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ゲストハウスとまちづくりのジレンマ

地方でゲストハウスをやっていると、必ずと言っていいほど、「まちづくり」や「地域活性」とセットで語られる。
もちろん、結果的にそういうものにつながることは意識しているものの、私たちはそれ自体を目的には据えていない。

とはいえ、地域に遊びに来てくれるお客さんたちに充実したひとときを過ごしてもらえるコンテンツを作る・整備する過程では地域全体の課題や魅力向上に向き合わなければならないわけで。

このジレンマと向き合った1年でしたが、悩んだときに大事にしてきたのが、発酵デザイナー小倉ヒラクさんのブログだった。

地域におけるゲストハウス経営の罠。向かい合うな、前を見ろ。

個人的には「ゲストハウスが地域観光を盛り上げる」みたいなシナリオは良く思わない。そんなことをする前に、宿主はとにかく顧客ルートを開拓せねばならぬわけであって、まずは自身の宿のビジネスモデルを究極までリファインしないと生き延びていけない。
その地域がどうこうというよりは、自分の宿だけを目的に来てくれる人を増やす、というような気概が大事だよね。30人31脚競争は、観光においてはまったくアテにならない。まずは自分が最高速でゴールテープを切れって話だ。
「横並びでがんばろう!」という美学は使い方を間違えると「横並びで詰む」という無理ゲーに転化する。あなた自身が、あなたのやり方で、あなたの思うようにとことんまでやり切るという事が一番大事だと僕は言いたい。地域の問題は、個人こそが変えられる。自由に、楽しく、ワガママにやってほしい。
横を見るな、前を見据えて、地平線の向こう側を目指して欲しい。
地域の人と「向かい合う」のではなく、「隣り合って」未来を見て欲しい。少なくとも僕はそう思って、色んな地域の若旦那と仕事をしてきました。


これはもちろん、地域をスルーしていいというドライな話ではなく、あくまでバランスの問題なのだと思う。
とはいえ、地方にいるとこの「横並び」に出くわす機会もあり、個人的にはこのメッセージは地方で事業を行う上での本質をついていると確信している。

「自由に、楽しく、ワガママに」。
地方は課題が山積みだし、いわゆるスローライフのような生活様式で暮らしていける人は少ないと思う。だからといって、使命感や義務感が先行し、都市部と同じように地方も疲弊してしまっては元も子もないと思う。
地方での暮らしを自分たちがいかに楽しめているか。それが地方に人材が還る最大の訴求ポイントだと思うし、交流型のゲストハウスとしては最大のコンテンツになると信じて、これからも日々の営みを楽しんでいきたいと思う。


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