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仮想通貨バブルでうっかり1000万円稼いじゃった!?

おはようございます。🐤

先日の記事「ビットコインにかかる税率は20%」に対して「でも、バブルでうっかり数千万円稼いじゃうことあるから、その対策知っておかないと危険」という主旨の意見をいただきました。

「そんなことある?」と思うかもしれませんが、あります。たとえばCAKEとかHAZEとかIRONとか、STEPNとか、CryptoPunksとか。

🐤 これは、変なところで変なことをしている人に向けたお話です。取引所でビットコインだけ買ってる一般人にはそんなことは起こりません。昨日の記事「ビットコインの税率は20%」を読んでください。

「税率高いのはわかってるよ」と思うかもしれませんが、うっかり稼ぐだけだったらOKです。どれだけとられても55%なので、45%は手元に残ります。

今日のお話は、稼いだお金をどうやって節税するかではなくて、「稼いだお金をうっかり失う怖さ」とその対策についてです。

  • バブルで100倍銘柄に当たった!(←ここまではOK)

  • このお金で、他のバブル銘柄に突っ込むぞ!(←やめとけ)

  • あ~あ、突っ込んだ金ぜんぶ溶けちゃった(←爆死確定)

  • 今年はプラマイゼロか(←いや、納税で爆マイナスですから)

ということで、心当たりのある人は自分の身にいつ降りかかるかわからない現実の話として、ぜひ最後まで見てください。

うっかり1000万円稼いじゃった

まず、普通に稼いだ時の課税についてざっくり説明します。税金の知識は現代社会で生きるすべての人に役立つ義務教育なので、絶対知っておいてください。

例えば○○という仮想通貨を10万円分買っていたら、なんか100倍になっちゃった、ということはバブルでは稀によくあることです。そこで利益確定して1000万円のプラスで終わったとします。

🐤 1000万円のプラスとは、所得=売却金額-(購入金額+手数料等)が+1000万円ということです。ここで注意すべきは、売却という意識がなくても、エアドロやEarn系はそのまま所得になるのでその時点で収入確定、仮想通貨から仮想通貨への交換もその時点で利益確定であることです。
【例】
・STEPNで歩いてGSTを稼いだ⇒その時のGST価格で所得確定
・ガチャでレアアイテム(NFT)が出た⇒その時のNFTの価値で収入確定
・ETHでNFTを購入した⇒その時のETH価格-購入時のETH価格で損益確定

所得税

ここでどれだけ課税されるかは、自分の所得によります。

株式や投資信託、あるいは金投資などの場合、利益にかかる税率は一律で20.315%と決まっています。

一方で仮想通貨の損益は、為替差益と同じ扱いをされるので、総合課税として給与所得などと一緒くたにして計算されます。

ここでは、所得が多ければ多いほど「税率」が高くなる「累進課税」という方式がとられているので、所得によって税率が変わってくるのです。

ところで、自分の所得はいくらか知ってますか? 会社員の人は源泉徴収票を見てください。①-②が所得です。

例として、3人の人物に登場していただきます。それぞれ自分の所得に加えて、1000万円稼いじゃったという想定です。

  1. 無職(所得0万円):合計所得1000万円⇒税率33%

  2. 年収500万円の会社員(所得200万円):合計所得1200万円⇒税率33%

  3. 年収1000万円の会社員(所得600万円):合計所得1600万円⇒税率33%

上の例では、無職から年収1000万円の会社員まですべて税率33%の枠に収まっているから、仮想通貨にかかる税率も同じかと思ってしまいますが、実はそうではありません。ここは誰もが誤解しがちですが、すごく基本なので皆さんはこの機会に知っておいてください。

