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「聴く/聴いてもらう、だけじゃない」 本屋 とにもかくにも。

表現したりアピールしたりが苦手な子で、いつもそこに劣等感を覚えていた。ピアノは別だった。自分を表現するというよりは、「曲」を表現するという感覚だったのだと思う。今でも、誰かに聴かせるためではなく、ただ弾きたくてピアノを弾いている。

そのことを、周りは不思議に思うらしい。
音楽といえば「聴く/聴いてもらう」もの、というイメージが強いのだろう。

わたしもそうだった。
スポットライトが当たり、堂々と自信に溢れた人には憧れがあった。

きっかけは本だ。
『オーケストラの職人たち』(文藝春秋)、
『パリ左岸のピアノ工房』(新潮社)。
主役ではない、だけど大切な仕事を切り取った本たち。

それまでは、裏方にしかなれない自分は好きになれなかった。
でも今は、その難しさも大変さもかっこよさも分かる。

子どもの頃にこのことに気づけていたら…と思うから、大きな声で発表したり子どもらしく表現できることが良しとされる場面を見ると少し心が痛む。
それだけがすべてじゃないよ、と言ってあげたい。
「好き」だけで弾いてもいいんだ。

本屋のなかった福井県池田町で小さな出張本屋&カフェをはじめました。
実店舗化に向けてがんばる。小さな野の花が好き。


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