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『おしゃべりから始める私たちのジェンダー入門』を読んで

こんにちは、ひよりです。
読書感想文のタイトルかと思いますよね。私もそう思います。
かく言う私はアンチ読書感想文派として生きてきました。なーんで好きでもない課題図書を読んで感想なんか書かねばならんのだ。そして、それを誰かに評価される必要があるのか、と学校の課題として出される度にブーブー言いながら適当に書いていました。昔から現代文やら国語のテストで、作者の気持ちを答えなさいという問いが嫌いだったのと同じように、本人にしかわからない感情や考えなんだから、他の人がジャッジを下すなんて烏滸がましいという思いだったわけです。だから、自分のものにジャッジを下されるのも嫌い。本を読んでつまらないと思った感想を誰かに揶揄されたり叱られるなんてもってのほか。好きにさせろと思っていたからでしょうね。

さてさて、そんなやらされる課題という意味合いでの読書感想文は大変苦手でしたが、今回の本はちょっと感想を誰かに共有したくなったので書いてみることとします。
なんだか最近の記事は前置きがどんどん長くなっていますが、本題へ参りましょう。



本を手に取ったきっかけ

毎度私の記事を読んでいる皆さんならご存知の通り(?)、私は現在大学5年目、就職活動を終え休学中の身です。これを説明するのはここ2年で多分100回目くらいですが、留学を1年し、休学をしながら就職活動をし、今は長期インターン含め5つぐらいやることやりながら日々なんとか生き延び、この秋学期から復学します。

私の学部は必須ではありませんが、卒論があります。ただ、私は留学に行っていた関係で卒論を書くことは単位の関係上できない状況。とはいえ、ミニ卒論的なものを書かなければ卒業ができないということで、秋学期に向けて早くもリサーチクエスチョン何にしようかな〜とゴールデンウィーク前から考え始めていたわけです。

まぁ、テーマそのものは既に決まっていて「ジェンダー×メディア」なわけですよ。幾度も私の記事には書いてきましたが、2020年からタイドラマにハマり、日本のBLドラマとタイのBLドラマにおけるジェンダー描写の違いに面白さを感じてタイに留学までしてしまっていますので、テーマは今回もジェンダーとメディアについて。もっと詳しくいえば、タイドラマにおけるジェンダーについて4000語で書きます。

とはいえ何に注目して4000語を書くのかは大きな大きな悩みの種。そもそもはタイドラマが視聴者に与える政治的影響について書こうかな〜と思っていましたが、それは留学中に書いてしまったし…。何にしよう、とりあえず本読んでみっかと思い、ノリと勢いで大学図書館へ向かったわけです。

もう既に大学5年生、タイドラマとジェンダー描写について興味を持って4年近く。ゼミでも社会学を学んでいるのにも関わらず、いまだに入門書を読むのはいかがなものか、と思いましたが、別に学部生で誇れるほどジェンダーに詳しいわけでもないんだからと思い、ぬるっと手に取ったのがタイトルにもある『おしゃべりから始める私たちのジェンダー入門』でした。

前にも何かで書いたことがある気がするけれども、私は物事に対して非常に影響を受けやすいです。良く言えば感受性が豊かとでも言うんですかね。悪く言えば、影響されやすい。映画を見れば異常なほど泣くし、ドキュメンタリーとかリアリティショーは入り込みすぎて何日か引きずるし、本も共感しすぎることの方が多い。今回も同じように出だしから基本は共感の嵐でした。というか、相当なんだこの作品と思うもの以外、どうにかこうにか共感しよう、ここは私にも理解できると自分と結び付けたがる傾向にあるので、共感しない作品の方がないです。困った困った。

共感と乖離

ここから先はネタバレの宝庫なのでもしこの本が気になる人はぜひ読みましょうね。

さて、共感したのは はじめにー私たちにはおしゃべりが足りていない の部分から。まぁね、大概共感したりふむふむと思える本は出だしからそう思うものなので当たり前っちゃ当たり前でしょうね。

私たちにはおしゃべりが足りていない。誰かに話を聞いてもらったり、誰かの話に耳を傾けたりしながら、モヤモヤした思いを言葉にしていく時間が圧倒的に不足している。

確かに。3月から再度親元を離れ、新生活を始めた頃から確かに「どうでもいいおしゃべりタイム」が激減していて、話したい欲に駆られることはしょっちゅう。とはいえ、一人暮らしではないので周りに話せる人もいるし、大学の友達もいるけれど、話のトピックはもっぱら「留学」「インターン」「就活」このどれかに帰着することがほとんど。あとは、まれに発生する恋愛トークぐらいなもんですよ。

仕方がないと言えば仕方がない。最近話す周りの人たちは似たような経験をしている大学生が多くて共通項がそれらなので、キーワードになるのはよくわかる。でも特に最近の私には「どうでもいいおしゃべりタイム」が必要。ただ本を読みながらふと思ったわけです。そもそも私は「どうでもいいおしゃべりタイム」を大学の友達とすることなんてあるのか。答えはないに等しいでしたね。