この説明には、仮想通貨の利益を足す前と後の税額を比べる必要があります。仮想通貨の利益を足す前のそれぞれの税額は次のとおりです。

【仮想通貨の利益を足す前】

  1. 所得ゼロ:税額 0円

  2. 所得200万円:200×10%-9.75=税額 10.25万円

  3. 所得600万円:600×20%-42.75=税額 77.25万円

【仮想通貨の利益を足した後】

  1. 所得1000万円:1000×33%-153.6=税額 176.4万円

  2. 所得1200万円:1200×33%-153.6=税額 242.4万円

  3. 所得1600万円:1600×33%-153.6=税額 374.4万円

【仮想通貨分の税金(後-前)】

  1. 176.4-0=176.4万円

  2. 242.4-10.25=232.15万円

  3. 374.4-77.25=297.15万円

このように、仮想通貨で稼いだ分にかかる税金は、元の所得によって変わってきます。これは、所得税が次のようなグラフで税額を決めているからです。

仮想通貨で稼いだ額(=1000万円)は同じでも、もとの所得が高い人の方がグラフの右側からスタートするので、かかる税額はより多くなるということです。

所得1億円までをグラフに表したものが上の図です。
1800万円以上はほぼ一直線に見えますね。
1億円の所得がある人は4020万円の所得税なんですって。
ふーん。

実は大きな住民税

これまで、所得税について説明してきました。所得にかかる税金は実は他にもあって、復興税(復興特別所得税)と住民税です。

そのうち、復興税は所得税の2.1%ということで、小さいです。なのでちょっとここでは無視しておきます。

庶民にとって意外と大きいのが住民税です。所得が小さい人も大きい人も、一律で10%かかります。

(一律)所得1000万円:1000×10%=税額 100万円

所得税は33%で、住民税は10%だから、だいたい所得税の1/3だなと考えていたら、その金額の大きさにビックリするのではないでしょうか。

というわけで、仮想通貨でうっかり1000万円稼いじゃった時の税額は、所得税と住民税の合計で、それぞれ次のようになります。

  1. 無職:176.4+100=276.4万円(実質税率27.6%)

  2. 年収500万:232.15+100=332.15万円(実質税率33.2%)

  3. 年収1000万:297.15+100=397.15万円(実質税率39.7%)

1000万円稼いだと思っても、税金を支払った後に残るのは600万円~700万円くらいということです。ちなみに1億円稼いだ時の税額は約5020万円、100億円稼いだ時の税額は約54.95億円と、稼ぐほど実質税率は55%に近づいていきます。

  • せっかく稼いだのに、30%以上税金でもっていかれる

  • 昨年損した分を考慮してくれない(繰越控除できない)

  • 株式などの損失を打ち消せない(雑所得だから損益通算できない)

会社員の人には、この事実は受け入れがたいかもしれませんが、受け入れるしかありません。

確定申告しなければバレないのでは?

「でも、仮想通貨だからバレないんじゃね?」
「だってサトシナカモトが言ってたよ、中央集権を通さないお金だって、だから税務署にもバレないよね」

いえ、100%バレます。だいたいあなたはどこで仮想通貨を買ったんですか? 取引所でしょ。日本の取引所だろうがBybitだろうが、取引所は思いっきり政府の監視下です。仮想通貨は非中央集権なんてのは幻想です。

「と、取引所から自分のウォレットに送って、DeFiを運用している分にはバレないのでは?」

いやいや、モロバレです。仮想通貨の特徴の一つに、取引履歴が誰でも見れるというものがあります。取引所からウォレットに送金したら、取引所には送金先のアドレスは筒抜けです。

「と、匿名送金サービスを通せば絶対バレないし!」

tornadoのような匿名送金サービスを利用すれば、送金先は確かにわからなくなります。しかし、あなたのウォレットから匿名送金サービスに送金したことはわかります。税務署の人に「匿名に送金されていますが、この送金先とその後の取引内容を教えてください」と聞かれて答えられなければ課税逃れだと見なされます。

というわけで、100%逃れられません。確定申告をしなくても税務調査を受けないことはあるかもしれませんが、それは課税額が小さいから泳がされているだけです。課税額が大きく育った時に、過去の分も合わせて徴収されると考えてください。

本当は怖い「その後」

さて、怖い話はここからです。

簡単にいうと、税金は1月から12月の損益で計算して、翌年3月に所得税を、5月以降に住民税を支払うため、収入から支出の間に3カ月~1年半程度の時間差があるということです。

