ひよこのコンサート曲紹介 その③

\ひよこのコンサート in spring /
2023年3月9日(18:45開場 / 19:15開演)
@台東区生涯学習センター ミレニアムホール
チケットはこちらから💌


140文字には収めることができない
コンサートの日に演奏する曲目たちの魅力を
紹介していきます🐥
(前半)出演者のみんなが書いてくれた曲紹介
(後半)鈴木(主宰)が好きなように書いた文(笑)

Three Shanties Op.4 / Malcom Arnold


マルコム・アーノルドは近代イギリスを代表する作曲家の一人で、作曲家になる以前はトランペット奏者で、ロンドン・フィルハーモニーの主席奏者を務めました。そのため、アーノルドの金管楽器への教則本や、金管五重奏の作品が金管楽器奏者はアーノルドと聞いて思いつく方が多いと思いますが、しかし、交響曲、管弦楽曲、吹奏楽曲を作曲しているほか、映画音楽なども作曲しており、現在の演奏機会は多くはないですが、ほとんどすべてのジャンルの作曲を手がけ、隠れた名曲が多いのもアーノルドの特徴のひとつです。

今回演奏する、スリー・シャンティーズは、古くから船員に歌い継がれてきた3曲の「船乗りの歌」を素材に、アーノルドが自身の独特な曲調に仕上げた全3楽章の曲です。
第1楽章2/4は船出の警笛の後に、19世紀の英国船員達が歌い広めた主題「what shall we do with the drunken sailor」(酔った船乗りはどうすればいい?)の冒頭行進曲主題がフガート風に次々と模倣され、引き繋がれます。かと思いきや、中間部では突然タンゴのバス・オスティナート・リズム上に3連符が踊り、後半の2/2の付点リズムにのり情熱的なハバネラが踊られます。
第2楽章6/8は原曲の「Boney was a warrior」(ボニーは戦士だった)を骨組みに、美しいバラードに仕上げたものです。ボニーとはナポレオン・ボナパルト指しているそうです。この楽章は1楽章までのはちゃめちゃが何もなかったかのような、穏やかさが特徴です。
第3楽章2/4はG.P.を含む8小節の前奏に続き、米国フォークソング「Johnny come down Hilo」(ジョニー、ヒロにやって来い)が各楽器で断片的にリレーされます。中間部ではスウィング、3/8のジャズワルツ、後半は変拍子の即興的ジャズ変奏で、楽しい航海が終わりを告げます。

その時代に実際に歌われていた曲をアレンジして今もなお演奏されるというのはなんだか音楽は歴史までも身近に感じさせてしまう良さがありますね…
そして様々なジャンルを創ってきたアーノルドだからこそ出来上がった一曲であると思います!ぜひ皆さまに書いていただきたいです!会場でお待ちしております!(前田)


今回演奏してくれるメンバー、クラリネットの石田くん以外は、高校からの後輩なのですが、みんなが1年生、私が高校2年生だった時に一度、この曲を一緒にやろうと声を掛けてもらったことがあります。
結局その時は色んな事情が重なってしまい、演奏するには至らず、私がそれ以来この曲を演奏する機会や、プログラムに組む機会が無かったので、今回のプログラムで久しぶりにこの曲との再会を果たしました。

ここだけの話、今回のプログラムは何度か修正の機会がありましたが、この曲だけは最初から最後まで譲る事なく生き残った曲です。(笑)

スリーシャンティーズについては、前田の熱い想いのこもった解説が全てを語ってくれているので、そちらを読んで是非会場へ足を運んで頂けると嬉しいです。

私の個人的なアーノルドとの繋がりとしては、ひよこのコンサートとは別の場所で、ディベルティメント 作品37(アーノルド作曲)という、フルート、オーボエ、クラリネットの三重奏を演奏する予定があります。
この曲を選曲したのは、演奏時間約10分、小曲6つに詰め込まれたアーノルドの多彩なアイデア、そしてそれらが作り出す聴き手にとって何て事のない世界観に面白さを感じたからです。

取り組んでいる曲は違いますが、前田の文を読んでいて、アーノルドが多方面のジャンルにおいて作曲したからこそ、多くのアイデアを持っているという事にはとても共感しました。様々な分野へ表現を巡らせた人だからこそ、アイデア自体も柔軟だと思いますし、ボーッとしてたら、あっという間に終わってしまうぐらい聴きやすく、でも良く味わって聴くと1番心地よい満腹度になるように組み立てられているのも、アーノルドの魅力の一つだと思います。

彼らこだわりの1曲、想いの詰まった念願のスリーシャンティーズ。アーノルドの魅せてくれる世界観も存分に味わって楽しんでください。

p.s.
もし興味があったら、ディベルティメントも聴いてみてください…!

かわいい集合写真

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