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『日本共産党中央委員会への電凸記』

 日本共産党の「2021総選挙 分野別政策 7、女性とジェンダー」に掲載され話題となっている非実在児童ポルノ問題について、やはり直接問い合わせる必要があると感じ、電凸をさせていただきました。
 本件架電前の、筆者が把握していた本件概要については以下を参照してください。


 あいさつ、自己紹介、担当者さんへの取次的な部分は端折ります。最初の質問として、「7,女性とジェンダー」の児童ポルノの部分についてその真意をお聞きしたいのですが、と伝えました。

担「どういった質問でしょうか」

――従来、日本共産党は、児童ポルノを名目にした表現規制に反対の立場を採っていたと承知していますが、児童ポルノについては「漫画、アニメ、ゲーム等の『非実在児童ポルノ』」というものの法規制に舵を切るということでしょうか。

担「違います。「60の『文化』」のところには、児童ポルノを名目にした法的規制には反対ですということが書いてあります。」

――そうすると真意が分からないのですが……

担(割り込んで)「ここにある通り、一足飛びに表現物創作物の法的規制ということを提起したわけじゃないんです」

――一足飛びでない提起、とはどういうことでしょうか?

担「一足飛びでない提起です。要するにココにあります通り、日本の現状に対する国際的な指摘があることを踏まえて、幅広い関係者で議論をして、子どもを性虐待性的搾取の対象とするようなことを許さない社会に向けて、議論を深めて合意を作っていこうと言う提起です。議論をして深めていこうと。」

――そのどういった「議論」をされたいのかという点に疑義が出てきているのですけれど(割り込まれる)

担(割り込んで)「どういった議論をしたいのかってことでいうと、児童ポルノというかですね、子どもを性の搾取の対象にするってこれは絶対いけないことですよね?」

――実在の子どもであればそうですね。

担「実在の子どもじゃなければ良いというお立場なんですか?

――もちろんそうです。ミステリー小説で人が殺されても、実在の人でないからいいというのとまったく同じだと思います。

担「え、ですから、それはですね。あの、ですから描写することは当然ありますよね。別に実在の人間使って、殺される場面を描くことはこれはありますよね。」

――描く(割り込まれる)

担(割り込んで)「その描写をすること自体を悪だとする立場じゃないんですよ!」
――この「非実在児童ポルノは、現実・生身の子どもを誰も害していないとしても、子どもを性欲や暴力の対象、はけ口としても良いのだとする誤った社会的観念を広め(割り込まれる)

担(割り込んで)「暴力の対象としても良いのだとする、そういう表現は駄目だということです。殺人は駄目だってことを前提として殺人を描くってことありますよね。それは別に実在の人間・俳優さん使ってやる場合もあれば、アニメのような形でも当然ありますよね。だけど子どもの尊厳を傷つけていいんだと、子どもを性欲や暴力の対象にしていいんだと言う風に描いたらそれは駄目ですよね」

――つまり(割り込まれる)

担(割り込んで)「子どもを性の対象にすることや子どもを暴力の対象にすること(←音声が聞き取りづらかったが、おそらくこう言っている)を肯定するような描き方をする、そういうことで良いのかってことを問題提起するということです」(つまり、の続きを話そうとしてもずっとまくし立てている。)

――つまり、作品のメッセージや伝えようとしている思想によって、それを規制するということなんですか? それは却って別の問題をすごく孕んでいるんではないでしょうか。

担「私達はそういう風には考えませんけれども。ここにある通り、表現の自由やプライバシー権を守りながら、子どもを性虐待性的搾取の対象とすることを許さない『社会的な合意』を、作っていくために……」

――(今度はこちらから割り込む)「その社会的な合意というのは、すみません良いですか(←これは割り込んだことへの謝罪)、法規制ではないと言いたいわけですね」

担「はい」

――「であれば、『誤った社会的観念を広め、子どもの尊厳を傷つけることにつながります』と、その尊厳を傷つけられる子どもを、上の方に戻りますと、『守ることを立法趣旨として明確にし』というのはどういう風に……?
 『漫画やアニメ、ゲームなどのいわゆる『《非実在児童ポルノ》』という言い方があり、『非実在児童ポルノは(中略)子どもの尊厳を傷つけることにつながります』、で『あらゆる子どもを守ることを『立法趣旨』として明確にします』と。
 これを全部つなげると……」

 ※ここで言いたかったのは、これらの記載をそれぞれ代入していくと
「子どもの尊厳を傷つけることに繋がる『漫画やアニメ、ゲームなど』から子どもを守ることを立法趣旨として明確にします」
 ということになってしまうということですが、割り込まれました。

担(割り込んで)「あらゆる子どもを守ることに反対なんですか?]

