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【ベビー・シッターズ・クラブ(Netflix版)】

 アン・M・マーティン原作のコメディドラマ。2020年7月配信開始。
 1990年に一度テレビドラマ化、(1995年には映画化)されており、そのリメイクにあたる。題名通りベビーシッターとして働く10代の少女たちの奮闘を描く。

 このドラマに因縁をつけたのは、ネット宣伝活動に注力する【韓国】の反日団体VANK(Voluntary Agency Network of Korea)である。報道によればVANKの言い分は「戦争を知らない子供らが日本を被害国と誤解する可能性が十分にある」というもので「戦犯国である日本の歴史に関する説明を追加するよう要求」したという。

 なぜか。問題視された箇所は第6話にある。
 本作ヒロインのひとりクラウディアの祖母が日系人であり、その過去について語られるくだりである。彼女は脳卒中で倒れ、言葉が不自由になってしまう。そしてリハビリ中に馬や家の絵を見ると取り乱した様子で、クラウディアにとっては意味が分からない「マンザナール」という言葉を繰り返す。
 その言葉の謎を教えてくれたのが、芸術家肌のクラウディアとふだん性格の合わない、理知的な姉のジャニーンであった。

ジャニーン「(おばあちゃんが)子供の頃に経験したことよ。最初の記憶なの。脳に損傷を受けた場合、古い記憶に簡単にアクセスできるようになることが……それでマンザナールの話を繰り返すの」
クラウディア「マンザナールってなあに?」
ジャニーン「真剣に話を聞いて!」
クラウディア「ナルニア国物語の願いが叶う場所?」
ジャニーン「収容所の名前よ」
クラウディア「……」
ジャニーン「5歳のときから家族と一緒に、3年間入ってた。第二次大戦中、日系アメリカ人は、アメリカ市民なのに国から敵国人とみなされたの。合衆国政府は彼らを連行して収容所に入れた。日本人だっていうだけで」
クラウディア「収容所のことは知ってる。でもミミ(祖母の愛称)が入れられてたなんて」
ジャニーン「聞かないかぎりは喋らない。一度聞いた」
クラウディア「ひどいところ?」
ジャニーン「最初は建物自体、出来てなかった。だから何か月も競馬場の馬小屋で寝たって」
クラウディア「馬……家……」
ジャニーン「そこではコートに番号の入ったタグをつけさせられた。食事は酷くて、腐ってたり凍ってたり。ソーセージとか缶詰のフルーツ……桃よ。針金で囲まれて、見張りがいて、いつまで続くのかもわからない」
クラウディア「じゃあミミは最悪の記憶に閉じ込められてるんだね」
ジャニーン「その状態かは分からない、でも良い徴候――自分を見つけつつあるの。もうすぐ戻ってくる、あんたのとこ」
クラウディア「そんな酷いことができたなんて信じられない」
ジャニーン「今でも、どこかで行われてる」

(日本語版音声書き起こし)

 むろんこれはアメリカ人である作者が、反省すべきだと考えた自国の歴史について物語に組み入れているものである。
 韓国とは直接関係がない別件であり、またこの件について強制収容された日系人たちが被害者であることも事実であろう。それに言及したことで「日本人は被害者」という印象を仮に視聴者が受けたとしても、それはそれである。
 韓国と日本の歴史――VANKの人々がそれをどういうものだと思っていようと――について「日本は被害者」と言っているわけでもなんでもない。
 もちろん、日本を加害者だという印象を強める描写を付け加えて「バランスをとる」必要などないことも当然である。

参考リンク・資料:

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