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不正転売防止はジャニーズとブロックチェーンという意外な組み合わせとともに

ジャニーズ事務所が、ブロックチェーン技術を活用した新しいチケット・入場システムの実証実験を、5月3日から6月5日まで東京グローブ座で開かれるジャニーズジュニアの公演「JOHNNYS’ Experience」で実施すると発表した。

ジャニーズがリセールへの一歩を踏み出すって!?
なんて朗報だ!!

■アナログからの脱却

このニュースに「長年横行する不正転売対策に事務所が本格的に乗り出してくれた」と感涙したジャニオタは多いのではないかと思う。5年ほど前まで、ファンクラブを通じて申し込んだチケットの当選・落選の確認は電話しかなかった事務所のアナログぶりを思うと夢のような話だ。

わたしは、昼に当落が発表になると仕事の合間を見て100回、200回とダイヤルし続けてもつながらないことに毎度絶望していた。次の日にかければすいているので、待てばいいと言われればそこまでなのだが、早く知りたいというのがオタク心理。つながるまで気が気じゃない。2,3年ほど前からは各グループのファンクラブページで当落を確認できるようになって、そんなストレスはなくなったが、これは10年前とかではなく、ほんの数年前の話。

ああ、積年の思いで話が少し横にそれてしまった!!

数年前までそんな状況だったことを想像してもらえれば、今回の発表は涙が出るほどの進歩。不正転売対策をジャニーズはちゃんと考えてくれていたのだと、両思いになった気分だ。

■チケット取引の実態

さて、今回の実証実験はどんなものなのか。

上記のサイトによると、公演を観に行けなくなった場合にジャニーズジュニアのファンクラブ「ジャニーズジュニア情報局会員」の家族や友人へアプリを通じての譲渡が可能となった。リセールとまではいかなくとも、公式に譲渡の道ができただけでも画期的だ。会員に譲渡先を限定しているというのもポイントで、会員情報を把握できるため、不正があった場合も身元を突き止め、迅速に対応できるいうことだろう。

ジャニーズ事務所は、2017年にQRコードによるデジタルチケットを導入したがリセール機能はなく、行けなくなった場合も、譲渡できないので空席もやむを得ない、お金も公演も諦めてもらう、というのが公式の見解だ。とはいえ、落選してチケットを探すファンと、行けなくなったり重複当選したりしたファンは必ずいるもので、アンダーグラウンドで転売が繰り返されてきた。

これはチケットが紙でもデジタルでも変わらなかった風景だ。ジャニーズ事務所は譲渡を認めていないうえ、高額で転売されていることは長年大きな問題になっている。

コンサートの当落が判明すると、ウェブのチケット掲示板やTwitterに「チケット探しています」「チケット譲って下さい」の言葉がずらりと並ぶ。そこで、ファン同士がチケットを融通しあう。ネット掲示板やSNSでは「相場理解」という言葉のもと、数千円のチケットを数万円で転売しようとする者が現れ、チケットリセールサイトでは、1枚10万円、20万円と信じられないような値段がついているのが現状だ。チケットを持っていないのに「譲る」と持ちかけ金銭をだまし取る詐欺事件で逮捕者も出ている。

少年事件課によると、女は昨年12月、SixTONESのコンサートチケット2枚(販売価格1万4千円)を3万円で譲るとツイッターにうそを投稿し、反応があった愛知県一宮市の女性(19)とLINEでやり取りして、自分の口座に2万6千円を振り込ませた疑いがある。

2020年7月1日朝日新聞デジタル

■手に入らないチケット

ジャニーズのコンサートは、ごくわずかに一般販売があるものの、「買えた」という話は都市伝説レベルで、ファンクラブに入って取るのが常。会員になってチケット申し込んだとしても、販売数以上にファンがいるので必ずしも当たるわけではない。その人気ゆえに、お金を積んででもコンサートを見たいファンとそれを悪用する、転売屋やマナーの悪いファンが出てくるという悪循環に陥っているのが現在地。だからこそ、定価でチケットを買って「安心・安全」に自担を拝みたいと思う大多数のファンにとって、リセールは待望のシステムなのだ。

わたしも仕事でコンサートに行けなくなり、泣く泣く空席にしたことがある。チケット代金をどぶに捨てたうえに自担に会えない悲しさよ。金銭の取引の詳細が今回明示されていないのが気になる所ではあるが、クリーンな譲渡システムが公式に提供されるだけでも、テンションが上がる。

■ブロックチェーンとは

やー、いいニュースだとTwitterに書き込んだら、会社の先輩が「ブロックチェーン」という別のポイントに反応してテンションが上がっていた。ブロックチェーンとはなんぞや、と思っていたが事務所がリセールへのかじを取ったことに興奮してスルーしていた。

先輩によると、どうも、ブロックチェーンとチケットシステムという組み合わせは珍しいケースらしい。

すこしググると、以下のような説明が見つかった。

ブロックチェーンは情報を記録するデータベース技術の一種で、ブロックと呼ばれる単位でデータを管理し、それを鎖(チェーン)のように連結してデータを保管する技術を指します。

各々のブロックには、直前のブロックの内容を表すハッシュ値と呼ばれるデータが書き込まれています。仮にデータを改ざんした場合、それによって導き出されるハッシュ値も異なるため、それ以降のすべてのブロックのハッシュ値を変更する必要がありますが、これは極めて困難であることから、ブロックチェーンで管理されているデータの改ざんは難しいと言われています。

ICT Business Online

どうも、ジャニーズ事務所がサイトで「ブロックチェーンを活用することでチケットの流動を主催者側で把握することが可能となり、不正入場や不正転売を防ぐことができます」と説明する点がブロックチェーンというシステムとは?という説明に当たるようだ。先輩によると「真正で、改ざんできないシステム」らしい。

そもそもは仮想通貨の1つである「ビットコイン」取引の実現のために開発されたシステムだそうで、取引履歴を記録し、データ改ざんが極めて困難なシステムであることが特徴。それを活用したものがジャニーズが発表した今回のシステムだそう。ブロックチェーンについては、ついさっき見知ってググった程度のの知識なので、わたしの説明にもしかしたら間違いがあるかも知れない。気になった方はおのおの調べていただければと思う。

■チケット✖️ブロックチェーンの描く先

本当に珍しいものなら、ジャニーズの新チケットシステムは、今後の業界に影響を与えるものになるだろう。事務所は不正転売への対策をしっかりしてくれないと憂いてきたが、こんなにも強固なセキュリティを持つビックシステムを準備していただなんてと驚くとともに大手事務所のパワーを感じた。リリースにわざわざ「新しい」チケット・入場システムと書いているのにも何かを示唆しているのだろうか、とも思う。

ジャニーズは10代の学生ファンも多いため、1万円越えのチケットを販売するアーティストが増える中でも、比較的価格を抑えていると聞いたことがある。そんな信念を持っているなら、事務所は不正転売をどれだけ悔しい思いで見ていただろうか。

ジャニーズのコンサートにいくと必ず、母親につれられた小さな子どもから、自担のうちわを大切そうに抱えた高齢の方まで見かける。幅広い年代のファンを笑顔にして、夢を与えるアイドルの公演に札束を叩いてチケットを買うような風景は似合わない。多くの人が定価でチケットを買って、コンサートを楽しめる日が早く来て欲しい。その方が自担も嬉しいに決まっている。

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