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ベトナム行政区分の基礎攻略

皆さんは「行政区分」をご存知でしょうか。

「当たり前でしょ!知っているよ」という人もいれば、日頃から意識したことがないので「何か聞いたことあるけど何だったっけ?」という方もいるでしょう。
私は日本の行政区分は理解していましたが、ベトナムとなると話は変わりました。というのも、様々な行政区分の説明を見ても、あまりピンとこなかったからです。
そこで、今回はベトナムの「行政区分」と「都市階級分類」をまとめました。今後、ベトナムに住む方やビジネスで進出する方、すでにベトナムに住んでいるけど理解していなかったと思えるように作りましたので、ぜひご参考にしてみて下さい。
「参考になった!」という方はぜひ「フォロー」と「いいね」を下さると嬉しいです。

そもそも行政区分ってなに?

簡潔に申し上げますと、「都道府県」や「市区町村」等に分けることです。
国は、国民や地域を管理し易いように、行政区分を敷いています。
まず日本で考えてみて下さい。
日本は、1道1都2府43県、つまり47都道府県に分類されます。
47つに分類されたエリアは、市区町村に分類されます。

県 ⇒ 市 ⇒ 区 ⇒ 町 や 村」といった具合です。
愛知県 / 名古屋市 / 緑区 / 大高町」のようになります。

区分されたエリアには県庁や市役所、区役所、町役場が配置されます。
これが行政区分上のエリアの分け方です。
難しくないですね。

日本人なら日本の行政区分は馴染みがあるはずです。それは住所です。
住所を見ると日本の行政区分がすぐにわかります。

ですが、ベトナムとなると私は少し混乱してしまいました。
そこで私が混乱したように、同じ体験をして欲しくはないので、皆さんにもできるだけわかりやすく、ベトナムの行政区分を説明します。

ベトナムの行政区分を説明する前に

当たり前のようにベトナムにも行政区分は存在します。
そこで皆さんにベトナムの行政区分を説明する前に、お約束してほしいことがあります。それはなにか?

日本の「都道府県と市区町村」という当たり前の常識をなくすことです。
つまり、
「県があって次に市が来て、区が来る」ということを一旦忘れて下さい。

それができたら次に進みましょう。

ベトナムの行政区分

ベトナムの行政区分は第一行政区第二行政区第三行政区に分かれます。
何となく、第一行政区は日本の県、第二行政区は市や区、第三行政区は町や村と思っていただければ大丈夫です。
あくまで「何となくそんな感じか」と思っておいて下さい。
では、順を追って説明します。

第一行政区:5つのThành phốと58つのTỉnh

ベトナムはまず、5つのThành phốと58つのTỉnhに分類されます。
「Tỉnhって何?Thành phốって何?」と思うかもしれません。

ですが、最初のお約束を思い出して下さい。
日本語に変えて理解しようとする、その雑念を頭の中から消して下さい。

あえて日本語にすると、「Tỉnh ≒ 省」「Thành phố ≒ 市」です。
しかし、それを意識するとこの後の行政区分がめちゃくちゃになってしまいます。

TỉnhはTỉnhですし、Thành phốはThành phố、
とにかく、ベトナムはまず、5つのThành phốと58つのTỉnhに分類されると認識していただけると良いです。

最初、私はこれを見た時、「5つと58つに分かれるって、5つに分かれた方は何か特別感があるなあ」と思いました。そうなんです。
この5つのエリアは特別で、国が直轄する特別市と呼ばれます。

この5つのThành phốは、
Thành phố Hà Nội(ハノイ)
Thành phố Hồ Chí Minh(ホーチミン)
Thành phố Hải Phòng(ハイフォン)
Thành phố Đà Nẵng(ダナン)
Thành phố Cần Thơ(カントー)

のことです。

「特別なエリア」と言えば何を思い浮かべますか?
「人が多そうだなあ」とか「土地代が高そうだなあ」とか、そういったイメージをしませんか?そのイメージで全然OKです。

第二行政区:Thành phố / Huyện / Quận

ベトナムは5つのThành phốと58つのTỉnhに区分された後、Thành phốとHuyệnとQuậnに区分されます。

日本で言う愛知県の後に、名古屋市や犬山市に分類されるのと同じです。
ここでお気づきになる方もいるでしょう。

なぜ、第一行政区にも第二行政区にも、Thành phố( ≒ 市)があるんだ?
ここが日本とベトナムの違うところです。

基本的に、第一行政区でTỉnhに入ったエリアは、次にThành phốに分類されます。
一方、第一行政区で特別にThành phốに分類されたエリアは、Quậnに分類されます。
※もちろん例外はあります。あくまでそういうイメージだと捉えて下さい。

