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小説「歌麿、雪月花に誓う」投稿に当たり

 栃木県南部、蔵の街として知られる栃木市は、江戸期を代表する浮世絵師・喜多川歌麿ゆかりの地として注目されています。
 当時、歌麿は同市内の豪商・善野家に複数回滞在し、作品を残しました。平成19(2007)年、同市内の民家で肉筆画「女達磨図」、3年後の同22(2010)年には同じく肉筆画の「鍾馗図」「三福神の相撲図」(以上、3作品とも同市所蔵)が相次いで見つかり、歌麿の栃木市滞在説を裏付けました。
 特筆されるのが、大作の肉筆画3部作「深川の雪」「品川の月」「吉原の花」です。善野家の一つ、呉服太物商「釜伊」の依頼で制作したとされ、明治期、海外流出する前に撮影された写真乾板や写真類が同市内に残っています。
 海外流出後、品川の月は米国フリーア美術館、吉原の花は米国ワズワース・アセーニアム美術館にそれぞれ所蔵。深川の雪は平成24(2012)年2月、国内で見つかり、現在、岡田美術館(神奈川県箱根町)に所蔵されています。
 各作品とも畳約3枚分と巨大な上、サイズが不揃いで、いずれも落款がありません。幕府公認の遊郭・吉原、岡場所の品川、深川を舞台に、遊女の姿が「吉原の雪」で最大52人も描かれています。歌麿がなぜ、栃木市でこの絢爛豪華な大画を描いたのでしょうか。謎は尽きません。
 そんな疑問から小説「歌麿、雪月花に誓う」(計10話程度)をつくりました。第1話は3月5日投稿予定で、以降、毎週日曜日、掲載します。ぜひ、お読みになってください。
   (写真は栃木市星野町で咲き始めたセツブンソウ=2023年2月19日)
 

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