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バ美肉が殺人動機!? AERA偏向報道に抗議【記事修正&謝罪あり】

本日9月1日17:28、朝日新聞系列のwebメディア「AERA dot.」が、殺人事件に関する記事『「バ美肉」アニメ好きの20代新婚夫婦が女子高生を「殺害」した仰天の動機』を公開しました。バ美肉が殺人動機と誤読させイメージを著しく損ない、関係者を傷つける極めて悪質なタイトルです。

バ美肉というカルチャーに黎明期より前から関わってきた一人として、それが人類の未来を広げる新たなイノベーションだと信じる者の一人として、どうしても許せず抗議文を送りました。この記事では、その顛末についてまとめます。

※【9/2 15:00 追記】 AERAが記事微修正・偏向報道がニュースに
※【9/2 20:00 追記】 AERAがタイトルから「バ美肉」「アニメ」を削除し謝罪文を掲載
※【9/2 24:00 追記】AREAの修正謝罪についてメディア報道

※【9/3 追記】AREA自身もTwitterで修正謝罪についてアナウンス
※【9/25追記】後日談:マスコミ関係者の反応と「なんでバ美肉だけ指定して抗議したのか?」

私は、VR文化やVTuberの可能性を伝える活動をしている、バ美肉VTuber「バーチャル美少女ねむ」です。普段はあまりネガティブな事は発信しないことにしているのですが、これだけははっきり言っておかないとと思い、筆を取りました。

(「バ美肉」というコンテンツの性質上、自分を「バ美肉」と名言しづらい人やアイドルの人気商売として抗議しづらい人も多いはずです。私はTVに出てしまって既に色々バレてしまってますし、事務所にも所属していない個人でなので発言しやすいのではないかと思いました)

問題のAERA dot.の記事

記事の内容を以下に引用します。

「バ美肉」アニメ好きの20代新婚夫婦が女子高生を「殺害」した仰天の動機

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「バ美肉」アニメ好きの20代新婚夫婦が女子高生を「殺害」した仰天の動機 (2_3) 〈dot.〉|A
「バ美肉」アニメ好きの20代新婚夫婦が女子高生を「殺害」した仰天の動機 (3_3) 〈dot.〉|A

(AERA dot. 9月1日17:28公開 元記事より引用)

この通り、加害者夫婦と被害者の共通点が「アニメ好き」で、加害者が特に「バ美肉=バーチャル美少女受肉」ものが好みで「とんでもない夫婦」と書かれているのですが、加害者の思想と犯行とを強引に結びつけるとんでもないレッテル貼りです。いったい何が「殺害した仰天の理由」だったのでしょうか?

また、記者が勘違いしているようですが、そもそも「バ美肉」はアニメのジャンルではなりません。つまり記事から読み取れる事実において、「バ美肉」は加害者と被害者の接点ですらなく、本事件と全く関係がないのです(関係あってもレッテル貼りは当然だめですが、ジャーナリストとして最低限調べて書いて欲しいです)

改めて、『「バ美肉」アニメ好きの20代新婚夫婦が女子高生を「殺害」した仰天の動機』というタイトルは、全く関係ない「バ美肉」や「アニメ」が殺人動機と誤読させる極めて悪質なものです。とても許されるものではありません。

「バ美肉」のひとりとして抗議文を送付

TwitterとメールでAERA dot.に対して抗議文を送りました。現時点で回答はないですが、反応があったら追ってお知らせしたいと思います。

私が送ったメールの文面はこちらです。

こちらの記事に関しまして→「バ美肉」アニメ好きの20代新婚夫婦が女子高生を殺害した仰天の動機 - n

私だけでなく、多くの方が声を上げてくれました。

注意:抗議する方へお願い

朝日新聞さんには私も何度も取材されて好意的に取り上げて頂いたことがあり、いい記者さんも沢山いることを知っているので、なおさら悲しいです。

なので、コメントや抗議する方は怒る気持ちをおさえて、一度冷静になって下さい。特に「朝日=悪」「マスコミ=悪」のような短絡的な発言を絶対に避けて、常識的な抗議をお願いしたいです。安易なレッテル貼りをしてはAERAと同じになってしまいます。

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また当然ですが、被害者の方は言うまでもなく、加害者を揶揄する表現も絶対に止めましょう。

NPO法人「バーチャルライツ」から緊急声明

私個人の声だけでは無視される恐れがあるため、VR文化を守る活動をしているNPO法人「バーチャルライツ」さんに相談し、緊急声明を出してもらいました(私自身はバーチャルライツのメンバーという訳ではありません)。

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【9/2 15:00追記】 AERAがタイトルを微修正

ここでAERAも騒ぎに気づいたのか、記事を修正してきたのですが…

(修正前) :「バ美肉」アニメ好きの20代新婚夫婦が女子高生を「殺害」した仰天の動機

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(修正後) :「バ美肉」アニメ好きの20代新婚夫婦が女子高生を「殺害」した仰天の動機

