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※【女部】からも転送されています。

 漢字の部首のひとつ。
 しばしばフェミニストが、その字体のみを見て勝手に由来や意味を想像して「女性蔑視」であると難癖をつける。なお部首の「女」の多くは左側につく「へん」であるが『妻』『委』『妄』のように下につく場合もある。

 また「女」がついていても辞書上(現在の漢字字典の部首分類は、清代の1716年に成立した『康煕字典』に準拠している)は他の部首の漢字とされる場合もあり、例として『安』には「女」が入っているが、うかんむりの漢字として扱われている。

 たとえば以下のツイートのような意見が、フェミニストの典型的な漢字解釈である。

 沢山挙げてくれたので検討しよう。
 このフェミニストが主張するような、複数の漢字をその意味から組み合わせてつくられる漢字を「会意文字」と呼ぶのだが、ここで挙げられている漢字は、『婚』をのぞいてどれひとつ、そもそも会意文字ではない
 『妻』はかんざしを挿した女性をあらわす象形文字であって、箒は何も関係がない
 【嫁】『姑』『姉』『嫌』は形声文字。すなわち「女」がくっついている「家」「古」「市」「兼」といった部分は発音を示している。

 残るは『婚』だが、おめでとう、これこそは会意文字である。
 だが、それでは『婚』はこのフェミニストが主張する様な「女の黄昏」というろくでもない意味なのだろうか。
 そうではない。確かに黄昏は出てくるのだが、それは女性の衰退期とか、若さを失ったオバサン的な意味ではない。古代の結婚式が夕暮れに行われたから「昏」が付いているだけだ。

 ついでに言えば、あたかも女性蔑視のない言語であるかのように褒めちぎっている英語で妻を意味する”wife”は「恥」「女性器」に由来する。

 このようにフェミニストの漢字に対する難癖は、ほとんどは素人が字面を見て決めつけているだけの言い掛かりである。

 かえって、フェミニストが槍玉に挙げているのを見たこともないような漢字が、どちらかといえば女性蔑視的な由来を持っていたりする。
 たとえば『如』は女性が男性の言葉(口)に従うということから「したがう」を意味する会意文字である。
 また『委』は「禾」がくねくねと曲がっている姿から、後方・末節の部分を表わしている。そこから「男性に付き従う女性」のイメージになり、「細かいことを任せる」という専門性をあらわす意味になっている。

 しかしフェミニストは基本的に無知なので、こうした正確な漢字知識に基づくバッシングはほとんどなされない。思いつきの妄想ばかりである。

 しかしフェミニスト達は勝手な妄想に基づき漢字文化への憎悪を日常的に吐露し、極まった者は【男疾男石(しっと)】のように「女へんがついた悪い意味の言葉は、男に変える」、あるいは【ユウ気】のように「男へんがついた良い意味の漢字を使わない」といった愚行に固執している者さえいるのが現状である。

「嫌がらせ」を「男兼がらせ」に変えるフェミニスト
「嫉妬」を「男疾男石」に変えるフェミニスト

 こうした「漢字に難癖」系フェミニストのパロディが、つの丸の漫画『がんばれ!パンダ内閣』に登場する。
 同作はジャイアントパンダの仔「シャオシャオ」が日本国の総理大臣になって活躍するという荒唐無稽な設定のギャグ漫画だが、熱狂的なフェミニストの女性議員が、シャオシャオの使う言葉にいちいち「セクハラ語」だと言い掛かりをつける話がある。
 その出鱈目な漢字解釈をみかねてシャオシャオの飼育係が「じゃあ、妹は何をするんですか?」とツッコミをいれると、返答に窮したフェミニスト議員はしばらく口ごもった後、その場の思いつきで「未だ女にあらずというセクハラ語なのよ!!」と珍説を叫んでしまう。

 なお作中では指摘されていないが、この説もまた間違っており、実際には『妹』も形声文字であり「未」の部分は音をあらわしているだけである。

参考リンク・資料:

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