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美術館の鑑賞ガイドさんのおかげ

今年はほんとうに展覧会が目白押し。去年厳選して観てちょうどいいぐらいだったけれど、今年はもうスケジュールするのが大変なぐらい!(鑑賞記録をこちらで書いています)

そんな楽しみにしている展覧会の一つが、ジュリアン・オピー展。


どうしてわたしがジュリアン・オピー作品が好きになったかというと、鑑賞ガイドさんによるところが大きい。

5, 6年ぐらい前だったと思う。竹橋の東京国立近代美術館の常設展のガイドツアーに参加したときに、紹介してくれた作品の一つが、ジュリアン・オピーだった。作品自体はそれまでも知っていたのだけれど、そのボランティアガイドさんはすごくよい場づくりをなさっていたのが、印象深かったのだ。

そのポイントは、


①鑑賞のサポート役に徹している
②作品をよく観る時間をとる
③参加者に事実質問をする
「これ、何が描いてあると思いますか?」
「この連作の4枚の中でどれが好きですか?」
「これの名前を知っていますか?」など。
(マニュアル通りな感じも、慣れきっている感じもなく、その場その場に新鮮にいてくださった)
④鑑賞に必要な最低限の情報や知識をそっと渡してくれる
⑤ガイドさん自身の感想も言う
⑥ちょうどよい点数の作品で、さまざまなジャンルや時代や地域や表現方法を選んでいる
⑦一緒に観て周り、聞いたり話したりするのに適度な人数
⑧対等性、親しみ、気楽さ、和やか、刺激、発見などがあった

...などがパッと思い出せるところ。どうしてこうすぐにパッと取り出せるかというと、そのときすでにわたしは場づくりをしていたので、この心地よさはどこからくるのか、その方の場のつくり方を観察していたのだ。

これは美術館のガイドプログラムの設計もよいのだろうし、それをボランティアさんに訓練する内容や、訓練を担当する方もきっとよいのだろう。

そういう環境の中で、その方自身の人柄や能力が十分に発揮されているのだと思った。ガイドがそのような方だと、鑑賞者の中にはよき体験が残る。その場にいた人と特に顔を見合わせるような場面はなかったのだけれど、交流した、あの時間を共にした、という感触が残った。

おかげで紹介してくださった作品は、よい体験としてぜんぶ覚えている。その後、その美術館に常設展を観に行くたびに思い出しているし、こうしてジュリアン・オピー展が開催されるとなるとやはり「観に行きたいな!」と思うようになっている。


わたしも「よく知っている世界」を、まだそれを知らないでいる人にわかりやすく橋を架けて渡ってもらうガイド的な仕事を日々やっているが、わたしもまた日々、いろいろな人に橋を架けてもらっている。

そこで得たよい体験は、自分がガイドするときの糧になる。
よい循環の中にいると幸せだ。

橋を架ける場(機会、催し)もどんどんつくりたいし、場をつくるトレーニングもどんどん提供していきたい。

(*写真は、東京国立近代博物館でもオペラシティでもないところでたまたま展示されていた作品です)


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飛ぶ鮎の底に雲行く流れかな 鬼貫
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鑑賞対話ファシリテーター、場づくりコンサルタント、感想パフォーマー。関係性、対話、表現。温故知新。鑑賞の力を生きる力に。作り手・届け手と受け手とのあいだに橋を架け、一人ひとりの豊かな鑑賞体験を促進する場をデザインします。https://seikofunanokawa.com/

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