私の映画記録17

「勝手にふるえてろ」
大九明子監督 松岡茉優 渡辺大知

 初めての邦画記録。洋画に傾倒しがちな私ではあったけど、邦画は邦画で良いです。字幕なくて見やすいし、この日本っぽさが良い。少しダークな感じね。役者さん達もみんな知ってるしね。こんな変わった女の子現実にいたら絶対友達にならない!と思ったけど、こんな唯一無二の女の子になれることは羨ましいとも思うし、猟奇的すぎて病気だと一つの枠に押し込められてしまうこともあるけれど、表向きは普通の女性として幸せに生きているところが好き。恋愛が歪な形になってしまっているところが私と似ていて共感を覚える。

 邦画あるあるだけど、本を最初に読んでいて映画化されたから見たというパターン。原作は綿屋りさで世間的にはとっても評価が高いけれど、まだまだ子供だった私は全然理解できなかった。でも映画の方はふたを開けてみると、ラストシーンも原作と少し違うし、思いがけない松岡真優のミュージカル調の歌もあるし、文章だったものが映像化されるとこんなにも面白くなるんだと思った。この絶妙な間とか素晴らしいよね。普通でちょっと猟奇的な主人公の妄想と現実が露わになった時が一番興奮した。これは間違いなく映画の方が面白い。

 内容は
 普通の女の子として普通に働く主人公の女性は、中学生の頃にたまたま話しかけられて恋をした少し風変わりのイチに恋している。それを近所のウエイトレスや釣りのおじさん、駅員さんに話しながら生きている。しかし、会社で突然主人公のことが好きだったという二に告白され、あっているうちになあなあと付き合っているようになる。しかし、自分で開いた同窓会でイチに再会し、彼女は舞い上がる。しかし、ウキウキを隠したまま冷静に話しかけると彼は主人公の名前を覚えていなかった。落胆した主人公は急に世界が違って見えて…

 アンモナイト。隣のオカリナおばさん。フレディーマーキュリー。小ネタがたくさん仕込まれていて、さらに終盤でその意味がわかるのが本当に面白い。それに少し変わった主人公ではあるけど、普通の女の子であることも事実で、そこがすごく私も胸を締め付けられて、共感できて、私が今まで見た邦画で一番かもしれない。大人の邦画ですね。終盤は小説と同じシーンでびっくりする方向に話が進んでいって、やっぱり小説と同じかと思ってしまったけれど、最後の最後は違う。そこに希望があってそこが本当に好き。キャスティングも素晴らしくて、素敵な映画でした。

 ポスターはどれも同じレイアウトとカットでさすが日本の映画だと思ったけれど、この台湾での題名がすごく好き。勝手に愛されていると思っているって言う意味で、邦題は勝手にふるえてろって一種考えさせるタイプの題名だから違うと言われればそれまでだけど、この漢字なのがかわいいと思う。そしてこの松岡真優のなんとも言えない表情が素敵。名前の横にアンモナイトのイラストがあるところとか、登場人物の多くがこのポスターに出てくるところとか全部かわいいと思える。何より、この筆跡がいいよね。すごく満足でした。

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