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孤独な子育てで見つけられたコト

今から20年以上も前のはなし‥

東京の都心で生まれ育った私が嫁いだ先は、
コンビニも無い、のどかな田舎町だった。

自然が豊かで、ご年配の方が多い印象。
町の人たちは、移住してきた私たちにとても優しかった。

都会と比べて不便な面もあったが、
自然に触れ、人の優しさに触れ、
最初は旅行気分だった。

住む家は、夫の両親が購入し明け渡してくれたもので、3LDKの一軒家。
この辺の家としては珍しく洋風で可愛らしい建物だ。

両親は仕事の関係で県外に出るので、夫と私が住まわせてもらうこととなった。


その後、二人の子供を授かり
子育てに奮闘する日々となる。

夫は長距離トラックの運転手で、
3、4日に一度しか帰って来ない日々。

近所に私と同世代の人も、
同じように子育てをしている人も
一人もいない。

足を延ばして公園に行っても、
人見知りな私は
友達を作ることが出来ず‥

保育園は、定員オーバーで
預ける事が出来ない。

「今日一日、子供以外で喋ったのは‥
お向いのおばあちゃん一人、
挨拶しただけだ‥」
そんな日が幾度となく続き、
「孤独」というものを
初めて経験することとなった。


ベビーカーでどこまでも歩いたら、
町が開けて、賑やかな場所があるんじゃないか

もうちょっと歩いたら、
ママ友が出来るんじゃないか

もうちょっと行ったら、
誰かと出会えるんじゃないか

そんなことを思いながら、
上の子をベビーカーに乗せ、
下の子をおんぶして、
どこまでも、どこまでも歩いた。

どれだけ歩いても
変わらないのどかな街並み

ママ友どころか、誰もいない
歩いてる人さえもいない

歩いても歩いても

状況が変わることはなかった

さみしくて、さみしくて
歩きながら涙が出た

どれほど泣いても
何も変わらない

わかってはいるけど
泣かずにはいられなかった

歩きながら大泣きしても
誰も見ていない

誰も話しかけてくれない

誰も助けてはくれない

私は諦めて家に帰った。



その後、次第に
自分に余裕がなくなっていった。

小さな事でイライラし、
子供にもきつく怒るようになっていった。

毎晩、子供の寝顔を見ては、
「ごめんね」「ダメなママだよね」と、
頭を撫でながらつぶやいていた。



ある日の夜、
いつものように子供の寝顔を見ていた。

ふと子供の心臓に手を当ててみた。

なぜそのようなことをしたのかは
わからない。
けれどそのことが、
今後の私の人生を大きく変える
きっかけとなった。


小さな体の、小さな心臓が、
一生懸命に、ドクンドクンと動いている。

私は、ハッとなった

「小さいけれど、ここに確かに、命がある!」

毎日一緒にいると、当たり前すぎて
気づかなかったこと

愛おしい命がここにあることに、
初めて気付かされた瞬間だった。

「この小さな命を守りたい」
素直にそう思えた。


そして自分の心臓にも手を当ててみた。
ドクンドクンと動いている。

自分が気づいていない時も、
私の体は、こうして一生懸命
心臓を動かして維持してくれているのだ。

子供を産み育てる事が出来る
この体をくれた両親に
改めて感謝の気持ちが湧いた。

今がどんな状況でも、
私は今こうして生きている。

心臓がちゃんと動いてくれていて、
行動できる体がここにある。

だったら、人生は、
自分次第で、今後どうとでも
変えていけるのではないかと思えた。



昨日までの私は、

◉友達がいない
◉子供を預けられない
◉働きに行けない
◉誰もわかってくれない
◉誰も気づいてくれない
◉誰も助けてくれない

「ない」ばかりで生きてきた。

けれど、見方を変えれば、

◉かけがえのない、もらえた命がある
◉子供を守れる自分の体がある
◉子供の笑顔がある
◉夫の仕事がある
◉家がある

私はその日から、「ない」をやめ、
「ある」に目を向けて生きることにした。



「ある」に目を向けると、
見えてくる景色も次第に変わっていった。

少しずつではあるが、
自分から人に声をかけれるようになり、
近所の人とも仲良くなり、
公園ではママ友が出来た。

「大切な人に届けたい言葉」というものが、
自分の中でどんどん湧き上がってきて、
それをイラストと共に、ポストカードに
書き留めた。

ちょっとした趣味が出来て、
それがとても楽しい時間となった。



その後、夫との子育ての価値観の違いから、
二人の子供を引き取り離婚。

たくさんの人に助けられながら
何とか駆け抜けた20年だった。

当時に描いたポストカードが、
今では多くの人に届き

「心が軽くなり、元気になりました」
「救われました」という
お言葉をいただけるようになった。

人より不器用で、何の取柄もない私が、
少しは人の役に立つ事が出来たのかと思うと、
涙が出るほど嬉しい。

子供たちは社会人になり
別々に暮らしているが、
今でも私のことを支え続けてくれている
大切な宝物。

感謝はがりの日々m(_ _)m


お読み頂きありがとうございました🌸🌸🌸

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