下の記事で書いたことだけれど、私は人に悩みを話すと言う習慣がなくて。解決策を持たずして人に悩みを打ち明けることに対してとても抵抗感があるから基本的に何か思っていても話さないことの方が多いんですよ。

人生で何度見直したかわからない「逃げるは恥だが役に立つ」の新春スペシャルでは、ゆりちゃんとみくりが共感についてやり取りをするシーンがありそこでは、「女同士って割とすぐ愚痴ったりするけど、男はね1人で溜め込んでパンクする子も多い」というセリフがあるんですが、私はどっちにも入らないかな〜なんて思ってます。

ぬるっと愚痴る瞬間もあるけど、大概それで「めんどくさい」「え、これめっちゃ疲れるくない?」とか言ってるのは個人的にはただの感想でしかなくて、悩みですらないです。どうせやらなきゃ終わらないのはわかってるし、やるけど、今の感想だけとりあえず独り言的に言ってるだけなのよ。
一方で、ガチ悩みは自分で解決するまでぼーっと部屋でひたすら考えたり、爆音で音楽聴きながら歩いて考えたり、note書いたりしながら自分で解決策まで辿り着いたものしか人に話せるレベルまでは昇華させられないわけですよ。そうなると話したいという欲と話せるトピックが少ないと言う状況が同時に起こるわけで、結果としてどうでもいいおしゃべりタイムは発生しないというわけです。

あと、そもそも自分のことを説明するのがめんどくさすぎてどうでもいい会話が成り立たないと言うのもあります。
きっかけのところに書いた休学の話とか、なんでタイ留学に行ったのか、就職先を入社予定の企業にした理由、就活を終えて長期インターンをしている理由、今の住処に至った理由、どれも最低3分はないと説明できなくて、でも説明しないとそれぞれの話もできない。
大学生とか大学生に詳しい人事とか教育関係の仕事をする大人にはすんなり理解してもらえるケースもあるけど、大概の大人たちには「へ?なんて?」って聞き返されるケースが多くて、もはや話す気にすらならないっていうね。こんな状況が高校からずーっと続いてるんで、自分の話をすることすらやる気が起きないわけですよ。もうスライドにまとめていっそ周りの人に事前資料としてお配りしようかしらって思う時あります。もしくはLinkedInのリンクをQRコードにしてスマホケースの間にでも挟んでおこうかな。

いっそのこと社会人になった方が、どうでもいい話ってできるようになるのかな〜なんて思ってます。そこのところどうなんですかね、社会人の皆さん。共通項が多いからこそ話す内容が偏るのか、私の性格的な問題なのか。

それから共感したことといえば、社会の問題と個人の問題のつながりについて。この本では著者本人の個人の問題や家族の問題がニュースや画面の先の誰かの問題と根っこでは繋がっていて、それは社会や政治の問題にも直結している、という内容が出てきます。
それな?としか言いようのない内容で、大共感。
日々の私の悩みなんて自分の問題かと思いきや、おいおい政治家のせいじゃねぇかって思うし、でもその政治家を選んだのは誰?国民の我々で〜すってブーメラン飛んできて、無事悲しい気持ちになるわけですよね。

例えば、私の今年一年の目標は「即戦力になれる社会人として2025年度のスタートを切れるようにする」なわけですよ。周りの皆さんからは、大学最後の年ぐらいあそびなよとか色々言われてますけど、うっさいよって気持ちです。はい。お気持ち表明でした。

なーんでそんな目標を持っているかというと、とにかく地元北海道に早く、一瞬でも早く社会人として帰りたいんですね。でも、自分のやりたいことができて企業文化にも共感できる会社がほぼほぼなくて、内定承諾した企業に入社予定なんですよ。最初から北海道に戻るっていう選択肢はなかったので、数年東京で修行が必要。この数年を10年にするか5年にするかは私の実力次第だし、来年以降どれだけ早く結果を出せるかに委ねられているわけです。で、入社予定の企業はジェンダーに関してもいろんな取り組みをしているし、女だから昇進が遅いとかもないんですよ(実情は知らないですけどね)。でも、頑張らねば、早くせねば、力をつけねばってどこからの洗脳なのか、本を読みながら考えてみました。

そもそも、政治家たちや今の世論は「自己責任」何でもかんでも自己責任。今回読んだ本の中でも小泉政権あたりから、「自己責任」が唱えられるようになったとありますが、私が幼稚園、小学校低学年の頃は小泉政権ジャストフィットなわけですよ。
そして私は、「超自我」いわゆる「自己肯定感」もバッキバキに低い。最近ふと気づいたことですが、今やっている長期インターンの日報、出勤日には毎回提出するんですが、「反省」「悲しい」「悔しい」とかいうネガティブワードが並ばなかった日がほとんどないんですね。毎回何かに反省して、悲しがって、悔しがってる。自分ですら、なぜって思ってます。マジでミスした日はわかるけど、別に毎回反省するほどのミスはしてないんですよ。周りから見てどう思われているかはさておきとにかく周りで起こった事故やミスは全て自分の責任だと思うのも、政治家とか世の中の流れのせいじゃね?と思ったりしました。
女でも地方出身でも、そんなに有名な大学の出じゃなくても、専門的なスキルや知識を有していない私でも目標を達成するためには、とにかく力をつけて勝ち上がっていかなければいけない。そうやってしか自分の目指す将来なんて得られない、そんな呪いにかかってるんでしょうな。(実際そうやって努力することでしか今の世の中生きていけないので)

