコーチングやマネジメントといった言葉になって、非常に重要視されてきた。
だけど、文章に関してはどうだろうか?
文章は表現の多様性があり、一概に正解が決められない。
だからか、人から評価を受けていると、基準点が曖昧なことに気付いてしまう。
同じところで正反対の評価を下されるケースがあるのだ。
そんなとき、私は一体誰の声に耳を傾けるべきなのだろう、と悩んでしまう。
これは良いのか悪いのかではなく、好みかそうでないかで起こりがちだ。
だから、じつは評価する側も、自分が評価をどうやって下しているのかを把握する高いスキルが求められる。
特に文章は技術的な、数値的な分析よりも、感情的な判断が下されることが多い。
理性的に評価しているのか、それとも感情で判断していないだろうか、という自己客観視のスキルが求められてしまう。
科学的な評価をくだせるジャンルだと、第一人者に聞けば確実だ。では、文章は誰に聞けばいいのだろうか?
聞くのに最適な人の探し方と意見の受け入れ方
1.読み手の鋭い感性を発揮している人を見つける
2.色々な人の指摘に惑わされない
3.信じた人の意見は、可能な限り聞く
4.どうしても納得できないなら、相手の主張を認めたうえで、どうしてそのように考えたか意図を尋ねる
1.読み手の鋭い感性を発揮している人を見つける
まずは自分が読んだことのある作品について、感想を書いている人を見てみよう。すると読者の中には鋭い感性を発揮して、同じ文章からまったく違う視点や、あるいは掘り下げ方をしている人がいる。
そういう人は意見をきくと、自分でも思っても見なかった捉え方を教えてもらえ、作品に幅や深みを増すことができる。
ただし、そんな人は数多くはいない。見つけたら心のリストにしっかりと刻んでおくこと。
2.色々な人の指摘に惑わされない
よくある失敗が、自作品に色々な人から指摘を受け、どれをまともに受け止めればいいか分からなくなること。
どちらもある程度納得できる説得力のある意見を受けたとき、どう判断したらいいだろうか?
一番良いのは、1で選んだ人の意見をできるだけ採用する、ということだ。
作風が偏ってしまうかもしれないが、船頭多くして船を割るという言葉もある。八方美人になるより、一人にまずは突き刺さる作品を書こう。
3.信じた人の意見は、可能な限り聞く
一度信じた人が相手でも、「ええっ、この意見は微妙じゃない? 自分の考えとは一致しない」などと思ってしまうことはよくある。少なくとも私は。成績を残していたり、先輩的な立場の人が相手でも、一部の意見に反発するのは起こりがちだ。
ただ、これは教える側の立場になると分かるのだが、明らかに問題あるよな、と思ったことでも、なかなか受け入れられないケースが多い。
客観的に見ると明らかに問題がある場合でも、本人は自説に囚われてしまってるケースが多い。誰にでも話を聞く必要は一切ないけれど、一度信じた人の意見には、もしかしたら正しいのかも、と心を落ち着けて、受け入れるようにしてみる。
4.どうしても納得できないなら、相手の主張を認めたうえで、どうしてそのように考えたか意図を尋ねる
それでも納得できない場合もある。
その感情は否定しなくていい。ただ、どういう意図で発言しているのかを聞くこと。意外と理由が分かれば納得してしまうこともある。逆に何となくとか、感覚でとか言われると、無視しても良いかもしれない。
また、単純にテクニック的な問題であれば、取り入れた方が良い。
最後に、意見を貰えるかどうかについて。
評価を貰うには、熱意と素直さが大事
そんなことを言っても、評価なんてもらえないよ……そんな声が聞こえてきそうだ。最後に私の例を紹介しておこうと思う。
一度読んでアドバイスをいただきたいんですが……。
こんな声をもらうことがある。
人の作品を読んで、改善点を伝えていくのはそれなりに労力のかかる作業だ。
それでも、これで一人の作家が上達してもらえたら良いな、と受け入れた。比較的時間に余裕があったことも大きかった。
ところが、思ってもみない対応に出くわした。
「じゃあ、とりあえず完結したら修正します」
(とりあえずで聴くなよ! 指摘されてるんだから今すぐしろよ! ……ああ、この人にはどんなアドバイスをしても無駄だな。こっちも労力かけてられないし、今度から適当に流そう……)
と私は思った。
これは非情だろうか? そうは思わない。
人に時間と労力をかけさせる以上、それに応える態度は必要だと思う。
それが嫌なら、対価を払うべきだ。仕事として十分な報酬が支払われるなら、文句も言わないだろうし、悪感情も抱きにくいと思う。
こんなことが、一度ではなく何度か続いた。こうなると、もう本気の人、見込みのある人だけ対応しよう、という気持ちになる。
だから、安易に人に頼るべきではないし、逆に本気で頼めば、動いてくれる人は意外なほどいる。
自分の成長のために、本気で動き、良いフィードバックを得て成長して欲しいと思います。
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