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 主に女性の下着を窃視、あるいは衆人に環視させるセクハラ目的で、女性のスカートを本人の意志に反して突如まくりあげる行為のこと。
 本人が自分の意志でスカートを持ち上げて他人に下着を見せる行為とは通常区別され、こちらはイラスト等のジャンルとしては「たくし上げ」などと呼ばれることが多い。

 1960~70年代、スカートめくりという行為が児童の悪戯行為として流行したことがあるのだが、その原因は永井豪のギャグ漫画『ハレンチ学園』である――という伝説が巷間流布されている。

(サンプル1)
(サンプル2)
(サンプル3。コイツに至っては作品すら間違えている)

 結論からいうと、これは冤罪である。
 そもそも、スカートやパンツなどの洋装が一般的になる以前の時代から、女性の着物の裾をまくりあげる「おいどまくり」(おいどとはお尻のこと)なる児戯が存在しており、服飾文化の変遷とともに名前が変わったにすぎないという指摘がある。

 実際に『ハレンチ学園』でスカートめくりが登場する回「モーレツごっこの巻」では、冒頭で「スカートがめくれた女性が『オゥ、モーレツ~』とつぶやく女性」のCMを見る、という場面がある。
 実はこれ、実在のCMなのである

 さらにさかのぼってこのCM自体の元ネタとも呼べるべき存在が、1955年のマリリン・モンロー主演映画『七年目の浮気』である。
 もし仮にスカートめくりについて「メディアの悪影響の責任」を問うなら『ハレンチ学園』ではなく、むしろこれらの実写映像に求める方が筋が通っているわけである。
 ついでに興味深い写真がツイッター上で紹介されている。1955年7月初旬に撮られたとキャプションにある、サンケイカメラの入選作品である。

 これは『七年目の浮気』の日本公開前であり、本国アメリカの公開日(1955年6月3日)からさえわずか1か月後である。
 当時の日米の文化伝達速度からして、このような小さな子供にまで『七年目の浮気』が影響していたとは考えにくいから、やはり「スカートをめくるいたずら」そのものは以前から存在していたと考えるのが妥当であろう。

 また、そもそも永井豪氏が『ハレンチ学園』でスカートめくりを取り上げた契機にしてからが、当時のテレビ番組『やあ!やあ!ガキ大将』の中で、小学生がまわりで流行っているものとして「スカートめくり」を挙げたのを観たことがきっかけだという。

 つまり、流行していたから取り上げたのであり、『ハレンチ学園』が流行させたのではなかったわけである。

 また2022年2月には、『ポケットモンスター』初代アニメ版(1997~)の主題歌【めざせポケモンマスター】が「スカートめくりを楽しい物として歌っている」というデマツイートも流布されている。

参考リンク・資料:

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