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 フランスの画家ギュスターヴ・クールベによる写実主義の油彩画で、原題は” L'Origine du monde”(1866年)。仰向けに寝た女性の裸の胴と下半身を接写している。現在はパリのオルセー美術館に収蔵されている。
 現代の作品と比較してもなお衝撃的な作品として知られ、またモデルとなった女性が誰かについては美術史上の一大ミステリーとなっている。

『世界の起源』

”Adorations perpétuelles”事件

 1994年、Jacques Henric作の小説”Adorations perpétuelles(永遠の崇拝)”の表紙絵に本作が採用され、フランス警察当局が各書店に同書の撤去を要求する事件があった。この要求には従った書店と抵抗した書店に分かれたという。

Facebookとの裁判

 2011年2月、オルセー美術館に展示されていた本作を写真撮影しFacebookにアップした学校教師フレデリック・デュラン氏が、Facebookからアカウント停止処分を受け、不服として裁判に訴えた。
 Facebook側は利用規約を盾に、法的紛争はFacebook本社が存在する米カリフォルニア州の裁判所で判定すべきと主張していたが、2016年にパリの控訴審はフランスの裁判所に裁判権を認めた。
 このときすでにFacebookは2015年に「芸術作品での」ヌード投稿を認める旨の規約改正をしていたが、すでになされていたアカウント停止処分に対する損害賠償が争われていた。
 2018年3月、裁判所はアカウント停止処分を不当なものであると判決を下した。ただし損害賠償についてはデュラン氏が新アカウントを使うことができていたことから認められなかった。

 Facebookの「性的な」投稿に対する規制はしばしば批判や紛争の対象となっており、【ヴィレンドルフのヴィーナス】の写真もその一つである。

参考リンク・資料:

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