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アルメニア・アゼルバイジャン紛争におけるナゴルノ・カラバフの戦略的重要性

1.はじめに

南コーカサス地域は、ヨーロッパとアジアの交差点として、長い間地政学的な緊張の中心地であった。これらの緊張の中心には、アルメニアとアゼルバイジャンの間のナゴルノ・カラバフ紛争がある。本記事では、この紛争の歴史的背景、地域の戦略的意義、そして最近のエスカレーションについて詳しく探る。


2. 歴史的背景

アルメニア・アゼルバイジャン紛争の起源は、1980年代後半から1990年代初頭にさかのぼる。ソビエト連邦が崩壊し始めると、アルメニアとアゼルバイジャンの間でナゴルノ・カラバフ地域を巡る領土紛争が激化した。この地域はアルメニア人が主に住むが、アゼルバイジャンの国境内に位置している。その結果、1990年代初頭の戦争が勃発し、アルメニアがナゴルノ・カラバフとその周辺地域を支配することとなった。


3. ナゴルノ・カラバフの戦略的重要性

ナゴルノ・カラバフは、アルメニアとアゼルバイジャンの両国にとって非常に戦略的に重要である。その山岳地帯は、自然な防衛を提供し、軍事的要塞としての役割を果たしている。さらに、この地域はカスピ海からの石油やガスを世界市場に輸送するパイプラインの重要な回廊としての役割も果たしている。


4. 近年のエスカレーションと国際的影響

2020年には、アゼルバイジャンがトルコの支援を受けてナゴルノ・カラバフの一部を再取得するための軍事作戦を開始したことで、紛争は大きくエスカレーションした。ロシアの仲介による平和合意により、敵対行動は終了し、アゼルバイジャンは一部の領土を再取得し、ロシアの平和維持部隊が地域に展開された。

5.最新の状況:9月19日

日本時間9月19日夕方にアゼルバイジャンとアルメニアが戦闘状態に入ったという情報が出てきた。これはアルメニアの背後にあるロシアの弱体化によるものだという意見が多い。また、攻撃を仕掛けたアゼルバイジャンの発表では「戦争」という言葉は使わずに「局地対テロ措置」という言葉を使っており、国際的な非難を避けようとしているように思える。現在ウクライナの問題もあり、戦火が広がってきている状況は100年前の状況と類似してきているようにも思える。この思いが杞憂であることを願わずにはいられない。

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