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 英語で、差別がないとアピールするためだけに意図的にグループ内に入れられた被差別属性の人を指す。本来の意味は「証拠、表象、記念品」など。 

 映画などで台詞もストーリー上の重要性もほとんどない端役に黒人を割り当てたり、男性だけが採用されているという非難を避けるために女性を1名だけ採用したりすること。ポリティカル・コレクトネスの攻撃に対する防衛策のひとつで、被差別属性名を後に入れて黒人であれば「token black」、女性であれば「token female」と呼ばれたりする。
 Netflixのアニメ『聖闘士星矢:Knights of the Zodiac』で【アンドロメダ瞬】が女性に変えられたのはその好例である。

 アメリカのブラックユーモアアニメ『サウスパーク』ではこれを皮肉って、この言葉をそのまま名前にしたトークン・ブラックという黒人少年を登場させている。
 また主人公の一人であるカートマン少年が"TOKEN'S LIFE MATTERS"(トークンの命は大切:Black Lives Matterのもじり)と書かれた黒いTシャツを着ているシーンもある。

『サウスパーク』より

 逆に異常なまでに高い能力や知性、洞察力を持ち、主人公に決定的アドバイスをしたり窮地を救ったりする黒人キャラクターは「マジカル・ニグロ」と呼ばれ、普通に仲良くしていれば【南部の唄】のように【差別の透明化】扱いされる。これらはいずれも差別表現の一種とされている。
 これでは、黒人の扱いをトークンに留めておこうとする製作者が多くなるのも無理はない。

 ちなみに黒人主体のヒーロー映画として知られる『ブラック・パンサー』では、数少ない白人俳優2人が他でJ.R.R.トールキン原作の『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』に出演していたため、トークン・ブラックをもじって「トールキン・ホワイト」と冗談で呼ばれていたというエピソードがある。

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