作品の文脈に触れる(今日までの展示の感想)
建築家の久米岬さんが参加されている4人展「Hello world」が今日まで、尾山台のFlussさんにて開催中です。
https://note.com/misakikume/n/n0a97d4fa732e
久米さんが展示されているのは全部で8点。
同じく展示作家で写真家の山口明宏さんのピアノの演奏に反応して電球が明滅する作品や、
額縁を形作る木の考察、水の考察を写した映像、時間の経過を見つめた真鍮の腐食、設計で携わった廃塗料を生かしたスタディなど実にさまざまです。
写真だけを見るとなんだろう?と思うようなものばかりですが、作品を作るに至った小冊子「思考録」を手に展示を見ることで、久米さんの思考の分脈がよくわかりとても面白いです。音との呼応といい、会場でしか味わえない作品だなあと思います。
今回、建築家である久米さんが展示されている作品は、直接的な「建築の作品」ではありません。ですが、建築を考えるということは、その周りにあるあらゆるものに思考を巡らすということで、久米さんがどんな眼差しで日々思考しているのかが、とてもよくわかる展示になっています。なので、建築模型が並んでいるわけではないですが、作品を見たことでなんとなく「久米さんの建築への眼差し」が伝わってくるのではないでしょうか。そういう意味でも、面白い展示だなあ、と感じました。
山口さんの音に反応して変化する、液晶を飾った額縁の作品など、他にも魅力的な作品が並んでいますので、お時間のある方は、ぜひ尾山台まで足を運んでみてください。本日17時までの開催です。
久米さんも終日在廊しているそうですよ。
fluss
東京都世田谷区等々力2丁目1-14 B1
12:00〜17:00
さて、ここからは余談ですが、久米さんと一緒に小冊子を作っていて、実際に展示会場で作品を見て、
「作品の文脈が見える」ということの大事さを改めて実感しました。
今回展示されている作品は、ものそのものにかけられた手数や精巧さを堪能する種のものではありません(実は日々の仕事の中でたまたま出来上がったものも)。
けれどそれが面白いのは、それを作るに至った思考が興味深いから、その思考に触れることができるからなのだと改めて思いました。これは絵にも通じることであり、我が身を振り返って少し内省したりも。
久米さんの今回の作品は素材に注目したものや、その場の環境に呼応するものがほとんどなので、特に会場でしか味わえない魅力があります。尾山台、なかなか行き慣れない駅かもしれませんが、自由が丘から2駅、渋谷から20分程度です。商店街のお散歩も楽しいので、お時間ある方はぜひ行ってみてくださいね。
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