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今は見えなくても引き寄せ合うその力~2019.10.20 第37節山口戦~

 3週間ぶりのホーム戦となった薩長ダービー山口戦。前節アウェイ町田から久しぶりの勝ち点「1」をゲットしてのホーム帰還。山口は14位と明らかに格上という感じではないチーム。実際にアウェイでは終了間際に与えた1点が決勝点となり惜敗した相手。久しぶりの勝利を期待した試合だった。

 両チームのスタメンはこの通り

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(@j2referee)より

 前節採用した4-4-2はやめて従来の4-2-3-1に、韓は久しぶりにワントップでスタメンでした。萱沼が右に入って前節右スタートだった枝本は得意のトップ下に。最終ラインは赤尾に代わって出場停止明けの水本がスタメン復帰。特筆すべきはこんなもんかな。


前半

 お互いにハイテンションな立ち上がり。五領、ルカオがベンチに控えているのでゲームを落ち着かせつつ後半勝負かなという主の予想を裏切るスタート。

 主導権がどちらにあるともいえない立ち上がりにチャンスを多く創ったのは鹿児島だった。陣形をコンパクトに保ちショートパスを駆使した連携でゴール前に侵入し、奪われても素早いネガトラで敵を囲いこんで奪い返すor長いボールを蹴らせるということが出来ていた。20分あたりまではこんな展開が続く。

 その後、展開が落ち着いてからは両チームが交互にボールを握るような感じ。

 鹿児島の保持時はビルドアップの段階では両SBがそこまで高い位置をとらずに落ちてくる中原秀と4+1でのビルドアップ。そこに山口は3トップと三幸の4枚で最終ラインに対して同数でハメにきた。しかし、中原秀人の落ちてくる動きにはあまり対策をうってこなかったので比較的スムーズに中原秀がボールを引き出して前につけられていた。

 右SHの萱沼が中原秀不在でスペースのある中盤まで降りてきてボールを受ける動きを見せたことで中盤の空洞化を防ぎ、中原秀からの楔の受け手にもなり右SB酒本のオーバーラップも促していて攻撃のひとつのスイッチになっていた気がする。今までもやっていた形という訳ではなかったので興味深かった。 

 この日は攻撃が極端に右に偏っていた前節から左右真ん中バランスよく攻めれていたし、不調かと思われた牛之濱もキレを取り戻していた。サイドに流れたがるルカオと違い真ん中にいてポストになってくれる韓の存在も大きかったと思う。

 一方で山口の保持時は特に選手の配置を変えることも無く2CBを中心にボールを持つ。それに対して鹿児島は韓がボールにプレッシャーをかけ2列目はそれに応じて縦パスを牽制しつつSBにボールがでたら陣形を少し下げて構える形。

 この日だけに限らず鹿児島のセットした時の守備の特性としてSHがそこまでガンガンSBにいかずにコンパクトな4-4ブロックを保とうとする。これは恐らく陣形が横に広げられることを嫌ってのやり方か?山口は比較的真ん中から崩そうと試みることが多かったのでこの守り方が合っていたことが無失点に終えられた要因でもあったかもしれない。

 中盤の狭いスペースでも高いテクニックを発揮する三幸は怖さがあったが最後のところはやらせなかった。ニウドと堤の頑張りも効いていた。特に後半もだがニウドが中盤でのデュエルに勝ちまくってくれたのは大いに助かった。


 後半

 両チーム共にハーフタイムの交代は無し。後半開始直前には両チームサポーターによるダービーチャントの応酬もあった。

 立ち上がり10分くらいは比較的山口がボールを持つ展開。それに対し鹿児島は前半よりは低めのライン設定で受け止めてカウンターを狙う形でいくつかシュート手前まで持っていくシーンがあった。

 61分、先に手を打ったのは山口。CFに宮代に替えて山下を投入。立て続けに66分にもボランチの佐藤に替えて右WGの田中パウロ投入。トップ下の三幸が1列下がり池上がトップ下に入り先制を狙う攻撃的な采配を執ってきた。

 鹿児島も67分に韓に替えてルカオ投入。その直後に疑惑の決定機到来。

 中原秀の素晴らしい右への展開から酒本が持ち上がりそのままクロス。ファーで待っていた牛之濱が胸でコントロールしたボールは対峙した三幸の左手に当たっているように見える。いや当たっている。しかもPA内。しかし、笛は鳴らなかった。うーーーんって感じでした。だってスタンドから見てても分かったんだもん。映像でも見返してもやっぱり当たってる。ちょっと納得いかんよね。

 その流れの中からニウドが放ったミドルもバーを直撃。ツキがない。

 山口は三幸をボランチに置いたことで低い位置からアタッカー陣に良いボールが供給され始めた。

 鹿児島71分に切り札の五領を酒本に替えて投入。萱沼が右SBに下がる。こちらも攻撃的な強気な交代をきる。お互いに引き分けではなく勝利が欲しいというようなベンチワークだった。

 サイドに流れたり少し降りてきたりするルカオの投入によって攻撃の起点を増やすことに成功した鹿児島。しかし韓のようなポストもなくなってしまったことも事実。ここは一長一短なので上手くつかいわけてほしい。

 78分に足を痛めてたっぽい萱沼に替えて西岡を投入して先に交代カードを使い切った鹿児島。

 84分にはこの日最大のハイライトとなった堤のシュートブロック。これがなきゃ負けてた。堤ありがとう。サンキュ、ないす、この日は守備も安定してて良かったぞ。

 その後鹿児島が攻め立て山口もカウンターを狙うもお互いにあと一歩が届かずスコアレスのままタイムアップ。


まとめ

 ポジティブな点はここまで守備が不安定だったチームが2試合連続でクリーンシートを達成したこと。ネガティブな点は決定機を山口より多く創りながらも勝ちきれなかったこと、次節中原秀、五領が累積で出場停止になってしまったことかな。

  この試合は前節よりは攻撃で鹿児島らしい形で崩してチャンスを多く創っていただけに今シーズン通じて言われている決定力がやっぱり課題だなと。 

 最後に中原秀人のプレーについてふれたい。もともと素晴らしい選手なのは周知の事実だが、この日は圧巻だった。彼のよさはボールテクニックの高さとそれを存分に活かした展開力だろう。彼はボールがない時でも常に首を振って敵と味方の位置を把握し、ベストなポジショニングができる素晴らしいインテリジェンスを持った選手だ。中原秀人がいなければ今の鹿児島はビルドアップが出来ないだろう。

と、褒めちぎった中原秀人は次節累積で出停なんですけどね(ワロエナイ)

 後半のレビューの内容の薄さに関しては両チーム共に後半はフォーメーション通りでスタンダードに組み立て、守っていたのでなにか違いを見つけて書くことが出来ずお互いの交代とそれに伴った変化くらいしか書けてないの反省です。


 次節はアウェイでの甲府戦。昇格プレーオフ圏内を目指す格上とのアウェイということで厳しい試合になるのが予想される。現実的ではないが3日後に延期分のホーム岐阜戦が控えていることを考えると主力を休ませてもいい気がする。そんなことはしないだろうがとにかく岐阜戦が最大のポイントだというのは意識して欲しい気がする。

 何はともあれ残り試合全部大事に、ひとつひとつ残留に向けてやるべきことを、やれることを選手もベンチもサポーターもやっていくことが最後に笑うための1番の近道だろう。

 残るのは俺たち鹿児島だ。


10/20  J2リーグ第37節  鹿児島 0×0 山口                   会場:白波スタジアム   来場者数:5646人    


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