んで、私がインターンのタスクやコミュニケーションに対して反省してようがしてなかろうが、社会からの呪いにかかっていようがいまいが、世の中に大きな影響は出ないけれど、子育て世代に対しての世の中の冷たさとか見てると、それは自己責任ではなく、社会の問題だろうよって思ったりしますよね。特に子供を一人で産んだ女性がどうにもできなくて、結果として死体遺棄で逮捕されるニュースとか見てるとね、おーい妊娠させた男はどうして罰せられないんですかねぇ?っていつも思います。養育費払わない親も然り。社会や政治家が男に甘い社会だからでしょって毎回思う。

でも 男に甘いよね 完 ではダメだと思っていて、その裏まで見なきゃいけないですよね。なぜ男に甘い社会になっているのか、それは男らしくあらねばという社会からのプレッシャーだったり、家父長制の歪みなんでしょうね。「男らしくあらねば、それもまた呪いなのかもしれない」と言ったのはこれもまた逃げ恥のゆりちゃんのセリフですけれども、その通り。
男らしくなければ周りの男友達から揶揄される、その延長線上に女性への差別や攻撃があるのだとしたら、解決すべきは「有害な男らしさ」(Toxic masculinity)のまかり通る社会を正すことからでしょうから。

今の政治家の動きとか見てると、社会がいい方向に行くことへの希望を持つこと、それすらも諦めたくなる気持ちもあるし、英語できるから海外行くのもありだなとか色々思ったりするんですけど、心に安西先生を飼ってなんとか諦めずに声を上げ続けて、一国民として行動していきたいところです。スラムダンク読んだことないけど。

新たに得た学びたいこと

一冊読んだ本からどんどんと次の本への興味が湧くだったか、本の中でおすすめされている本をさらに読むべきだと唱えていたのは誰の本だったか忘れましたが、この本からもこれ知りたいと思える事項がいくつも出てきました。

まずは、クィア・リーディングについて。本の中では以下の記事が例として挙げられていました。

個人的にはクィア・リーディングという手法はこれまで聞いたことがなかったのですが、星野源のAin't nobody knowsを初めて聞いたあの日、うぉ〜この曲異性愛に留まってないやんけ、こんな曲他にあったか?って思いながら聞いた覚えだけはありました。まさか学術的にどうにかなるものだったなんて(そりゃそうだろ)。
タイドラマの主題歌でもやりたいな〜なんて思ってますが、教授からの反応はいかに。壁打ちが楽しみです。

次にちゃんと学びたいなと思ったのは、マチズモについて。これは前にも記事で書いたNetflixの作品「Light house」でオードリー若林がマチズモという言葉を使っていて初めて聞いた言葉でした。端的に言えば、男性優位主義のことで英語で言うマッチョのことだそうです。Toxic masculinityとかすごく興味があってずっと学びたいと思いつつも、ふわっとボールを浮かせたまま放置していたのでとりあえず『マチズモを削り取れ』を図書館で借りてきました。

自分も強くならねば、権力を誇示してそこにいる男には勝てないとオードリー若林がいうように、私もまた「有害な男らしさ」に囚われた悲しき皆さんと対峙するには自分も物理的に強くならねばやってられないという思いがあって日に日に攻撃力と圧が増しているなと我が身を振り返り、読んでみることにしました。
(でも、強くあらねば残念ながら世界のほとんどの国で女は男よりも給料安いし、その割に家事や育児を押し付けられるんですよ。個人の問題じゃなくて、社会の問題だろうが!!!!!!コンニャロ!!!)

最後に、人と話すことが優しい社会を作るということ。これは著者の考えで、学術的に学べることではないかもしれないけれど、実践しながら学びたいこと。運よく第一志望の大学に合格して、なぜだかタイドラマにハマり、ありがたいことにタイ留学に行き、そして入りたいと願った企業から内定をもらうというなんだかとんとん拍子に聞こえる私の人生の話を周りにすると、大概はお褒めの言葉をいただくけれども、その裏はドロドロですよなんて基本的には言えない。でも、そんな話を周りとできるようになりたいし、周りからそういう人間味のある話が聞きたいなぁと思ったりします。そのためにはまず、どうでもいい話ができる人間にならねば、損得でなんでも切り捨ててはいけないなと思うので、人と話すことに時間をかけることを5月の目標にしようと思います。宣言しておかないとやらないからね。ここでしておきます。


さ、ということで、今回もまた長文になってしまいましたが、最後までお付き合いいただいた皆さんありがとうございました。
ネタがないとか、書くことがないとか言いつつも、なんだかんだ書こうと思えば書けるもので、無事今月で6ヶ月連続更新だそうです。とか言って来月何にもかけなかったらどうしよ笑笑。
なんとかネタを探しつつ、自分なりのペースで今月も頑張ろうと思います。

それでは、また次回で。



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