――はい?

担「子どもを性欲や暴力の対象として、するような、表現は誤っていると。あらゆる子どもを性欲や暴力から守んなきゃいけないということに、反対されるんですか!?」

――少なくとも思想やフィクションの上でそうするというのは(割り込まれる)

担「いやいや思想やフィクションなんじゃないんですよ。子どもを守んなきゃいけないんじゃないですか!? 性欲や暴力から」

――実在の子どもを、実在の暴力や性的搾取からは守らなきゃいけないです。僕はそう思います。たとえば「実際の人間を殺してはいけない」とかそういうレベルの話です。しかし「こういう場合には人を殺していいんだ」と、たとえば正当防衛の範囲や自衛隊の違憲合憲といった話で、限界事例として人を殺していいか悪いかって話は出てくる場合ってありますよね。

担「それは何か違う話になってると思うんですけれども、私達はですから、それを野放しにすることがですね。実際に子どもを性欲の対象にすること暴力の対象にすることを肯定してるような作品だって無いわけじゃないですよね。そんな誤った社会的観念を広めるということがあってはならないってことなんです」

――そういう作品として、どのようなものを想定しておられるんでしょうか?

担「実際にポルノ的作品があるじゃないですか

――「ポルノ的作品である」と、「それは実在の子どもを性欲や暴力の対象としてもいいのだという社会的観念を広める作品である」ということは別の話じゃないですかね。

担「別とは思いませんね。実際にそういう社会的観念を広めてる作品があるということを国際社会から、そのことについてあまりにも野放しであるという批判を受けてるわけですよね」

――外国の方が言ったからそうだ、というのは根拠にはならないと思うんですけど。

担「いえ私はなると思います。ですので私達はこういう議論を起こしていくことはね、漫画やアニメゲーム等の創作者愛好者の皆さんが、児童ポルノ規制を名目とした法的規制の動きに対して表現の自由を守る上でも大切だと考えています。これは児童ポルノではないですよと、法的規制なんて違いますよっていうところを、しっかりとした明確なものをしっかり打ち立てていく上でもですね、私は議論することは大いにやるべきだと考えてます。それは表現の自由を守るため、不当な法的規制から表現の自由を守るためです。むしろ有益であると考えています。...…ではお話がなくなったようなんで切らせて頂きます」

(切られる。最後の部分で当方の電話が本当に遠くなったのか、そういうフリをして切られたのか不明瞭。こちらからはハッキリ聞こえていたが、ただ電話が遠くなるというのはもちろんありうることであるので、かけ直す。以下あいさつや電話不調のお詫びは省略し、続きに入ってからの再開)

――先ほどの最後のお話ですが、「児童ポルノ」と「児童ポルノ」でないものを分けた上で、「児童ポルノでないもの」については表現の自由を守り、児童ポルノとみなされたものについては守らない、と?

担「私達はね、児童ポルノという名称自体がね、そもそも誤解招きやすいと思うんですけども、私達は『児童性虐待描写物』っていう風に法律上の名用を改めるべきだと考えてるんですよ。性虐待の描写を積極的にしている、あるいは現実の子どもに被害を与えうると客観的に判断できるものです。さっき作者のメッセージがって話がありましたけど、私達のはわいせつ性とか主観的要素じゃないんですよ、実際の児童に重大な被害を与えるものということを考えて物を言ってるんですよね。

――それがどのように判断されるかっていうところなんですけども。

担「だからそこを議論しなきゃいけないわけなんですよ」

――児童性虐待・性的搾取描写物という言い方なんですけれども、お話を聞くと「子どもを性欲や暴力の対象、はけ口としても良いのだとする誤った社会的観念を広めるかどうか」ということと、それが「描写されているかどうか」というのは別の話なのではないですか。いけないというのは「社会的観念を広める事」ですよね。ですけど描写しなくても、言葉や理論だけで「社会的観念」を広めるってことはもちろん有りうるわけですよね。

担「表現物にしてるからですよ」

――表現物?

