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看護学生への教員からのパワハラ

今日のニュースで
千葉県木更津市の専門学校「木更津看護学院」が看護学生へのパワハラを看護教員がしていたことを認めた
と報道されました。

パワハラの内容は以下の通りです。

「木更津看護学院」の第三者委員会が認定したパワハラ行為

①記録を床に投げつけるなど威圧的態度

②定員割れの学校だから低レベルと生徒を馬鹿にする

③生徒の出身校を馬鹿にする

④生徒の容姿をからかう

⑤辞めた方がいいなど人格を否定する

⑥実技指導の合否の判断が、教員の気に入った生徒か否かで異なる

⑦具体的な指導を行わず、やみくもに記録の再提出を求める

上記、どれ1つをとってもひどい行為だと思います。
教員から上記の行為をされた学生は、心理的負担でその後の学習に影響がでると思います。

看護学校側の回答と看護師養成の時代的変化

報道によると
『2019年を最後に定員割れが続き、受験で科目の得点が0点だったり、面接がD判定だったりした受験生も入学させていた。
こうした状況で、「教員側が、准看護師であっても看護師と同じような仕事を求められる現状をふまえ、学力の低い生徒に丁寧な教育ではなく、厳しい指導を行ったことがパワハラにつながったことも考えられる」とした。』
とのことです。

看護教員としてこの状況を理解すると、パワハラは全く認められないのですが、看護学校の教員の負担もどれほどだったかと思います。
看護教員の万年人手不足もあって、コロナ禍での実習調整とこの看護学校での学生指導のご負担は大変だっただろうと予測できます。

看護大学の増加により、看護専門学校数の激減、および進学者の低減があり、学生確保の難しさも示された事例ではないかと思います。

看護大学が急増する前までは、一定の学力がないと看護学校には入学できませんでした。看護大学が増加した背景からも、今一度、看護師養成についての入学基準(学力確保)も踏まえた検討が必要ではないかと感じます。看護師国家試験では覚えることが多いことや医学・看護学知識不足からの医療ミスは患者さんへの命と直結することから、看護学校入学時点での一定学力基準は必要かもしれません。

看護学生に対するパワハラのこれまでの報道

これまでも、2022年6月に愛知県蒲郡市立ソフィア看護専門学校で
「教員のハラスメント改善を」と
保護者を含めた看護学生の嘆願書が出されたとのことで、2年生は8割の署名をしたとのことです。

また、2021年6月の報道では、北海道立江差高等看護学院などの教員らによる学生へのパワーハラスメント問題が明るみに出ました。

パワハラ内容は、
「お前みたいなバカは死ね」
「(持っているペンを見せながら)ぶっ刺すぞ」
「殴るよ」
「蹴るよ」
という言葉が日常的に繰り返されていたとのことです。

これは本当に酷いです。PTSDに繋がる行為です。
このような暴言は脳にも影響が出る可能性があります(tomoda, 2011)。
教員はその点をよく理解して学生へ話さないといけません。

また学生だけではなく、暴言を吐いてる教員にも、心のケアが必要かもしれません。一般的に、このような言葉は使用しませんので、教員自身のこれまでの生活で、このような暴言を受けた可能性は十分あるでしょう。暴言の連鎖、です。

これまであまり明るみに出てこなかった、看護学校における教員から学生へのパワハラが世に出てきたのは良いことだと思います。

時代の流れともに教育も変化していきますが、看護教育について学生への指導が大変厳しい一面を持っていますので、変革の時に来たのではないかと思います。

「看護教員から看護学生へのパワハラ」に関する研究について

そこで、これまでの研究を調べようと思って
看護教員から看護学生へのハラスメントについて調べましたが・・・・
1件もでてきませんでした!

学生へのハラスメントに関する調査は、患者さんからのセクシャルハラスメントが多く、どのように学生を守るか?に焦点が置かれています。

大学では、看護教員に対する学生へのハラスメント予防対策が他学部とは別に実施されていると思います。大学は教育機関ですので、学生が成長できるように、との視点が大きいように思います。(それでも演習、実習では厳しい側面があります。というのも、看護師は患者さんの命を預かるので、厳しくなる側面がありますが、教員が学生にどのように話すか、どのように伝えたら分かってもらえるか、の再検討は必要だと思います。)

今回の報道のように、このパワハラを含んだ看護教育が、学生が看護師になってからのパワハラ行為に影響する可能性は十分にあります。

看護教育現場の変革も必要だと思いました。

看護学生で困っている方も、ヒヨリン相談室にご連絡ください。




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