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【攻撃の二過程モデル】

 ポルノグラフィの性犯罪に対する悪影響に対する、心理学的な考え方のひとつ。【拮抗情動反応】を前提にしている。

 拮抗情動反応とは、性的快感は攻撃性といわば「逆」の情動であるため、攻撃性を弱める働きがあるという考えである。

 しかし、どんなポルノもどんな人に対しても心地よいわけではない。
 ポルノの内容があまりにもどぎつくて「引いてしまう」と逆に不快感や羞恥心をもたらし、拮抗情動反応を起こさないばかりか、逆に相乗効果で攻撃性を高めてしまう可能性が高い。

 つまり、ほどよいポルノは攻撃性を低下させて、ひいては犯罪の減少すらもたらし、逆にどぎついポルノは攻撃性を増幅させ、犯罪増加の危険性があると考えられるのである。
 ポルノの影響にはこの2つがあると考えるのが、攻撃の二過程モデルである。

 しかしこの現象もポルノ有害論者に対して有利に働くとは限らない。
 なぜならどぎついポルノによって攻撃性を高められるような人というのは、そもそもそれを見るのが不快な人なのだから、積極的に見ようとはしないだろう。
 一方で、そういうポルノが好きで積極的に見る人こそ、拮抗情動反応によって攻撃性の低下が期待できる。

 すなわち二過程モデルを想定しても、ポルノが攻撃性を抑制する過程の方が社会的には優勢となると考えて不思議はない。これは常識にも一致する。 
 誰だって、自分が気持ちよく楽しく見られるポルノの方が見たいに決まっているのだから。

 なお攻撃の二過程モデルという言葉は研究によっては、不快情動からの衝動的な攻撃動機と、他者への加害を成功させるための戦略的な攻撃動機という意味で用いられる場合もある(水田恵三『犯罪・非行の社会心理学』ブレーン出版、1994など)。

参考リンク・資料:

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