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「バ美肉」の後に「、」を入れただけでした。違う、そうじゃない。

問題のポイントは「バ美肉」がアニメのジャンルかどうか、という事ではなく、無関係なものに殺人動機をこじつけて関係者を傷つけていることです。

依然として風評被害をネットで撒き散らし続けている事に変わりないので、引き続き記事の全面的な修正と謝罪文の掲載を求めていきたいと思います。

【9/2 15:00 追記】 偏向報道がニュースに

ビジネスジャーナル・Yahoo!ニュース・ライブドアニュース等、大手webメディアでAERAの歪曲報道が記事になりました。 

PV稼ぎなので無視すべきという声も頂きましたが、私はすぐにきちんと抗議してよかったと思います。天下の朝日新聞系列のメディアですし、webのニュースが今後将来にわたって検索結果の上位に留まり、永久に悪印象を撒き散らし続ける悪影響は計り知れません。この件は「AERAの悪質な偏向報道」としてwebに正しく記録されるべきです。また、このタイミングで即座に動かなければこれらのメディアが取り上げる事はなかったと思います。

<ビジネスジャーナル> 高3遺棄、容疑者を「アニメ・バ美肉」と関連づけた「アエラ」記事にVR振興団体が緊急声明

<Yahoo!ニュース> 女子高生殺害事件と「バ美肉」に関連はあるのか? AERA dot.の記事に物議

<ライブドアニュース> 女子高生殺害事件と「バ美肉」を関連させるAERA dot.の記事に物議 報道の正当性と根拠

取り急ぎ、以下のように元の記事の関連ニュースとして偏向報道の記事が出てくる状況を作れる事ができ、誤解が拡散する事を防げそうです。(元の記事も修正されるのがベストですが…)

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【9/2 20:00 追記】 AERAがタイトルから「バ美肉」「アニメ」を削除し謝罪文を掲載

たった今記事を見てみたところ、AERAがタイトルから「バ美肉」「アニメ」を削除し、記事中に謝罪文を掲載している事を確認しました。(アクセス増やしたくないので用がなければ確認しにいくのは避けましょう)

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(AERA dot. 9月1日20:00時点 元記事より引用)

相変わらず本文の中では強引に「バ美肉」「アニメ」などの趣味を事件と結びつけていますし、本来であればAERA dot. のSNSなどで積極的に修正・謝罪について告知してほしいところです。また、メールで送付した抗議文についても現時点で一切回答がありません。更に、謝罪文で挙げている元のタイトルは一度微修正したものであり、元々問題視されたものではなく、事実に反した卑怯な書き方です。

しかし、最大の問題であった誤読を誘うタイトルが修正され、「趣味と容疑とを関連づけるものではありません」と名言され、「誤解を与えかねない」「お詫びして訂正」とはっきりと謝罪文の掲載がありました。私はこれ以上の追求はやめようと思います。

一緒に声を上げてくださったみなさん、本当に有難うございました!

また、AERA dot.の方々には今後二度とこのような事のないよう、ジャーナリズムの精神に恥じないメディア運営を心がけて貰いたいです。(偏見のない取材は歓迎ですのでいつでもご連絡ください)

【9/2 24:00 追記】AREAの修正謝罪についてメディア報道

早速AERAによる修正謝罪についてJ-CASTで記事になっていました。私の抗議文についても触れられています。

ABEMA NEWSでも即日特集番組が配信されました。正しい「バ美肉」の姿を伝えたいということで、私の配信活動の映像をいくつか提供しました。

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ABEMA NEWSより引用)

【9/3追記】 AREA自身もTwitterで修正謝罪についてアナウンス

記事訂正翌日の9月3日、AREAがTwitter上でも記事の修正と謝罪についてアナウンスしました。

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(Twitterより引用)

他メディアの報道がきっかけになったと思われるものの、今回AREAの対応については一定の誠意のあるものだったと思います。せいぜい記事がこっそり訂正されて終わりだと思っていたので、謝罪やアナウンスがあった事には正直驚きました。改めて、私はこれ以上追求したり積極的に話題に挙げたりしないつもりです。

【9/25追記】後日談:マスコミ関係者の反応と「なんでバ美肉だけ指定して抗議したのか?」

後日、朝日新聞やマスコミ業界の方と話す機会があったので何名かヒアリングしたのですが、今回の抗議活動については、なかなか中から変えづらいマスコミの自浄を促す活動として、どなたからも非常に感謝されました。業界の方としても記事の訂正と謝罪に至ったことは異例の事だそうです。(AERA dot.については、アクセス数狙いの偏った報道が多く、朝日新聞の方々もとても困っているそうです)

もし短絡的にレッテル貼りで返したり怒りをぶつけたりしてしまったら、正しい抗議ではなく単なる騒ぎと捉えられてしまい、他マスコミが取り上げてくれることもなく、こんな形になっていなかったと思います。みなさんが冷静に抗議に協力しくれた成果です。改めて、本当にありがとうございました。

