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【トイレ暴行都市伝説】

 2019年3月にツイッター上で流布されたデマ・都市伝説。
 公園などのトイレに女児がひとりで行ったところ、何者かに性的暴行を受けた挙句、血まみれの放心状態で歩いて帰ってきた。その後子宮を全摘出されるほどの大怪我をしていた...という内容。

 実は1990年代から繰り返し出回っているデマのマイナーチェンジ版。共通点は「公共のトイレに行った女児が何者かに性的暴行を受け、大怪我をして発見される」というもの。

 誰でも出入りできるが人目に付かないスペースで女性や子供が攫われる……といううわさ話は以前から世界各地にある。
 この「子宮全摘デマ」も有名な「オルレアンのうわさ」や、その翻案である日本の「だるま女」などの類話のひとつと言えるだろう。アメリカでも1965年「Kマートのトイレで10歳の少年が黒人少年グループにペニスを切断された」という噂が流れたことがある。
 このような噂は「女性や子供を守るため」として正当化されるので、加害者とされる属性に遠慮なく差別的レッテルを貼ってくることが多い。「黒人少年グループ」しかり「ユダヤ人経営者」しかりである。
 
 ここで取り上げるのは、表現規制派、特にフェミニスト系のある主張の完全な反例になるからである。
 それは「性的嗜好を公表し、その嗜好の対象者に伝わるのが加害である」という珍論である。
 これは特に小児性愛者などが、ポルノや【ラブドール】で性衝動を発散していれば十分であり、実在児童に加害などしないという情報を発するのを封殺するために使われる。

 こんなものを真に受ければ、精神医学が変わった性癖の存在を研究する論文を発表することまで「加害」になる。どうしようもない珍論暴論の極みであり笑うしかない。
 が、およそ深い考えというものを持つことのできないフェミニスト達は、表現物の実際の有害性を示すことはできないため、こんなものにまで飛びついてしまうのだ。
 が、今回興味深いのは、そのフェミニスト自身が、この子宮全摘デマに飛びついているということである。

 おかしな話である。
 上記の理屈に従えば、児童性犯罪者の不審者情報などというものはまさに「その性癖の存在を対象者に伝える加害行為」であるはずだ。
 しかも、ありもしないデマの不審者情報であるから、その加害性を相殺するだけの必要性など全く存在しない、ただ純粋な恐怖を与える加害に過ぎないはずである。
 しかしフェミニスト達は、こぞってこのデマを擁護していたのだ。


 すなわち「性的対象になることを本人や親が知る恐怖」などは、単にその性癖を持つ人々を迫害する口実に過ぎないのだ。
 このデマのように「性的対象になると知る情報」を逆に攻撃に使えるケースにおいては、彼らは大喜びでその情報を歓迎するのである。

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