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アイスホッケーはどこへ行く

10月1日は休みでボーッとしてたら、驚きのニュースが飛び込んできました。

「アイスホッケーチーム『王子イーグルス』のクラブチーム化について」

ああ、とうとうこの日が来たかというのが、リリースを見た時の最初の感想で、同時に「ああ、取材したいな」「このことについて書きたいな」といてもたってもいられなくなったのですが、異動してしまった今はその立場にないので「ごく個人的な思い」として、この場につらつらと書こうと思います。

まず、廃部でなくて良かった。
これに尽きます。

来年4月に運営会社を設立し、クラブ化。王子ホールディングスは支援を続けるそうで、廃部することなくクラブ化へソフトランディングしたという印象です。これでアジアリーグから実業団は消えますが、親会社に頼っていてはダメだということは、古河電工、雪印、西武がチーム運営から手を引き、昨年日本製紙が廃部になったという過去から分かっていたことでした。他競技を見てもサッカーもバスケットボールもクラブ化が主流なので、チームを残すためには越えなきゃいけない壁なのです。もう、しょうがない。

2018年から19年にかけて日本製紙クレインズの廃部を取材した時の悲壮感はとてつもなく…あれが王子で繰り返されることがなくて良かったというのが正直な気持ちです。ユジノサハリンスクのリンクで見たような、選手たちの辛そうな顔はもう見たくない。

王子の選手も何人かSNSで今回の件についてコメントしてましたが、前向きでした。やはり、選手にとっては「アイスホッケーが続けられる」というところが何よりも大きいのだと思います。

アイスホッケーチームの運営費は、クレインズの廃部を取材した当時、2〜3億円程度と言われていました。これだけの額を集めるのは簡単ではありません。日本製紙クレインズがクラブチームに変わる時の苦しみを見れば明らかなことで、それを思えば、王子はクラブ化後も王子ホールディングスという後ろ盾があるのはラッキー。大きなアドバンテージを存分に生かして、新たなスポンサーを獲得して、より愛されるチームになってほしいと願うばかりです。

確かにクラブ化はびっくりニュースなのですが、いちアイスホッケーファンとして、王子の廃部を覚悟していたので良かったなという気持ちが大きいのです。これからも「氷都」苫小牧でアイスホッケーが見れる未来があるのはいいことだと思うのです。

しかし、このままでは日本のアイスホッケーは先細りするだけ。リンクに行ってもお客さんは少ないし、アイスホッケーの灯火が消えそうで悲しくなることも多いです。男子日本の2020年の世界ランキングは24位だったり、強化面でも課題は山積みなのですが、まずはアイスホッケーファンを、会場に来てくれるお客さんを増やしてチケットを売らなくてはクラブは立ち行きません。同じアジアリーグの日光は、地域に選手が顔を出すなど、地道な努力を重ねて、シーズン中に何度も霧降アリーナを満員にしますが、それでも経営は厳しいと聞きます。

わたしはホッケーのスピード感やゴールが決まった時の爽快感が好きです。知り合いに観戦を勧めたりもしますが、なかなか食いついてくれません笑 北米4大プロスポーツの1つなのですが、日本では苫小牧と釧路を中心とした局地的なスポーツになってしまって馴染みがなく、観戦までのハードルは高い。
その一方、好きな人の熱量はすごい。とても面白いスポーツで、バスケットボールが好きな方はハマりやすいのではないでしょうか。スケーティングで切り込んでシュート、遠目のシュート。ほら、ドリブルからのレイアップ、3Pシュート。似てると思いませんか笑 バックドアもありますよ。キーパーはいますが、FWとDFで5人なのも同じです。

最初は大してアイスホッケーに興味がなかったのに、巡り合わせで王子を取材したらハマって、スポーツ取材を希望するに至った、いちファンのつぶやきでした。

みなさま、とりあえずアイスホッケーを観に行ってくれませんか。

ジャパンカップは10月10日開幕です。

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