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 「さんえん」または「さんざる」と読み、いわゆる「見猿・言わ猿・聞か猿」のこと。

 悪いこと、礼にそぐわないことを見ない、聞かない、言わないという教訓を込めたもので、教えの大本は一説には『論語』であると言われる。
 否定形「ざる」に猿をかけて像にしたモチーフは日本発祥だが、海外にも広く伝わっている有名なモチーフである。

世界各国の三猿像。国立民族学博物館公式サイトより

 2021年1月イギリスのヨーク大学は、美術史の学術会議である「身体の感覚的な経験に関する会議」のWebポスターに使われていた三猿の画像を削除した。

 三猿がいけない理由は「抑圧的な人種的ステレオタイプ」であり「少数民族を侮辱する可能性」があると判断したためと大学側はアナウンスしており、判断には三猿の写真がポスターのほか、「民族的マイノリティ(黒人を含む)についての論文募集」の文書にも使われていることが影響しているとみられる。
 猿は黒人に対する差別的比喩として白人によってしばしば用いられてきたが、もちろん三猿はそれとは何の関係もない。

 タイムズ紙は「日本文化の研究者たちは、この判断を不可解なものと感じている」と報じたという。
 またデイリー・メール紙に寄せられた1400以上のコメントのうち、ほとんどがヨーク大学の判断を批判する内容であった。その中には三猿の本来の意味を指摘するもの、日本の伝統文化を差別扱いすることこそが差別であると批判するもののほか、猿という動物のアジアでの神聖性を指摘する意見もあった。

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