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キャリア5年目のWebディレクターが振り返る、若手ディレクターが注意すべき10のポイント

2014年にWebディレクターとしてキャリアをスタートし、もう5年が経った。大学時代が農学部で黒毛和牛の研究をしており、Web業界からは非常に遠い生活を送っていた私が5年間キャリアを過ごした中で学んだポイントを、若手ディレクターの目線で整理してみようと思う。一部賛否が分かれる内容もあるかもしれない。顧客ディレクションと制作ディレクションに分けて整理してみる。

顧客ディレクション
1.愛嬌でごまかさずに、堂々と振るまう
2.些細なミスに対して、過剰に謝らない
3.ワイヤーフレームの説明は超絶丁寧にやる
4.実装フェーズに入っても、たまには打ち合わせをする
5.お客様を満足させることだけに走らない
制作ディレクション
1.提案書は、上っ面なフレームワークでごまかさない
2.制作スタッフへのオリエンで、いきなり制作の話をしない
3.デザインディレクションは意図をすり合わせる
4.具体的なアイディアを出しすぎない
5.感謝とリスペクトはしっかり伝える
顧客ディレクション

1.愛嬌でごまかさず、堂々とする
確かに新人ならではの武器ではあるが、これに頼りすぎると2、3年目に辛い思いをするだろう。使える武器は、最大限活用すべきという人もいるかもしれない。しかし、愛嬌に頼ることは、自分のハードルを下げることにつながる。私は幸い?、実年齢よりも年上に見られることしかなかったため、虚勢を張ってでも自信を持ってお客様と向き合ってきた。そのように自分を追い込むこれで、鍛えられた部分は多いだろう。あとは、ただの感情論なのだが、愛嬌でごまかしてのは、カッコ悪い行為だと私は感じる。

2.些細なミスに対して過剰に謝らない
私もやりがちだったのだが、とても大切なことである。ミスの影響範囲を冷静にジャッジし、適切な温度感で謝るべきだ。ここで過剰に誤ってしまうと、奴隷体質に染まっていくように思う。また精神衛生上も良くはない。ただ別な見方をすると、とことん下手に出ることもそれはそれで楽だったりもする。なぜならその後は、お客様の要望にガッツと体力で答えていけば、納品に至ることは可能だからだ。はたしてそれで良いのだろうか?よく考えてみるべきだ。勘違いしないで欲しいのだが、ミスに対しては真摯に向き合い、改善策を考えるのはマストの行動である。

3.ワイヤーフレームの説明は超絶丁寧にやる
最終的な品質を担保するためには、絶対に必要な対応である。ついつい形骸化しがちだが、ワイヤーフレームで情報を丁寧に整理し、お客様と認識を共有しておかなければ、デザイン制作フェーズでお客様からの修正依頼がかさみ、消耗戦になりがちだろう。お客様によっては、そんなの見てもよくわからないよと言う方がいるかもしれない。それを回避するには、プロジェクト開始の段階で、プロジェクトの進め方を丁寧に説明し、ワイヤーフレームの重要性を説いておくとしっかりと確認してくださると思う。

4.実装フェーズに入ってもたまには打ち合わせをする
ひとつのプロジェクトだけを担当するというWebディレクターは多くはないだろう。複数のプロジェクトを担当するのがほとんどである。実装フェーズに入った後はフロントエンドエンジニアに任せて、別プロジェクトに注力しがちではないだろうか?しかし、人は時間が空いしまうと、心理的に距離ができる。Web制作においてテスト環境の確認が一発でOKになることは、現実的にほとんどないのではないか。少なからず些細なミスは発生してしまう。その際、少しのミスであっても不信感をいだかれてしまうということがよく発生するように思う。

5. お客様を満足させることだけに走らない
念のため誤解がないように言っておくが、お客様に満足してもらうのは当たり前である。しかしそのプロセスが重要なのである。極論を言ってしまえば、お客様の要望にガッツと体力で対応しきってしまえば、ほぼ100%納品には至る。前述したようにそれはそれで楽なのだ。私も、最近になり体験したことではあるのだが、ユーザーにとって最適な体験を提供することにとことん集中する。その結果、出来上がったものを、お客様に評価していただく。そのような対応をすることで、長期的な関係が築けるのだと思う。

制作ディレクション

1.提案書は、上っ面なフレームワークでごまかさない
私がまさにこれだった。例えば、カスタマージャーニーマップやコンセプトダイヤグラム、リボン型思考などちょっと本を読んだり、ググったりすると様々な方法を学ぶことができるだろう。しかし、私がやっていたのは、それらを使ってただ情報を整理しているにすぎなかった。半端な知識で、提案書を着飾るだけではダメなのだ。大切なのは、設計やデザイン、コンテンツ、機能など具体的なアイディアを出すことである。しかしながら、そのように着飾った提案書でも、お客様に採用されることも少なからずあったりはする。

2.制作スタッフへのオリエンで、いきなり制作の話をしない
経験が浅いうちは、いきなり制作について話はじめてしまいがちだ。そうではなく、ビジネスまたはキャンペーン施策の背景など、全体像から話していくことが大切だ。理由は2つある。ひとつ目は、フラットな状態を作るためだ。経験上、情報を共有し同じ目線になっていないと、ブラッシュアップしていく過程で食い違ってしまうからだ。ふたつ目は、アウトプットの幅が広げるためだ。デザイナーなりライターなり専門の職能の方々は、我々ディレクターよりも具体的なアイディアを考えられる。ディレクターの想像を超えるアウトプットが生まれる可能性が高まる。そして、想像を超えたアウトプットが出来上がる瞬間は、ディレクター冥利に尽きる。

3.デザインの確認は、見た目ではなく意図をすり合わせるべし
デザインがデザイナーから送られてくると、表面的なビジュアルに目が行きがちになる。それは当然のことだ。しかし、そこでいきなり気になる点を探していくのではなく、まずデザイナーからデザインの意図を共有してもらうのが大切だ。デザインの意図を理解せずにフィードバックと行ってしまうとデザイナーと食い違いが発生し、「あのデザイナーはあまり良くない」と軽率な判断をしてしまいがちだろう。

4.具体的なアイディアを出しすぎない
具体的なアイディアを考えなくても良いということではない。ここで言いたいのは、デザイナーたちの思考を狭めないということである。優秀なデザイナーであればそのようなことはないが、具体的なアイディアを出すとまんまその通りのアウトプットが出てくることもある。Webディレクターの役割は、アイディアの種をとにかくたくさん出して、デザイナーたちのアイディアの幅を広げることだと考える。

5.感謝とリスペクトはしっかり伝える
当たり前だがWebディレクターだけでは、Webサイトは完成しない。デザイナーやエンジニアらがいるからこそ、Webサイトは作られる。お客様からのサイト公開間際になっての大量の修正依頼など・・・ビジネスであるから、対応してくれないというのは決してないだろう。無理をしてもらった時は、丁寧に感謝を伝えよう。また、フィードバックする視点が強くなり意外に出来ていないのが、Goodなアウトプットに対しては、良いっすね!と伝えることだ。感謝を伝え、リスペクトを持って接することで、信頼できるチームができていくのだと思う。

なんてことない当たり前のようなことばかりかもしれないが、少なからず私は出来ていなかったことの方が多い。また、私自信もキャリア5年目とまだまだ経験は浅い。浅い今だからこそ、生の声を届けられるのではないのだろうか。この10ポイントを読んで、少しでも役に立ててもらえると嬉しい。

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