[読書メモ][Kinde]『脱社畜の働き方』(日野瑛太郎)

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日本の職場が必要以上に息苦しいのは、「精神的脱社畜」をしている人が少ないからだと僕は考えている。それゆえ、「おかしい」ことを「おかしい」と言えず、職場にはびこる同調圧力によって終わりのない我慢大会が開催される。

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理不尽なことを耐え続けているうちに、いつしか「仕事とは、理不尽なことに耐えることだ」という認識に変わってしまう人もいる。給料は、そういった理不尽なことに耐えた対価、つまり「我慢料」であり、給料をもらうために我慢をするのはしかたがないことなんだ、という気持ちで働くようになってしまうのだ。

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タダ働きさせることは窃盗と変わらない

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世間では「サービス残業」を、重大な犯罪だと捉えている人は決して多くはない。

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基本的には専門家に相談するべきである。

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残業代の請求をする上で、最も重要なのが「証拠」をしっかりと集めることだ。サービス残業させられている、と思ったらまずはその事実を客観的に証明できるものを集めよう。

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会社側が「社会人」という言葉を持ち出す時は、基本的に会社に都合のいいように、言われるがままに振る舞ってほしい時である。つまり、そういう場合の「社会人」というのはずばり「社畜」のことを指す。/会社で「社会人」を使ったテンプレート表現が出てきた時は、「社会人」を「社畜」に置き換えて意味を取り直してみよう。それが、会社の本音である。

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残業という手段を使えば使うほど、生産性はどんどん落ちていく。

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仕事はなるべくつらくない、残業が少なく早く家に帰れるようなものを選んで、余った時間を使って自分のやりたいことを思いっきりやる、といったような自己実現の形も当然認められていいはずだ。

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「成長したい」と思っている人は、成長の結果どこにたどり着こうとしているのかを一度しっかり考えてみてはどうだろうか。目的を定めずに、ただ成長、成長とだけ言っていても、それではいつまでたっても成長することはできないと思う。

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その会社の中でしか通用しないような技術を必死に身につけたり、会社の外では役に立つことのない人脈を一生懸命築いたりしても、それにはあまり意味がない。

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「逃げる」という行動を無責任だと言う人がいるけど、僕はむしろ他人に対して「絶対に逃げるな」と言う方がよっぽど無責任だと思う。/その言葉に従って自分を限界まで追い込んだ結果、その人が壊れてしまったとしたら、「絶対に逃げるな」と言った人は果たして責任が取れるのだろうか。

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「何でも他人のせいにする人」はダメな人だと言われることが多いけど、会社における仕事に関して言えば、自分のコントロールが及ぶ事項は少ないのだから、もっと環境や他人のせいにしてもいいと思う。

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ピーター・ドラッカーの言葉に、「最初の仕事はくじ引きである」というものがあるけど、これはもう本当にそのとおりだと思う。運がいい人は最初から当たりくじを引くことができるかもしれないけど、そうでない人だってたくさんいる。

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就職はどうせくじ引き、うまくいかないことも当然ある。

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時給を高くするために僕が心がけていたのは、「仕事をすばやく片付けること」と、「家で仕事のことを考えないこと」の二点だ。

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そもそも、家では家で考えることが別にあれば、会社のことなんて考えるような余地はなくなる。そのためには、家では会社と全然関係ない、自分のための仕事をしてみるというのがいい。これを僕は「プライベートプロジェクト」と呼んでいる。

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東大は一学年に大体三千人ぐらい学生がいるので、それだけ多くの人がいれば自分と同じような趣味を持つ人もさすがに何人かはいる。

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当然ながら、人事は会社側の人間であり、会社について悪いことは言わない。会社についてバイアスがかかっていない情報を入手したいなら、人事経由でないルートから情報を取得するようにしなければダメだ。

