【「バ美肉」アニメ好きの20代新婚夫婦が女子高生を「殺害」した仰天の動機】
朝日新聞出版のAERAdot.がが2021年9月1日に出したインターネット記事。
同年8月31日に遺体が発見された女子高生死体遺棄事件の被疑者夫婦に関するもの。
(現在は改題された元記事)
タイトルの「バ美肉」とは「バーチャル美少女受肉」の略で、美(少)女風のキャラクターを自分の分身として設定し、ネット上で使用することを指す。美少女系のバーチャルYouTuberなどがその典型である。
犯行の動機と「バ美肉」やアニメを安易に結び付けた偏向報道となっており、批判が百出した。
そもそも被疑者の逮捕直後に警察発表される「動機」などというものは、警察官が先入観のままに問い詰めた内容に左右される部分が大きく、確定事実として論じるに値するものではない。その点を差し引いても、本記事は題名と裏腹に、犯人の動機面にはろくに迫っていない。犯行のざっくりした経緯と、あとは犯人の趣味に関する断片的な情報を書き並べただけの、粗雑でとりとめのない記事に過ぎない。
おそらくは速報を受けて慌てて書き殴ったのだろうというマスコミの事情が窺い知れるような程度の低さである。
その動機も本記事に書かれた限りでは「夫が若い女性と(SNSで)連絡を取っているのに妻が嫉妬した」というもの。浅はかではあっても陳腐なものであり、「仰天の動機」とは誇大広告もいいところである。
さて、本記事には、犯人の趣味についての記述が他にいくつもある。
SNS(ツイッター、LINE)、キャンプ(アウトドア)、もの作り、機械系メンテ、ペット飼育、サバイバルゲーム、アニメ……。
いくつもの趣味が読み取れるが、犯行に関連すると言えそうなものは2つだけ。道具が犯行に使われたキャンプと、被害者と知り合うきっかけとなったSNSである。
キャンプやサバゲーなら叩いて良いわけではないが、曲がりなりにも犯行に関係のある別の趣味2つを差しおいて、題名が「『バ美肉』アニメ好きの~」になるのだからたまらない。
バ美肉もアニメも、犯行動機とも犯行態様とも全く関係がないのである。
本記事の「『バ美肉』アニメ」にかんするメインの記述は以下のとおりである。
「共通の趣味はアニメ。略称で『バ美肉』と呼ばれるバーチャル美少女受肉もの」という部分は、明らかに記事執筆者がアニメの1ジャンルとして「バ美肉もの」「バ美肉アニメ」があると誤解しており、その取材の雑さが伺える。
また、唐突に挿入される「ファンタジーのようなものが多い」という文言も「だからなんなんだ」という話であり、被疑者について「空想の世界にハマって頭のイカれたオタク」的なイメージを植え付けようとしているとしか思えない。
そして記事のこれより後には「とんでもない夫婦に命を奪われてしまった鷲野さんは、大学受験を控えて、勉強の日々だったという。」という一文があるのみであり、事実上記事はバ美肉とアニメの話で締めくくられている。読者にとって本記事の最後の記憶がそれになるように構成されているわけだ。
フィクションの中でオタク趣味をもった犯罪者が登場したというような話ではない。現実の犯罪と現実の趣味を結び付ける偏向報道であり、バ美肉をアニメの1ジャンルとする説明に至っては明確な誤報である。
本記事については「NPO法人バーチャルライツ」や、最古の個人Vtuber「バーチャル美少女ねむ」などが抗議や声明を発表。また自身も議員系Vtuberとして知られる大田区議会議員おぎの稔氏もツイッター上で意見を表明した。
もちろん一般のVtuberファンなどからも批判が続出し、AERAdot.は、最初『バ美肉』と「アニメ」の間に読点(、)を入れるだけという意味不明な改題をしたが、当然ながら批判はやまず、結局「『バ美肉』、アニメ好きの」という文言そのものを削除し、次のような「お詫びと訂正」を記事の後に挿入した。
AERAは本件以外にも【ご注文はうさぎですか?】を児童ポルノ扱いした事件など、オタク文化に対する偏向報道を繰り返している。
参考リンク・資料:
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