「初夏に」 わすれなぐさ
閉め切っていてはどうにも寝つけない暑い夜が、今年もめぐってきた。
電気を消し、窓をあける。遠くの、さらさら、という儚い音が、
風にのってカーテンを揺らす。
南部鉄器の風鈴が、北国のみじかい夏のはじまりを告げる。
もしも、天の川にも流れる音があるならば、
この、さらさら、という音かもしれない。
笹の葉さらさら
のきばに揺れる
お星様きらきら
金銀砂子
記憶の澱から、うたが聴こえる。
五色の短冊
わたしが書いた
お星様きらきら
空から見てる
幼いわたしが短冊を前になにを想ったか。
今ではひとつも思い出せない。
今のわたしならなにを想うか。
それはこの先もただひとつ。
空に昇った親しきひとへ、また会う日までわたしは生きると。
盛岡市在住。日々の所感を細々と綴っています。
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