担「アニメにはしてるわけでしょ、実際に事件有りましたよね」

――すいません、どの事件のことでしょうか。

担「実際にあったんですよ。アニメを見て、放射線の検査だと称して女子のいるところに近寄って行ってっていう、それは元々そういうアニメがあったんですよ。でそれを見て学んで、実際そういう犯行に及んだって事件があったんですよ。...…あ、ごめんなさい、アニメじゃなくて漫画ですね」

――「ああ、その(クジラックス著『がいがぁかうんたぁ』)事件ですね。でも今の話ですと、これこれこういう方法を使えば子供に近づきやすいですよ、というようなことをただ言うだけなら『性的虐待・性的搾取を描写した』とは言えないですよね」

担「それは違うんじゃないですか」

――「え、そんなことでも言えてしまうと」

担「近づいて性的暴力を加えてる場面があるんですよ、ちゃんと」

――「いや、それはその漫画の話であって、言葉の上でただその情報だけを伝えることは勿論できるわけですよね。こんなことをすれば子供にうまく近づけますよと言うってことは可能ですよね。で、実際のところ性的虐待が描写されているかどうかということと、社会的観念を広めるかどうかということは別に関係がないのではないかと思うっていうのがひとつ(割り込まれる)」

担「関係ないことないでしょう。で関係あるのかないのかっていうことも含めて議論すればいいんじゃないですか」

――そういったことを表現してはいけないのであれば、それを議論することもできないのではないですか。

担「そういう表現についてどう考えるべきか、どうとらえるべきか、社会としてどう受け止めるべきかって議論しようって言ってるんですよ。議論する前に法的に規制してしまったらそりゃ議論できないですよ。議論をしないで勝手に行政の側が恣意的に決めて規制するのは問題だって言ってるんですよ。

――ではそちらさまの(割り込まれる)

担(割り込んで)「だから議論しましょうって言ってるんですよ。議論するのダメなんですか!? 子供達を性的な搾取暴力から守るために大いに議論しようって言ってる。議論してないのに法的に規制すると、名目にするとダメだと。これダメなんですか?」

――立法趣旨として言ってますよね。

担「議論をしようって言ってるんですよ!議論しちゃダメなんですか、子どもたちを守ろうとしちゃダメなんですか」

――議論していいですよ。議論するのはいいですけど(割り込まれる)

担「議論しないで法的に規制するのは間違いだと、反対だと言ってるんです」

――「議論すれば法規制していい」って立場なんですか? ではないですよね?

担当「議論してからどうすればいいかを決めればいいんじゃないんですか。法規制という形になるかもしれないし、それとも社会的にそこはやっぱり表現の自由との関係で社会的に合意を作ってくと、世論作ってくとなるかもしれない」

――え、やはり反対してるわけではなくて、そこはあくまで不透明であると。議論をしようと、で、議論をした結果、法規制に必ずしも反対するものではないという姿勢を今現在、持っておられるということですか。

担「どういう規制の仕方をするかっていうのはそりゃありますよ。当然のことながら。議論しないで児童ポルノを名目にして、表現を法律で規制すると、法律で表現に不当な加えるということには反対だと言ってるんですよ」

――つまり「法的規制そのものに反対」なのではなくて「議論なしの法的規制に反対」であるにすぎないということですか?

担「……そりゃですから議論した上で法的規制が出てくるかどうかによりけりですよ」

――? よりけりということは、今現在、日本共産党さんでは反対の姿勢を取ってはおられないと?

担「いや反対の姿勢だって書いてるじゃないですか!」

――え? 今の話とずれますけども?

担「ずれてないですよ! 議論しようって言ってるんですよ!議論をしないで、それらを名目にして表現の自由を侵すような規制するのは反対だって言ってるじゃないですか。あなただって議論はするべきだって言ったじゃないですか」

――ええ、議論はするべきですね。

担「はい、だったらこれで終わりですね。議論はする」

――「はい。で、その議論の結果どうなるか、法的規制をしていいと思うか悪いと思うかは共産党さんの方では特に決めていない、と」

担「そうです」

――「ということですね」

担「××な(聞き取れなかった。「まじめな」か「はじめから」?)合意を作ろうっていう話なんですから」

――「分かりました、なるほど。はい、ありがとうございます」

担「はい、じゃあ失礼します」

――「ありがとうございます」

 電話終了。

結果要約
・共産党は「議論なしの法規制」に反対なのであって、法規制そのものについてさほど反対意思を持っているわけではない。
・「海外から指摘」を「根拠」として扱うことに問題を感じていない。
・「誤った社会的観念を広める」ということと「性的虐待や搾取の描写」の存否は関係ないのではということに明瞭な答えは得られず。
「ポルノ的であること」と「誤った社会的観念を広める」こととは「別とは思わない」と回答。

感想
 とにかく「議論したいだけなんだ!」で押し通そうとする雰囲気を感じました。
 先方に割り込まれまくったからでもありますが、正確な立場を聞こうとするあまり、質問と答えの押し問答的な場面になってしまった場面もあり、必要以上の時間を取らせてしまったかもしれません。その点担当者氏にはお詫びしたいところではあります。
 ただ、とても議論を重視しておられたので、それが本心ならば、この対話も議論の一環として有益性を見出して頂けるのではないかなと思っています。

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