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 韓国の正式名称。
 かつて韓国では、日本製のものは楽曲やドラマなどあらゆるジャンルで法的に制限されていた。
 1987年の万国著作権条約への韓国加盟、1998年10月の金大中大統領による「日本の大衆文化解禁の方針」が発せられて以降、徐々に緩和されて現在に至っているというのが実情である。
 そのため本物が入ってこないのをいいことに日本の漫画などの海賊版や盗作が横行していたという副作用もあり、作品によってはいまだに多くの人に韓国の作品だと信じられているものもあるようだ。
 しかしながら2010年代にあっても、ポップシンガーグループ・クレヨンポップの楽曲【Uh-ee】に日本語由来の歌詞が含まれるとして、韓国の公共放送KBSによって放送不適合とされたケースや。アニメ版『ヒカルの碁』が韓国で放送された際、平安時代日本の服装をしたキャラクターの服全体にぼかしが入るなど、特に戦争や戦前がらみでない日本文化の表現でもタブー視される傾向は根強い。

 現在においても、在日韓国人に対する差別問題など幾つもの要素に韓国は絡んできており、日本の表現規制と関係の深い国だが、ここでは概略のみ述べる。
 なお便宜上、項目を国名で記したが、韓国政府に限らず人権団体や個人によるクレームなど弾圧行為の主体はさまざまであり、また在日韓国・朝鮮人の中には現在の北朝鮮にあたる地域出身の人も含まれる場合があることに留意されたい。

 まず日本国内の表現物については、以下の3種類に対する攻撃という形でかかわることが多い。

1:在日韓国・朝鮮人や朝鮮文化に対する差別表現やヘイトスピーチ
 こうした差別表現については、言い掛かりでない場合には正当性を持つケースがあることは否定できない。特に差別表現を超えた、デマに類するものの真相を告知してくれる場合には大きな価値があると言えるだろう。
 一方で差別でも何でもない表現に対する過剰反応や、抗議に伴う違法行為などの問題を孕む場合も、それが女性差別・黒人差別等にもあまねく内在する問題であることに留意すべきである。しかし逆に【C95貼り紙捏造事件】のように、差別表現そのものが捏造であったりする場合もある。
 ネット以前には韓国・朝鮮にかかわる表現問題はこの1の種類のものが基本であり、人権団体などを通すのが通例であったが、ネットの発達により下記2・3が増え、表現弾圧のケースが多様化していると考えられる。

2:戦前、戦中の日本を想起させる表現
【旭日旗】(に見える模様)へのクレームが典型である。民間のクレームを超えた政府間問題になっていることも多い。
 他にSNS上の攻撃としては、週刊少年ジャンプに連載されている漫画『僕のヒーローアカデミア』に対するキャラクター名に対する攻撃が例として挙げられる。
 これは「志賀丸太」という名前のキャラクターに対して、これを人体実験で有名な旧日本軍の関東軍「731部隊」に結び付け、同隊が死体のことを呼んでいた隠語に由来すると決め付け、キャラクター名の差替え・謝罪に追い込んだケースである。

3:性表現・女性についての表現
 本来、韓国は日本に比べれば性表現規制の厳しい国(というより日本より自由な国は少ない)であるのに加え、近年では国内で【メガリア】などの過激フェミニズムが勢力を伸ばしている。
 彼(女)らがSNSなどを通して日本のコンテンツに対してまで攻撃を行うケースがある。ハッシュタグを共有するハングル名アカウントが大量出現するという行動パターンのため、比較的分かりやすい。ハッシュタグ【#スーパー戦隊を子供に返せ】などが好例である。
 他にも『プリティーオールフレンズ』や『HUGっと!プリキュア』の【抱き枕】へのバッシングについても彼女らの加勢があった。『HUGっと!プリキュア』の抱き枕は無事発売され直ちに完売したが、『プリティーオールフレンズ』のものは発売中止に追い込まれる被害があった。


韓国・朝鮮側の表現物に対する弾圧
 上記の3種は「韓国側が加害者・日本側が被害者」というタイプの表現弾圧の例であるが、逆の場合も忘れてはならない。
 特に表現物が第二次世界大戦以前の日本または日韓関係に関わるものである場合、上記2の逆転バージョンとも言えるケースが散見される。
 典型的には2018年11月、韓国の音楽グループ「防弾少年団」(略称BTS)が日本のテレビ朝日『ミュージック・ステーション』から異例の前日キャンセルを受けたケースがある。BTSメンバーが私用で着たことがあるTシャツに、原爆のキノコ雲の写真がプリントされていたということが騒動になっていたためである。
 過激なものでは、一部の右翼勢力が交通案内などのハングルの注意書きを不快だとして追放しようとして、ヘイトデモなどを行うこともある。

反転可能性テストのための用途
 韓国では反日運動も根強く、しばしば日本に対する憎悪を非常に侮蔑的、または過激に表現する。
 日本のリベラル系規制派(例えばフェミニスト)は韓国側のこのような反日表現に党派的に肩入れしているため、擁護しなければならず矛盾が生じる場合がある。
 たとえば児童型【ラブドール】を「このような人形は女児に対する『ヘイト』なので許されない」とバッシングするフェミニストは、日本の安倍首相の人形を作って抗議デモで焼くようなまさに「ヘイト」な人形の使用法についても批判するべきであるし、論理的には両方を批判すれば良いはずである。が、党派的にフェミニズムはリベラルに属するためにできないのである。
 このような矛盾を突くための例示に韓国側からの日本へのヘイト表現を例示するのは有用である。

 また、リベラル系規制派が「不快な人がいるのだからこの表現を排除すべき」と唱えた時、先述のハングル文字による交通案内に反対するヘイトデモなどを例に挙げ「ではハングルも日本から追放することになりますが?」と持ちだすこともできる。
 リベラルはこれも肯定できず、詰むことになる。

 親愛なるわれらが隣国には、このように意外と使い道がある。
 逆に表現規制反対派としては「好きな表現には広範な自由を認めながら、韓国側の反日表現を認めない」ような矛盾に陥らないよう自戒する必要がある。


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