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『みやびmama(@miyabi39mama)の温泉むすめ叩き徹底批判&定山渓のカッパの話』2022-01-01

みやびmama氏の変節

 みやびmama(@miyabi39mama)というツイッターアカウントがいる。
 これまでいわゆるアンチフェミとされていた人で、かつて私を人柱にしたアンチフェミアカウント紹介企画「フェ殺隊」では靴柱の称号を与えられていた。

 なぜ靴柱かというと、彼女のアンチフェミ活動のメインというのが「#KuToo」で知られる石川優実氏に対する批判だったからなのだが、表現規制にもそれなりに反対派と目されていた。石川優実も表現叩きを繰り返していたからである。
 しかし実は最近、このみやびmama氏が表現の自由についてまったく不見識で、そのメンタリティもフェミニストと同様の資質しか持っていなかった...…という残念な事実が明らかになった。

 というのは彼女が「フェミニストに屈して温泉むすめの設定から性的な事項を排除するのは正しい」と言い出したからだ。
「温泉むすめ」事件について概略を御存知ない方は、センサイクロペディアを参照して頂きたい。

 こちらにあるように、フェミニストに言い掛かりをつけられた「温泉むすめ」はウェブサイト上の設定(定山渓いずみの「他の温泉むすめにスカートめくりの悪戯をすることがある、小野川小町の「夜這いを妄想する癖がある」など)の一部が伏せられることになった。

 地方観光業が新型コロナウィルス禍で苦境にあることは政府の「GoToキャンペーン」で特に配慮されたことで国民に周知されている。
 現在でも経営難に陥っている温泉関係者もおそらくは少なくないだろう。小さな営業妨害でも深刻なダメージになりかねない現在の状況に鑑み「温泉むすめ」運営の(株)エンバウンドが「フェミに屈する」形で配慮したとしても致し方ない面もあるだろう。

 しかしそれは積極的に正当化すべきものではない。

 みやびmama氏が不用意にそれを正当化し、大批判を浴びたのは正にこの点であった。元のツイートは消されているので同趣旨のものを貼っておこう。

 みやびmamaが言う「フェミに屈して設定変更したのは正しい」根拠のひとつ「付け入る隙を与えるから」というのは、そもそも付け入る隙を与えない表現などというものはない、という事実を指摘するだけで終わる。

 それは今までの炎上例とフェミニスト達の「これならばセーフ!」という弁解事例から収集して作成された「フェミニストのあり/なし集」の画像を一見するだけで明らかだ。

 見ての通り露出の高いものも低いものも、アニメ風も実写もごちゃまぜである。これは、フェミニスト達は「素」の状態では露出の高い絵や可愛いアニメイラストを見てヒステリーを起こすことが多いが、「なんでもかんでも叩くヒステリックなフェミ」というイメージも恐れており、ときどきアリバイ作りのために「セーフな露出表現」を殊更に言い立てることがある、というのが理由の一つである。
 他にもアンチフェミ側の人に「お前らこんなのも叩くんだろ?」と皮肉られて無理に否定し引っ込みがつかなくなると無理やりセーフにしたり、まあ種々様々な理由でアウトになったりセーフになったりするため、「付け入る隙」のラインなど引くことは不可能なのだ。

 もうひとつ、みやびmamaが根拠として挙げるのが「公共性のある場所」だからだというものだ。

 そもそも温泉むすめの「修正された表現」は、公共性のある場所になど書かれてはいない。
 センサイクロペディアにもあるように、「スカートめくり」は「夜這い」という話はあくまでウェブサイトに書かれてある設定やショートストーリーの中に存在するものである(夜這いに至ってはキャラクターが「想像している」だけで、作中ですら実際に行われていない)。温泉旅館などに設置してあるパネルなどには書かれていない。
 温泉地に行った小さい子を含む親子連れが、目を覆うばかりの性表現を偶然目の当たりにしてしまう...…ようなものでは全然ないのだ。

 公共性ある場所の広告にあるキャラクターを登場させる際、その広告ではなく作品本体にも犯罪が登場してはならない――というのがみやびmamaの意見なら、ゴルゴ13もルパン三世も公共広告とコラボできなくなる。
 もちろん、実際にはゴルゴのもルパンのもある。
 みやびmamaに言わせれば、彼らは「元作品で」殺人や泥棒から足を洗い、全員真面目に就職活動でもすべきなのだろう。『名探偵コナン』も犯人達の行為はもちろん、コナン君自身も事件のたび毛利のおっちゃんに薬物を強制注射するのをやめるべきである。

 そう指摘されると、みやびmamaはまた都合のいいことを持ち出した。

 唖然としてしまう。
 みやびmamaは「温泉むすめ」が叩かれたポイントの中に「未成年(のように見えるキャラの)飲酒」が入っているのを忘れたのだろうか?
 自分で言ってるのに。

 そもそも「性的な」問題が彼らにないとでも思っているのだろうか? 『コナン』の毛利小五郎はかなりのセクハラオヤジであるし、怪盗キッドは彼女のお尻を触ったりしていた。
 それでもコナンはまださすがに少年誌連載、性的逸脱についてはおとなしいものだ。青年誌のルパンやゴルゴはもう枚挙に暇がない。
 ルパン三世が色魔であることは誰でも知っているが、実はアニメ版の人情家でのやや義賊的な描かれ方とは違い、原作では強姦も殺人もするあからさまな悪党である。
 ゴルゴ13に至っては、しょっちゅう娼婦を抱いている描写がある上に、実は強姦もしている回がある(30巻「氷結海峡」)。その目的は「強敵の彼女をレイプしてその悲鳴を録音し、戦闘時に流すことで動揺を誘って勝つ」という外道千万なものであった。同作に卑劣な敵は多いが、ゴルゴ13自身がおこなった最も卑劣な行為としてファンの間では知られるエピソードである。

 つまり「公的機関が絡んだ広報に出ている」と「性犯罪(やより軽微な性的逸脱行動)を犯している」の両方を、いずれも色々な作品が満たしているわけである。

 もちろん、そんなことをあげつらっても意味はない。

 ゴルゴ13やルパン三世がスカートめくりなど比較にならない、明らかな重犯罪者であるのに公的広報に出て問題がなく、「知らない萌えキャラ」なら叩くのは、要するに「それで喜ぶ者がキモオタっぽく想像される」という叩き側の差別意識でしかない。

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