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 黒人を意味する言葉のひとつで、片仮名にすると「ニガー」に近い読み。現在は一般には蔑称とされる。差別語であるというニュアンスを残す意図で日本語訳するときには「黒んぼ(クロンボ)」が当てられることが多い。

 黒人種を意味する学問的な名称であるnegroid(ネグロイド、ニグロイド)と同じく、ラテン語で「黒い」を意味するnegroを語源とする。
 かつては単にくだけた言い方として中立的な呼称であった。というより特別に改まった言い方や特に悪意をもった侮辱的比喩表現などを除いた、ほぼ唯一の「黒人」を意味する言葉であったため、話者の人種も悪意の有無も関係なく普通に使われていた表現であった。
 なおアメリカ先住民など黒人以外の非白人にも使われることがあった。

 しかし人種差別反対運動を経て、これを蔑称であると過剰に喧伝されたため、1960年代以降は非常に悪いイメージで捉えられる。
 多くの「差別用語」に共通することであるが、いったんある単語に差別用語のレッテルが貼られ始めると、今まで悪意なく使っていた人はその言葉の使用と避けるようになり、本当に悪意のある人だけがその言葉を積極的に使うようになるからである。
 こうして「普通に使われていた時代」の後に「悪意で使われていた時代」が到来し、その次に「その言葉を使えない時代」が到来することになるのである。

 ただし現在でもごく親しい間柄の黒人同士では友好的に使われる場合もあり、その場合でも発音は同じであるが、文章にする場合はNIGGAというスペルで綴ることが多い。

 現在のアメリカでは、新聞などでは一部を伏字にしたり、頭文字を取って【N-word】と言い換えたりすることが多い。またこれを口にすること自体が人種差別行為とされ、解雇事由にもなることがあるほか、物理的危害を加えられる事件も存在する。
 この「niggerと口にした者は迫害や鉄拳制裁をされて当然である」という行き過ぎた風潮は、アメリカ国内でniggerという英語を使った者ばかりか、似た発音の外国語を発した罪のない人に対する危害にまで発展している。

 2011年、韓国でバスの中で騒いでいた黒人男性に対し、韓国人男性が「お前はここに座れ」と注意したところ「お前は」という韓国語「ニガ」をniggerと勘違いされ、全治2週間の暴行を受けるという事件が起こった。

 さらに2020年には、聞き違いでもなんでもなく、授業で中国語の那个ネイガという言葉を、その意味を教えた上で口にした大学教授がその講義担当から外されるという事件まで発生している。

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