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小説「歌麿、雪月花に誓う」

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江戸時代の浮世絵師・喜多川歌麿は栃木県栃木市と深い関りがあります。当時、 同市内の豪商・善野家を訪れ、大作「雪」「月」「花」の3部作を仕上げました。 3作とも畳2~3枚分と巨大で… もっと読む
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小説「歌麿、雪月花に誓う」投稿に当たり

 栃木県南部、蔵の街として知られる栃木市は、江戸期を代表する浮世絵師・喜多川歌麿ゆかりの…

小説「歌麿、雪月花に誓う」①

  第1話、  品川沖の雲間に満月がかかり、凪いだ波間には幾艘かの小舟が浮かぶ。長閑な遠…

小説「歌麿、雪月花に誓う」②

  第2話、  5年前に遡る。  どんよりとした雲が低く垂れこめ、陽光もぼんやり陰っている…

小説「歌麿、雪月花に誓う」③

  第3話、  大文字屋は吉原遊郭内の京町1丁目にある総籬の大見世だ。間口13間、奥行22間…

小説「歌麿、雪月花に誓う」④

 第4話、 「いつまでこんな格好してりゃいいんだい。いい加減にしてくんねえか」  前屈みに…

小説「歌麿、雪月花に誓う」⑤

  第5話、  いってえ、なんでえ。随分な人だかりじゃねえか。何かあったのかい、そんなに…

小説「歌麿、雪月花に誓う」⑥

  第6話、  歌麿は筆を止めては版下絵を睨み、時折、溜息をついている。隅田川を望む料亭の一室を舞台に、女郎をどう描こうか迷っている。というより、脳裏にへばりついた錦絵が筆の邪魔をしている。画室の片隅にある書架をちらりと見た。気になって仕方ない。  天明4(1884)年4月16日未明、吉原遊郭内の水道尻から出火、廓は全焼し、両国などで仮宅営業となった。廓から制作依頼があり、蔦重の指示で、歌麿は新吉原仮宅両国之図として描くことになった。 「どうにもうまく描けねえ。どうすりゃいい

小説「歌麿、雪月花に誓う」⑦

 第7話、 「何とも奇妙奇天烈、奇想天外と言いますか、破れ傘が宙を舞っているのですか」  …

小説「歌麿、雪月花に誓う」⑧

 第8話、 「でかした、歌麿。見事な挿絵だ」  蔦重は目を瞠った。  藤豆に絡みつく毛虫、…

小説「歌麿、雪月花に誓う」⑨

  第9話、 「どなたの墓をお探しかな」  歌麿が振り返ると、良恵和尚が柔和な笑顔で尋ねた…

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小説「歌麿、雪月花に誓う」⑩

  最終第10話、 「ところで、これまでの身に余る援助にお返しがしたい。絵師として一本立ち…

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