その間についついお金を使ってしまい、納税の時にお金がなかったというのが恐怖なのです。

会社員は普通給料から税金が源泉徴収され、入ってくるお金はすべて使っていいお金です。

後から税金がとられるなんて経験はないので、頭ではわかっていても実際に自分が、後から何十万円、何百万円の請求がくる事態が起こったときにはかなり戸惑います。

ここにとある体験談をご紹介します、もし自分だったらと想像しながらお聞きください。

右肩上がりの期間

2022年、STEPNというゲームがありました。6万円くらいでスニーカーを買ったら、1日数千円を稼げるというゲームです。高いスニーカーをたくさん買えば、1日で数万円稼ぐことも可能です。

ヒヨ…Hさん(匿名希望)という方は、その靴に70万円を支払い、1日に2万円を稼ぐことにしました。計算が得意だったので、これはいけると踏んだのです。

おおよそ計算どおり、だいたい40日で70万円を稼ぐことができました。その後も歩いて稼ぎ続け、ガチャにも当選しながら、100日で300万円も稼いだのです。

稼いだトークンはどんどん値上がりしていくものだから、売らない方が得だと、ずっと円に交換をしませんでした。すると稼いだ300万円は1000万円になって、さらに得をしました。

「1000万円も儲かった、ウハウハ」

ヒ…Hさんは一般的な税の知識や株式の経験も持っていたので、冷静に考えたらここからトークンの価格が下がったらどうなるか理解できるはずでした。しかし、Hさんの脳内は普通の状態ではなかったのです。

トークンの価格が下がるのは一瞬でした。わずか数日で1/10、1/100と価格が下がりました。

ヒヨコロさんは「おかしい、絶対このゲームには将来性があるから、絶対に価格は持ち直すはず」と考え、それでもトークンを円に交換せずに持ち続けました。

その結果こうなりました。

Green Satoshi Token (SOL) price today, GST to USD live price, marketcap and chart | CoinMarketCap

1000万円の価値があったはずのトークンは、なんと1/500=2万円の価値になってしまいました。

70万円の投資、そして1000万円の含み益が水の泡に消えました。

その年の確定申告

70万円の損をしたという意識しかなかった会社員のHさんは、当然確定申告とも無縁だと考えていました。

しかし、税理士さんに指摘を受けます。

「このSTEPNで稼いだトークン、時価で収入になりますね。300万円です。ただ、経費にできるものが70万円あるので、差し引き230万円の利益とできるでしょう。」

が、ガビーン、言われてみたらそのとおりです。会社員がドルで給与を受けている場合、支払い時点でのレートで収入金額の計算をするのと同じ考えです。

ということで、230万円の利益に対して、所得税と住民税を合わせて約50万円の税金を支払うことになりました。損失しかしていないのに、さらに税金まで…、手痛い出費です。

課税事故を避けるには

Hさんはどうすれば良かったのでしょうか。
まず大前提は、冷静になることです。

納税資金を常に頭に入れておく

次に、利益の30%~50%は翌年に日本円で支払う必要があることを常に頭においておくことです。

利益が数十万円程度なら、その人の所得によっては20%~30%程度の税率で済むかもしれませんが、数百万円~1000万円を超えてくると枠が変わり、30%~50%にまで税率は上がります。

ついうっかり1億円稼いでしまったとしたら、その半分は納税のため日本円で準備しておかないといけないということです。

バブルの見極め

バブルの見極めも大事です。そのためには、その仮想通貨のしくみ、お金の流れ、市場の動向などを正確に把握しないといけません。

あまり細かく調べなくてもいいですが、基本的にはバブルのチャートの形に落ち着くということを念頭におきます。「まだいける」と思う時がだいたい頂点です。

売買は「半分ずつ」

そして、売買は「半分ずつ」にすると、精神的に安定することができます。(トレードに必要なのは知識でも経験でもなくて、精神の安定です

例えば、Hさんの例でいうと、図の①の時点で半分のトークン(300万円)を売って、さらに上がった②の時点で残りの半分(つまり1/4)のトークン(200万円)を売っていたら、あとはどれだけ下がっても、500万円の利益は確保できたことになります。

③、④の時点ではもはや売っても売らなくても良いので、また上がることを夢見てもよし、お小遣い程度の額で売ってもよしという選択ができ、心のゆとりになります。

私が常々考えていることは、人間は投機では勝てないということです。
勝てるとしたら、欲がなく、遊びで、面白半分でちょっと手を出す人か、もしくは人の心がない機械のようなものです。