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たまたまとんでもない会社に入ってしまったというだけなのだろうと思い、転職を試みようとしたこともあるのだけれど、どうもほかの人の話などを聞いていると、日本の会社はどこも大体同じような感じらしい。むしろ、お前の会社はかなりいいほうだ、とまで言われて、僕は初めて社会に絶望したものだ。/毎日、満員電車に乗って荷物のように会社まで「運搬」されながら、僕は心の中で何度も何度も呟いた。「こんなの絶対間違ってる」と。

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会社への不満は募る一方だったのだけど、それでも適当に誤魔化しながら働いていると、一年ぐらいはあっという間に過ぎてしまった。僕はすっかり会社員になってしまった自分に絶望していたが、ではこの状況を打開するための具体的な策を打つことができるほどの気力があったのかというと、それもないのだった。

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「どんなマイノリティな思想でも、ネットで情報発信をしていれば仲間が見つけられる」

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本当に会社を辞めるかどうかは置いておいて、副収入があると「いざとなれば辞めても大丈夫だ」と思えるようになって、会社での仕事も精神的にだいぶ楽になる。環境が許すのであれば、何でもいいから会社とは関係ないところで、プライベートプロジェクトに取り組んでみることをお勧めしたい。プライベートプロジェクトをやるだけなら、何らリスクはないからだ。

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起業は一種の中毒みたいなところがあって、一度面白さを知ってしまうと、気づけばまた何か新しい会社をやりたくなっている。

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プライベートプロジェクトというのは、会社と関係ないところ、すなわち自分のプライベートでお金を稼ぐために行うプロジェクトのことである。

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プライベートプロジェクトには、金銭的にだけでなく、精神的にもだいぶ助けられた。収入を会社だけに依存しなくなったので、「この会社をクビになったら、生きていけない」という気持ちが完全になくなったし、会社で嫌なことがあっても、しょせん複数の仕事のうちの一つにすぎないので、あんまり深刻に考えないようになった。そうやって、「会社における労働」を相対化するのに、プライベートプロジェクトはとても役にたったと思う。

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インターネットがなかったら、個人がこんなにも簡単に自分のビジネスをはじめることはできなかっただろう。

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本業で身につくスキルが市場価値の少ない、会社にベッタリ依存したものだったとしても、こうやってプライベートプロジェクトで専門的なスキルを身につければ、それを利用して転職することだって可能かもしれない。

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プライベートプロジェクトをはじめたいという人は、とりあえずは自分の得意なことを、なんとかお金に変える方法はないかという思考から出発するといいと思う。あんまり好きでもないことをやっても普通は続かない。

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プログラミングは、独学が効きやすい分野なので、大学や専門学校に通わなければ身につかないということは全然ない。

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受託開発のようなものは原則的にしないほうがいいと思う。プライベートプロジェクトの最大の利点は、自分が100%のオーナーシップを持って、やりたいことをやりたいようにできるというところにある。受託開発をしてしまうと、この利点が脅かされる。

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オーナーシップがない状態の労働をいくら増やしても、「会社での仕事」を相対化することはできない。

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ブログやサイトを持っていることでマイナスになることは基本的にはないので、稼ぐか稼がないかは別として、とりあえず一つぐらいは自分のブログやサイトを持っているといろいろ便利だと思う。

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プライベートプロジェクトを成功に導くコツがあるとしたら、それは非常にシンプルなものだ。プロジェクトを「やめない」ことである。

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読書が趣味の人もいれば、働くのが趣味だという人もいる。ただそれだけの問題になる。そして重要なことは、働くという趣味を持っている人が、働くという趣味を持たない人に比べて偉いとか立派であるとかいうようなことは、全然ないということだ。

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(余談だけど、現在憲法にこの手の労働に関する義務規定を置いている国は、日本のほかには北朝鮮しかない)。

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生きるために働く時間が少なくなって、働くことがほとんど趣味の一種として捉えられるようになれば、現代日本に蔓延しているような「働くことに伴う苦しみ」もどんどんなくなっていくだろう。

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人の価値を「職業」によって評価しようとする人達がいる。

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人間の価値を評価するための絶対的な方法なんて存在するはずがない。


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