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ウェディングジャーナル連載_Vol 1  生産性改革

※本記事は2023年WJに連載していただいた記事をアップしています。

ブライダル業界の生産性改革

私にこの連載を託していただいた理由としましては、
既に業界の中でも、コロナ対応のみならず、
今後を見据えた大きな改革がテーマになりつつあり、
私が実際に、コンサルティング事業・事業再生を通じて、
様々な企業の皆様と奮闘しながら、
その改革の事例に多く携わってきた実績・事実を、
皆様の一助になさっていただければというコトから、
執筆させていただきます。

第1章_抜本的な生産性改革 
第2章_"改革に必要な利益を創出"する「利益構造改革」 
第3章_新規セールス改革」
第4章_健全な組織改革
第5章_成果を創出する組織改革 
第6章_自社×他社 企業を超えた協業 

最初のテーマに選定したのは「生産性改革」です。
組数減・列席人数の減少に拠る減収、寄せられる顧客対応、
入社よりも離職者の方が多い状態が続く中での組織の疲弊。
そして、一気に訪れた組数の戻りにより、更なる疲弊。
今も、今後を見据えても最も大きな課題の一つと考える方も
多くいらっしゃると思いますので、最初のテーマに選びました。


第1章_抜本的な生産性改革※

※本来生産性を論じるには「量・質」をお話しすべきですが、
今回は「量=時間」に重点を置いています。

「労働集約型産業」と言われ続けたこれまでの業界を顧みる。

コロナ禍以前は、ブライダル業界は「やりがいはある」一方で
「労働集約型産業」と言われてきました。
ではその実態・正体は何だったのでしょうか?
紐解いていくと、実は接客に費やす時間の一方で、
事務処理や電話、各所の調整、問合せ対応などに費やす時間が
かなりの比重でした。また、接客自体も、効率的でない打合せが
あったことも事実でした。この弊害は、顧客には、
結婚式準備は忙しくて大変という体験をもたらし、
メンバーには長時間勤務を課したり、
大きな影響を与えていたと感じています。

生産性改革のポイント

多くのクライアント企業にて、生産性改革を
ご一緒させていただきましたが、
改革のポイントは4つとお伝えしております。
1.業務フローの見直し/再構築
2.組織設計(業務分掌)の再構築
3.マネジメント改革
4.業務システムのリプレイス(または導入)

生産性改革の事例紹介

1.業務フローの見直し/再構築 
生産性改革を行ううえで、ほぼ全てのケースで
「業務フローを可視化して、再構築」してきました。
コロナ禍の影響で普及したオンライン打合せにより、
打合せ時間を短縮できるので今後も推奨(継続)
しようという動きや、打合せの一部を動画化するという
取り組みは、多くの企業で定着してきたように感じます。
(もし実施されていない場合は、即効果が現れるのでおススメです)
実際に、多くのケースで実践してきた事例でのポイントは2つです。
 
・まずは効率化がなぜ必要かをしっかりと説明するコト
・その上で「顧客満足を下げることなく、むしろ上げる前提で、
今と比べて50%の業務時間で業務を行うとしたら?」というコト
 
人間は、これまでやってきた慣習を変更する場合、
それが良いものであっても抵抗します。
これは、本能なので仕方ありません。
だからこそ、説明するコトを軽視してはなりません。
多くのリーダーに聞くと「説明はしたのですが、メンバーが
実施してくれません。」という声をよく聞きます。
大半が、メンバーの心が動き、自分ごとになっていないからです。
改革に近道はなく、まずは、対象となる関係者の合意を得る
ことが重要です。
そして、実際の設計を行うのですが、私は前提条件に必ず、
今よりも顧客満足を上げる前提を付けます。
そして、様々試行したのですが、結果目安としては
「50%」で設計してみるのが、良さそうだという結論に
達しました。「積み上げ」では出せる成果は限られます。
先に生み出される「ゴール」を示して、
そこからの逆算によって、設計することで、
新たな発想が数多く生まれてきました。
そうすると、業務フローを起点として、社内のルールや
仕組みにも話は及ぶようになり、50%の設計が完成します。
もう一つ、重要なのは、設計したら完成するほど改革は
甘くはありません。しっかりと実践と検証を行いながら、
文字通り育てていくことで、成果に繋がります。

2.組織設計(業務分掌)の再構築
次いで、それらの業務を「誰」が「どのように」やるのかを
再構築します。1と2だけは順序が逆転しない方が良いと
感じていて、「誰」ありきだと制限が掛かってしまうからです。
ここでのポイントは、顧客満足・収益性・合理性の観点からの
最適解を導くというコトです。
例えば、お客様からの引出物の変更は、
担当プランナーが受けるコトが顧客満足なのでしょうか?
社内共有用資料のコピーは、担当プランナーが行うと、
精度が上がるのでしょうか?ゼロベースで考えると、
おのずと答えが見えてきます。会場規模や特長にも拠りますが、
少なくとも「例えばプランナーでしかやれない業務は何?」という
制限を設けることにより、合理的な選択肢が描けることが多数あります。
これは、プランナーに限ったことではありません。
言わずもがなですが、好きな業務だけ行うコトを
意味しているのではありません。

3.マネジメント改革
昨今の様々な事象に直面して、マネジメントメンバーでありながらも、
自身もマネジメント以外の業務を多数おこなっている現状では
非常に発しづらいポイントなのですが、
改革を行ううえで、欠かせないのがマネジメントです。
よく質問させていただくのですが
「メンバーの工数をどの程度マネジメントできていますか?」という質問を
すると「勤務時間は把握できている・残業しないように声掛けはしている」
というご返答をよく聞きます。
その際、敢えて厳しいコメントではありますが、
「成果を変えるのがマネジメントの職務であるコト」を私はお伝えします。
とは言え、具体的にどのようにマネジメントを実践すれば良いか?という
ポイントとしては、例えば以下のように手段をお伝えします。

・前月末に1ヶ月の工数を4分割(4週)して、その時点で、
 配分をメンバーと話し合う。
・1週間の最初に、週の業務を全て洗い出し、メンバーと話し合い
 助言する。
・週初め、日の仕事始めには、必ず計画通り行けそうか、調整が必要か
 話し合い、課題は解決する。
・全員で決められた時間で成果を創出しようとする組織の雰囲気を創る

時報のように「あと〇時間で業務終わり」とか「残業しないように
頑張ろう」と号令することも無意味ではありませんが、
成果を大きく変えるには至りません。

4.業務システムのリプレイス(または導入)
業務システムを導入している企業の方が多くなっていますが、
一方で今後を見据えると、本当に今のシステムで良いのか?という
検証を行うコトをお勧めしています。
と言いますのも、現状のそもそも婚礼業界システムは、
様々な事情があり、同じ顧客データなのに、
問合せ対応・新規セールス・施行での顧客管理・配席表管理・
生涯顧客化にて、全て使用するシステムが異なったり、
一部エクセルや紙で管理するというコトが当たり前の状態でした。
また、1で述べたような業務フローを改革した時に、システム構造上、
フィットしないというコトも起こります。その場合は、
システム自体の設計をアップデートするか、
リプレイス(システムの変更)を検討することを行っています。

さいごに.


初回である、今回は「生産性改革」について、記しました。
生産性改革なしでは、新たな取り組みも出来ないと多くの方が
お考えでいらっしゃいます。本稿が、少しでも皆様のヒントに
繋がることがありますと幸いです。

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