小説同人誌備忘録・2022
はじめに
同人誌を作るようになって数年が経たった。
試行錯誤を重ねながら、どうにかこうにかやってきた活動も、少しずつ安定の兆しが見えてきた形である。
未だにスケジュール管理は下手くそで、締め切り前の詰めが訪れる度ひぃひぃとみっともない声を上げてはいるものの、所謂「なになぜ期」は過ぎ去ったんじゃないかな。そっと振り返った近しい過去、自身を見返す余裕くらいは出て来たと思える今日この頃。たくさんの人々に助けてもらいながら進み続けた日々を、今日は愛しんでいければと思う。
①2022.02.06
生まれてはじめての同人誌は、2022年2月に行われたとあるwebオンリーでの頒布となった。webオンリー自体は数回参加したことがあったのだけれど、展示以外での参加はこれがはじめて。
表紙は? 印刷所は? 段組みって何?
そもそも入稿データってどうするの?
疑問は尽きず、正直、今見返してみても「ああすれば良かったなあ」という点が多い一作ではあるのだが、とはいえ一等可愛く思える本であることもまた事実。作って良かった、頑張って良かったと思える素敵な本になったと思う。
印刷所:ちょ古っ都製本工房様
・値段がお手頃
・少部数対応
(1部、3部、5部、10部以降は 5部単位)
・Word原稿の入稿が可
(文字化け等の懸念からPDF入稿を推奨)
・早い(最短で翌営業日に発送してくれる)
⇒とても、お手頃。
事前予約が必要だったり、データのチェックが控えめ(ページ抜など、データの中身についての助言をくれる印刷所もある)だったりと、色々注意する点はあるが、少部数から試してみたい小説サークルにはおすすめの印刷所さん。
とにかくお手頃。一番締め切りが早い「10営業日コース」を選べば、もう本当にお手頃。サイズ展開も A5、B6、文庫、新書、等色々あっていい感じ。
唯、入稿データの作り方の説明がやや不親切。同人誌専門の印刷所さんではないので仕方のないことだが、テンプレートがない。段組みや用紙サイズが分からない、という場合でも自力で用意する必要がある。私の場合はお勉強もかねて、ここにした。下調べをして、ある程度の知恵を蓄えた上で印刷に挑むという感じ。
表紙デザイン:てんぱる様
・BOOTHにて活動されているデザイナーさん
・同人誌表紙利用可のテンプレートは勿論、素材も多数販売有
・表紙については、文字入れ、セミオーダー、フルオーダーも(時期によっては非公開のこともある)
私がお願いしたのは「同人誌表紙テンプレート素材の文字入れ」
気に入ったテンプレートを購入し、文字入れ・サイズ変更等をしてもらうというプランで、作品のイメージや、利用する印刷所、背幅、タイトル等、必要なことをお送りし、作業してもらう形。分かりやすいQ&Aを載せてらっしゃるので、必ず拝読すること。
背幅を事前にお伝えしなければいけない点を不安に思うかもしれないが、文字入れのプランだと平均4日で仕上げてくださるそうなので、ある程度本文が出来てから依頼すると安心かも。私はページ数を決めてから書き始めるタイプだったので、特に気にならなかったけど。
②2022.09.04
webオンリーで先行頒布した後、リアルイベントでも頒布した一作。リアルイベントに参加したのはこれがはじめて。一般参加も未経験だったので本当の初心者というわけ。10年来の友人もとい同人先人に手を引かれ、涎掛けを振り乱しての参加でした。
戒め「会場搬入出来るように原稿する」
同人誌を詰めたスーツケースはまじで重い、すごく嵩張る。実際に行ってみて改めて実感したことだけど、スペース、結構、狭い。敷き布やポスターやお品書きや頒布物をわちゃわゃしていると、あっという間にぎちぎちだった。締め切りがやばいからと言って知人の実家に直接頒布物を送り付け、そこから会場に持ち込むのはやめた方がいいなという感じ。というか事前に許可を得ているとはいえ、普通に迷惑だし正気を疑われるからやめた方がいい。会場搬入を利用しましょう。
印刷所:おたクラブ様
・値段がお手頃
・少部数対応(10部から)
・箔押し、ホロPP、角丸加工、三方印刷などがある
・短納期プランでもお手頃(3営業日)
・ノベルティも充実(アクキー、ファイル、布製品、等)
⇒とても、お手頃。その2
入稿もスムーズだし、使える紙や加工の選択肢も程々に多い。カートに入れた商品が一定時間で消えることや、繁忙期になると予告なく商品が消える(あるにはあるが、○月○日まで△△という商品を停止します、という連絡だけがあらわれる)ことなど、少し注意する点もあるが、値段・早さ・選択肢のバランスが良いおすすめの印刷所さん。スマホ用のテンプレートもあるらしい、使ったことないけど。
表紙デザイン:友人
・いつもありがとうございます、の意を此処に記します
・最高の表紙を本当にありがとう
・ででにーや買い物やご飯や温泉やと、死ぬほど詰め込んだ日程に付き合ってくれてありがとう
・次は履きなれた靴に、軽装備で向かいたいと思います(戒めその2)
⇒友人に表紙をお願いし、有難いことに快く引き受けて頂けた回。
お礼をすることは勿論のこと、どんな作品にしたいのかを明確に固めてきっちり説明することが大切だなと思いました。自分の中にあるイメージを言語化することの難しさを、改めて認識出来た気がする。あと自分の説明下手も。「何かええ感じにしといて」と「晩御飯なんでもええで」はこの世の中でも重いタイプの罪なのだなという感じ。悔い改めましょうね。
③2022.09.04’
ひとつ前の作品と同時に頒布した作品なのだが、スケジューリングを誤ったせいで、びっくりするほど時間がなかったことを覚えている。余裕のある入稿の筈が、短納期プランでねじ込んでもらった形ですね。それでも予算内にきっちりおさまったので、おたクラブさんはすごいと思う。
印刷所:おたクラブ様
・上述参照
表紙イラスト:てんぱる様・表紙デザイン:フォロワーさん
・1冊目でお世話になったてんぱる様の、表紙素材を使用
・配置や文字入れ等を、フォロワーさんに依頼
⇒表紙素材として使いたいものはあるが、加工の仕方が分からなかった回。
有難いことに偶々知り合いのフォロワーさんがお力を貸してくださったので、デザインをお願いしました。ひとつ前の作品で自身が思い描いているイメージの伝え方は何となく掴み始めていたので、簡易な企画書を作成してお渡しした感じ。(タイトル等の必要事項と、素材の配置案をいくつか記載したもの)
終わりに
過去を見返す為、私は今、自身の作った同人誌たちを眺めている。
諸事情によりこちらに載せることの叶わなかった一冊も含め、どれもが愛しい我が子であるのだ。執筆中は、まさかこんな気分になるだなんて思いもしなかった。
文字を書くというのは、苦しく辛い、孤独な作業である。
一人と一人の積み重ね。
それがこんな形で実りになるなんて。
やりたいことはまだたくさんあって、書きたいそれも多くある。
場は変われど、私という人間は文字を書き続けるのだろう。
noteを書いている今でさえ、私は書きかけの小説の続きを思っているのだ。
これを読んでくれた貴方も、そうだと良いなと願いながら。
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