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おもちゃの貸し借り 男性育休記20/68

いよいよ、妻の姉の子、つまり甥っ子こと6歳児の誕生日当日である。そもそも、妻の姉ファミリーで祝うもんじゃないのかと思うのだが、この甥っ子は妻の母、彼から見た「ばあば」の熱狂的信者であるがゆえ、こういったスタイルなのである。
かつて、ばあばが諸般の事情で彼の保育園に迎えに行った際に「恋人を見る目をしていた」と保育士さんたちが騒然としたほど、6歳児のばあばへの愛は深い。
だから、ばあばと会うことが最大の誕生日プレゼントなのである。ちなみに明日から、ばあばと2人で新幹線に乗って旅行に行くらしい。なにその禁断すぎる愛の逃避行は。

まあそういうわけで、私たち家族は隣に住んでるもんだから参加せざるを得ないだけで、基本的には6歳児の世界ではモブ。でも、2歳児といつも快く遊んでくれるし、「はやぶさ」は「E5系」とも呼ばれるというこの世の真理を2歳児に熱心に教えてくれるので感謝している。
さて、前回書いたとおり、3品用意したプレゼントのうち、私のチョイスで買ったポケモン(モンコレ)、彼の所望品であった恐竜のおもちゃ、まず2品を渡す。この時点で6歳児はうおおおおと絶叫して舞い上がってしまって大変だった。もしかして2歳児が嫉妬してめんどくさいことになるのではと危惧があり、チラッと2歳児を見ると、「無」の表情、スンした顔をしていて動揺は見られなかった。
うん、大丈夫そうかな。
じゃ、良いか、余ってもしゃあないしと思って6歳児に「もう一個あるんだぜ」と3品目を投下したところ、それを見ていた突如2歳児が発狂。どうしてもそのおもちゃで遊びたいと爆発。憤怒&号泣してモードに突入する。
これはいかんと思って、いつも優しい6歳児だから大丈夫だろと踏んで「いまあげたばっかでごめんだけど、ちっとそれをウチの子に貸してくれんかの」と亀仙人のような口調でお願いしてみたところ、「まだ飽きてないからダメ」と、いつも優しい6歳児から初めての塩対応で面食らった。まあそうか、もらったばかりのプレゼントを人には貸さないわな。こちらの読みが甘かった。満月を見て大猿に変身したサイヤ人のように暴れる2歳児に、おろおろする大人たち。事態は風雲急を告げたが、最終的には6歳児が家から持ってきた方のポケモン(モンコレ)を指して、「じゃ、そっち貸してくれない?」と提言し、「いいよ!」と快諾を得て、それをもって2歳児に貸すことによって、事態を収束させた。
なんとか場を取り成した私こと亀仙人であるが、そもそも場を乱した元凶も亀仙人なのである。

おもちゃは毒であり、薬である。いろいろな教訓を得た。

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