また、数名の方から「元記事ではサバゲーやアニメなども触れられていたのに、なぜバ美肉だけ指定して抗議するのか? 抗議するならそれらも含めて抗議するべきではないか?」という意見を頂きました。個別でも回答しましたが、疑問に思う方他にもいるかも知れないので、ここでも書いておこうと思います。

記事の文章自体も問題はありましたが、タイトル冒頭に「バ美肉」が使われていたのを私が最大の問題だと思った事が一番の理由です。大多数の人は記事のタイトルしか見ないので、朝日新聞という大手メディアから誤情報と悪いイメージが拡散される事をなによりも懸念しました。

もうひとつの理由は、他のマスコミを味方に付けて世論の力を動かす上でそうするしかなかったから、というのがあります。私はサバゲーやアニメ業界の関係者ではなりません。「バ美肉に関わる者達がバ美肉について抗議している」という明快なストーリーとスピーディな対応がなければ、今回の抗議活動を取り上げる価値のあるニュース性のある (PVが稼げる) 情報としてメディアに受け取ってもらうことはまず難しかったでしょう。結果的に、タイトルからは「バ美肉」だけでなく「アニメ」という言葉も削除されました。

とはいえ「それでは結局アクセス数稼ぎのAERA dot.と同じ手法ではないか」という批判はあると思いますし、そこを気持ち悪く感じる方がいるのは仕方ないし、申し訳ないと思っています。私自身これが100点満点の方法であったとは思っていません。もっといい方法がなかったか? というのは常に自問自答しています。具体的な方法論をお持ちの方は、ぜひご意見頂けると幸いです。

バーチャル美少女ねむ


◆ ◆ ◆


※以下本題と関係ないですが、元記事で「バ美肉」ってそもそも何? と思った方向けに以降まとめてありますので、よろしかったら参考までに併せて御覧ください(決して犯罪的な要素はないとご理解いただけると思います)

参考 :「バ美肉=バーチャル美少女受肉」とは

「バ美肉」とは、近年発達しているVTuber・VR技術を活用し、バーチャル世界で元の年齢や性別に関わらず漫画やアニメに出てくるような「美少女キャラクター」として「受肉」(生まれ変わる) し、理想の「なりたい自分」の姿になって、ソーシャルVRで他の人とコミュニケーションしたり、VTuberとして動画配信をすることをいいます。

単純に可愛い存在になりたくて趣味でやっている方もいますし、現実で抱える様々な理由から切実に生きる希望としてやっている方もいます。

さらに『バ美肉(ba-bi-niku) 』は、日本の伝統文化の流れを組んだ、日本発の新しいコンテンツ・カルチャーとして世界的にも注目されています。日本のテレビでもたびたび特集が組まれていますし、フランスの著名日刊紙「リベラシオン」(創刊は実存主義のサルトル) でも非常に好意的に取り上げられています。

NHK 1/8「ねほりんぱほりん」にて「バ美肉」テーマで放送 あまおかさん、ねむさん、冥歌ルカさん出演

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【和訳】この少女の裏には誰が隠れているの?:仏紙リベラシオン

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【和訳】バーチャル異性装が日本でブームに:仏紙リベラシオン

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なりたい自分になるということは、自分の中で眠っていた新しい自分と出会うような、本当に素敵な体験です。

有名VTuberなどではない「バーチャル一般人」の方でも、いまソーシャルVRの世界ではアバターやボイスチェンジャーの力をかりて「なりたい自分として暮らす、生きる」事が当たり前になりつつあります。

美少女になってアイドルとしての自分を見つけ、歌を歌ったり、VTuberとして動画配信をしたりしている人もいます(私です) 私は個人の趣味レベルですが、超人気VTuberの方にも「バ美肉」の方が何人もいらっしゃいます。「バ美肉」であることを公表していない方もいます。

バ美肉を歌で世界に伝えたい『ココロコスプレ』
「バ美肉」という言葉はキャッチーですが、語感が刺々しいので、この言葉で呼ばれる事を嫌がる方も多いです。個人的には、もっとやさしい響きの言葉として「ココロコスプレ」を提案しています。

バ美肉紅白2020

ボイスチェンジャー(私)や「両声類」と呼ばれる音声技術などを活用してかわいい声を目指すのもバ美肉の醍醐味の一つです。昨年にはバ美肉の音声技術をPRする大々的な音楽ライブイベントを行いました。

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自己紹介 : バーチャル美少女ねむ

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世界最古の個人系VTuberです。いつもはのんびりと面白楽しくバーチャル世界で活動しています。VR機器メーカー・HTC公式の「VRの世界を広げる」VIVEアンバサダーもやらせて頂いてます。もし興味をもってくださったら、新曲360°MVなど見ていって下さい。こちらをご覧いただくと、スマホの方でもソーシャルVRやバ美肉がどんな世界なのかイメージがわくと思います。(PCではなくスマホでYouTubeの画質設定最高にして観て頂くのがおすすめです)


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