後でこのチャートを見ると、1000万円の頂点で売れば…と後悔するかもしれませんが、取引はそううまくいきません。半分程度の利益が出れば大成功です。

まだまだある、怖いこと

怖いことは値動きだけではなく、他にもあります。

GOX(資金喪失)

取引所が破綻してしまったり(FTXの例)、ネットワークのブリッジが機能しなかったり、自分で送金先を間違えたりすると資金が失われてしまいます。これを税務署がどう判断してくれるかですけど、日本の取引所ならともかく、金融庁の認可がない海外の取引所の破綻を考慮してくれるかはわかりません。

また、送金先の間違いによる資金喪失は、間違えた送金先が自分のものではないと証明するのがめちゃくちゃ困難な場合があるのと、ネットワーク間違いは実際に消えたわけじゃないことから、これも認められるかどうかは微妙です。

仮想通貨、特に取引所ではない自分保有のウォレットでの取り扱いは自己責任の部分が想像以上に大きいため、これまでのように銀行や証券会社に守られている感覚でいると危険です。

そもそも、税務署と銀行はなんだかんだ言って身内です。身内の中で盗難とか詐欺とかがあったら助け合うのが人情ですが、「既存金融は敵だ」という暗号資産の利用者を守る義理なんて、税務署は持ち合わせていないでしょう。

金融庁に認可されていない暗号資産を使うなら、失くしても騙し取られても自分で全て責任をとらないといけない。そんな世界なのです。

秘密鍵、12の単語を紛失

ウォレットの秘密鍵(60文字くらいのランダムな文字列)、あるいはシークレットリカバリーフレーズ(12の英単語)を失くしてしまうと自分の資金が取り出せなくなります。

銀行なら身分証明とか、なんとかやりようがあるのですが、仮想通貨はそうはいきません。

しかも「失くしたふりをしているだけ」と見分けがつかないため、これも税務署に認められるかは微妙、というかたぶん認められません。

盗難(詐欺被害)

詐欺にあったら警察に届けるなどして、公的に認められないといけませんが、これも「盗られたふりをしているだけ」との見分けがとても難しいので、よっぽど大規模な詐欺にあったなどでないと認められないのかもしれません。

これらは、損失であるのに損失と認められない場合があります。利益だけが計算されて、その分の税金は支払うという状態になってしまうので、細心の注意が必要です。

というか、自動車と同じで、自分がどれだけ注意していても事故が起こることがあります。

現在、国内ではあまり有効な保険もありません。祈るしかない、そんな世界です。

まとめ

「うっかり数千万円稼いじゃった」時に気をつけないといけないのは、納税を常に意識しておくことです。

  • バブルで100倍銘柄に当たった!(←ここまではOK)

  • これを他のバブル銘柄に…いや、半分円に換えて納税資金残そう!(←よしよし)

  • うわ、バブル溶けた、でも納税はできる!(←よしよし)

  • また来年がんばろう(←やめとけ)

納税用資金の計算については、自分の所得によって大きく変わります。まず自分の所得を把握することが必要です。

取引所でビットコインしか買ってない、利益は数十万円程度、であればそんなに大きな影響はありません。

しかし、新しい銘柄やバブル銘柄などでは、場合によっては利益が数百万円~数千万円になってしまう場合があります。その人のもともとの所得の額によっては、仮想通貨にかかる税率が40%以上になってしまう人がいます。

  • せっかく稼いだのに、40%以上税金でもっていかれる

  • 昨年損した分を考慮してくれない(繰越控除できない)

  • 株式などの損失を打ち消せない(雑所得だから損益通算できない)

これは、頭ではわかっていても、実際に自分の身に起こると受け入れがたいことです。特に会社員は税金なんて意識したことがありませんから。
でも、受け入れるしかありません。

というわけで、いつものアピールです。みなさんで税金に関する知識をつけましょう。税理士とはいわなくても、FP3級程度の知識は義務教育として必ずもっておきましょう。(資格はとらなくてもいいです、知識だけあれば)

暗号資産の税制は特殊ではありません、為替と同じと考えればだいたいあってます。特殊なのはその値動きの激しさです。

あとは、冷静になりましょう。それが全てな気がします。

それではまた、FP~(@^^)/~~~

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