【ベクデルテスト】
フィクション作品のジェンダーバイアスを測るための基準とされる。
アメリカの作家アリソン・ベクデルによる漫画“Dykes to Watch Out For”において、登場人物が語った「自分が見る映画の条件」から来ている。
このエピソードにはさらに元ネタがあり、作者アリソン・ベクデルのウォレスという友人との会話から来ているという。「ベクデル・ルール」「ベクデル/ウォレステスト」とも呼ばれる。
本来は映画についての条件だが、他ジャンルの作品にも使われている。
その内容は
1.女性の(名前のある)登場人物が2人以上登場する。
2.その女性達同士が(1分以上)会話をしているシーンがあるか。
3.その会話の内容に男性が登場しない。
の3条件を全て満たしているかどうかというものである。
ただしカッコ内の「名前のある」とか「1分以上」という条件はあることも無いこともある。
また3番目の「男性が登場しない」というのは恋愛対象の男性という意味ではなく、親族でも、仕事の関係者でも、スーパーヒロインが男性ヴィランについて作戦会議をしていても、とにかく男性であれば満たしていないとされる。
ベクデルテストは本来、あくまで漫画の登場人物が自分の方針を述べただけのものに過ぎない。
したがって個別の作品が合格しなかったからといってその作品がイコール性差別的ということにはならないし、逆もまた然りである。
たとえば「女性初の○○(何らかの職業)」を描く伝記映画があったとしよう。男社会であるその組織にたった一人飛び込んで、差別や偏見と闘いながら周囲に自分を認めさせていく意識高いフェミニズム映画である。
しかし、女性がたった一人ではベクデルテストはクリアしないだろう。
一方で、美少女たちが集まって部活動をしたりアイドルを目指したりする日本の深夜アニメなどは、フェミニストの目の敵にされがちではあるが、逆にベクデルテストには間違いなく合格するだろう(そのアニメにパンチラがあるかとかコスチュームがエッチかとか関係なく)。
つまりベクデルテストの合否はせいぜい「女性登場人物が多く、会話シーンが長ければ合格率が高まる」という程度のものでしかないわけである。
ベクデルテストをクリアしている映画の方が興収が高い、というデータがある。2014~2017年のハリウッド映画350本を調査しての結果である。
これを見て「それ見ろ!女性が尊重されている映画の方が受け入れられるんだ!」と欣喜雀躍した人は、ちょっと落ち着いて考えるべきである。
いったいハリウッドで最高の興行収入を得ているであろう映画とは、どんな映画だろう?
スーパーヒーロー物を始めとする大スペクタクル作品である。
つまりこの調査結果は、残念ながら「美女は何人も出ているが、話の主題はド派手なCGで描かれやすいSFファンタジーバトル」という作品が大人気という、あまり意識の高くない結論を導くものでしかないように思われる。
参考リンク・資料:
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