見出し画像

好みではないが面白かった『TENET テネット』感想を置いておきます。

どうも。海外テレビシリーズと映画ばかり観てるキャサリンです。なんかこう、ノーランの映画観たら通過儀礼?というか風物詩?というか、書いとこうかねというスタンスで今日は映画好きがこのシルバーウィークで話題にしまくってる『TENETテネット』について書きます。

これは、クリストファー・ノーランのせいでは全くないんですが、ノーラン映画は難解だということから「難しいかもだけど」「女の子は好きじゃないかもだけど」とかいう言葉に人生で何度も遭遇してきて、かつ考察も世の中にめちゃくちゃあるので上記のように、性別とか関係なく好きになってやるぜ!理解してやるぜ!という気持ちと、なんか考察的なこと言わないといけないかしら?みたいな心情を観る前から抱えてるのはある意味私自身にとってはノイズにすらなってきてるのかもしれない。

と言うことを前提にネタバレ全開で書くので、未見の方はお気をつけくださいね。

1.音楽が非常に良い

これまでは、クリストファー・ノーラン映画と言えばこの人、大御所ハンス・ジマーでしたが、今回からルドウィグ・ゴランソン(ルートヴィッヒ・ヨーランソンに今後統一の雰囲気?)が担当。つい先日『マンダロリアン』でエミー賞も受賞。今若手注目ナンバーワンの作曲家ですね。最初に注目されたのは『コミカレ!』なので、数年でここまで大物になるとは、と言う感じでしょうか。

キャッチーでありながら作品を邪魔せず盛り上げるというか。『ブラックパンサー』以降個人的にかなり注目している作曲家さん。今回も『TENET テネット』全編を通してめちゃくちゃ良かったですね。IMAXで見たからもですが、サウンドが凄く良い。きっとドルビーシネマでも凄いんだろうな。さりげなく、でもカッコよく盛り上げるというか。ちょっと説明臭いシーンでも音楽の力でグイっと持ってく感じもあって良い。

2.ラブコメより少ないVFX使用という異常さ(褒めている)

ジョン・デイヴィッド・ワシントンのフィジカルな強さ(さすがアメフトやってただけある)も含め、VFXを極限まで使わないアクションはとても見ごたえがあり。最後の10分間のミッションなんて、逆行部分以外は全部実際に爆破したんだろうなと思うと、クリストファー・ノーランだからこそお金かけれるんだろうなぁと感動。やりたかったアクション全部やれた!という感じもひしひしと出てきて、感服でしたね。他の映画にはない迫力。このpracticalな魅力って改めて何だろうなぁと思います。SFの世界で敢えてリアルさを追求することでももっともらしさと言うんでしょうか。いやはや凄い。

3.チュートリアルシーンのチュートリアル内容

個人的には「自由意志は?」「関係ない」に、え?なんで関係ないの?ってなったのと、回転ドアで逆行する時間軸?に行くのはわかるけど、銃とかそういうのだけ順行の世界で逆行するのは何で?と思ったり…。そういうもんだからそういうもんとして楽しんでくれ!っていうのはある意味潔いなと。こういう映画で世界感の説明が多いのは致し方ないかな~とはいえ、ちょっと前半チュートリアルシーンが多すぎて、展開が早いにも関わらず長く感じたのはもったいなかったなと…。ミッション・インポッシブル並みに世界をめちゃくちゃ移動してるけど、そこはバッサリ切られていて、そもそもどれだけ日数が経ってるのかも敢えてわかりにくくしてるのかな。そこも含めて見入っちゃうというか。

4.ロバート・パティンソンの献身とそれ以外の情緒

たぶん、全体的に長く感じたのはこれなんですよね。説明シーンが多いのは仕方ないとして、キャラクターがそのキャラクター説明以上のウェットな情緒というかそういうのが感じられなかったような。今回たぶんクリストファー・ノーランのお気に入りは、ロバート・パティンソン(と加えるならアーロン・テイラー=ジョンソン)なのかなと思いますが、彼には情緒的なものが他のキャラよりは感じました。その他のキャラはジョン・デイヴィッド・ワシントンのタスク完遂のための描写が多かった気がする。キャラクターと言うより、ストーリーを遂行するための駒とかパズルのピースのような。それは、ロバート・パティンソン演じるニールだけが、エモーショナルな意味で今回のミッションに参加してる風な感じがあったからかも。ロバート・パティンソンの献身というか。なぜそうまでも献身的であるのか、という描写は欲しかったですが尺的に難しいかも?つくづくリミテッドシリーズで作っても良い内容の映画だなと。

5.女性はいつもそうなのか。うーん。

時間の逆行という点はとても新しいなと思いつつも、古典的なスパイ映画をクリストファー・ノーランも語ってる通り、いろんなところがいい意味でも悪い意味でも古典的で。その点に新しさがなかったのは残念で、新しいものを求めてしまったからか、私の観たい映画ではなかったんですよね。エリザベス・デビッキとケネス・ブラナーの「還暦近いおじさまと若いワイフ」という構造がなんとも受け入れがたく。今でも富裕層にはそういう夫婦構造が多いのかしら…いつでも女性は高齢男性の愛玩なのかみたいな気持ちにもなってしまった。この構造がせっかくのエリザベス・デビッキの魅力をちょっと安っぽくしてたような気もする。彼女もっともっと美しくかっこいいと思うんだよね。

6.ラスボスのメンタリティはそれでいいのか

ケネス・ブラナー演じるロシア武器商人がラスボスなわけですが、結局は一人で死にたくないマンで、ものすごく嫉妬深く、陰湿な男で。小男だなという印象で。人類を消し去る系のラスボスはアベンジャーズしかり登場してるけど、今回はその中でもものすごくヘビーな幼少期を過ごした割には小男だったという…。典型的なロシア語なまりなのも、ちょっとそれでいいの?という。(余談ですが武器商人、怪しい裏社会ビジネスをしてるのはインセプションの時も今回も南アジア系なのも気になりまくる)最終最後は頼むから一人で死んでくれよ展開なんですが、2時間半の尺に収めるにはそうするしかないのか、意外と詰めが甘いなという感じもしなくもなく。底辺から成り上がった人なら、ノーランの映画ならもっと凄いやつ出てきてもいいような気もしなくもなった。世界は案外こういう小男のせいで終わるというメッセージなのかな。

7.なんやかんやで最後まで楽しく見させるノーラン力

とか言うことをアレコレ思いながらも、途中トイレに行きたさを我慢しつつも最後まで観ちゃうところにノーラン力がある気がしたり。いろんな細かいところあるけど自分が見たい映画作ったよ!どう???みたいな。そして、いろんな細かいところが細かそうで細かくなかったりもしてまた観ちゃいたくなるところもノーラン力と言うか。2時間半の映画を何度も観させるその力はやっぱり凄いなと思う。なんとなく、わかんないけどこれからもきっと私がおもう女性とか人種のステレオタイプみたいなのは抜けない監督さんな気もするけど、きっと別の意味で見られていくんだろうな~などと思ったりもした。映画と言う2時間~3時間の中で、『ダンケルク』同様今の映画のようなテレビドラマの流れと同様に冒頭10分でグイっと世界に引き込み、極限までpracticalに拘るノーランさんは今後どうな感じの映画を撮るんだろうか。彼のおかげでIMAXデビューする人も多いだろうし、そういう意味でも映画界に貢献してることは誰もが認めるところ。コロナ禍で映画館の売り上げに相当貢献してるだろうし。その意味でも配信ではできない何かも、今後も追及してほしいなと思う。

よろしければサポートを何卒…!貯まったら親とおいしいご飯に行こうと思います。