具体的には次のようになります。
5つのThành phốの具体例
Thành phố Hà Nội / Quận Ba Đình(ハノイ市バーディン区)

58つのTỉnhの具体例
Tỉnh Bắc Ninh / Thành phố Bắc Ninh(バクニン省バクニン市)

つまり、第一行政区で5つのThành phốに分類された特別エリアには、都道府県にあたる省がないのです。

第三行政区:Thị trấn / Xã / Phường

ベトナムは、5つのThành phốと58つのTỉnhに区分された後、Thành phốとHuyệnとQuậnに区分され、その後、Thị trấnとXãとPhườnに区分されます。
日本でいうところの市および区の続きの住所の部分です。

具体的には次のようになります。

5つのThành phốの具体例
Thành phố Hà Nội / Quận Ba Đình / Phường Liễu Giai(ハノイ市バーディン区リュウジアイ地区)

58つのTỉnhの具体例
Tỉnh Bắc Ninh / Thành phố Bắc Ninh / Phường Võ Cường(バクニン省バクニン市ヴォクオン地区)

このように、ベトナムの行政区分はなされます。

県が存在しない特別エリアの市があるといった、日本と異なる部分がありましたね。少しは参考にはなりましたでしょうか。
では次に都市分類の説明に移ります。

ベトナムの都市分類

ここまでは行政区分のお話をしましたが、ベトナムの都市は6つに階級に分類されています。都市を6つに分類、つまり、ここからの話は「市」、Thành phốの話です。

Thành phốの6つの階級区分

ベトナムの都市は、特殊分類都市および第一分類〜第五分類都市の6つに階級区分されます。
ここでは特殊分類都市と第一分類都市に絞って説明します。

特殊分類都市(Đô thị loại đặc biệt)

日本語にすると、特殊型市街地や特殊分類都市と呼ばれるエリアですが、現在ここに分類される都市は、2つしかありません。
それは、ハノイ市とホーチミン市です。

ハノイ市とホーチミン市は、行政区分からも特別な市であり、都市階級分類においても、特殊と考えられています。
つまり、この2つのエリアは特殊かつ特別区域であるということです。

特殊分類都市(Đô thị loại đặc biệt)
Thành phố Hà Nội
Thành phố Hồ Chí Minh

第一分類都市(Đô thị loại I)

そうなると皆さんもお気づきかもしれませんが、

Thành phố Hải Phòng(ハイフォン)
Thành phố Đà Nẵng(ダナン)
Thành phố Cần Thơ(カントー)


の3つはどこの階級に分類されるのか?
それは第一分類都市になります。

以下、第一分類都市をまとめました。

第一分類都市(Đô thị loại I)
Thành phố Hải Phòng
Thành phố Đà Nẵng
Thành phố Cần Thơ
④Tỉnh Thái Nguyên の Thành phố Thái Nguyên
⑤Tỉnh Nam Định の  Thành phố Nam Định
⑥Tỉnh Phú Thọ の Thành phố Việt Trì
⑦Tỉnh Quảng Ninh の Thành phố Hạ Long
⑧Tỉnh Bắc Ninh の Thành phố Bắc Ninh
⑨Tỉnh Hải Dương の Thành phố Hải Dương
⑩Tỉnh Thanh Hóa の Thành phố Thanh Hóa
⑪Tỉnh Nghệ An の Thành phố Vinh
⑫Tỉnh Thừa Thiên-Huế の Thành phố Huế
⑬Tỉnh Khánh Hòa の Thành phố Nha Trang
⑭Tỉnh Bình Đinh の Thành phố Quy Nhơn
⑮Tỉnh Đăk Lăk の Thành phố Buôn Ma Thuột
⑯Tỉnh Gia Lai の Thành phố Pleiku
⑰Tỉnh Lâm Đồng の Thành phố Đà Lạt
⑱Tỉnh Bà Rịa-Vũng Tàu の Thành phố Vũng Tàu
⑲Tỉnh Đồng Nai の Thành phố Biên Hòa
⑳Tỉnh Bình Dương の Thành phố Thủ Dầu Một
㉑Tỉnh Tiền Giang の Thành phố Mỹ Tho
㉒Tỉnh An Giang の Thành phố Long Xuyên

④〜㉒は、●●の●●といった具合にまとめました。

Tỉnh Thái Nguyên の Thành phố Thái Nguyên
タイグエン省のタイグエン市
のように見ます。
愛知県の名古屋市、みたいなイメージです。

これらの都市は、ベトナム国内でも人口がいて、観光客も訪れたり、生活面でもある程度は便利に過ごすことができるというエリアになります。

つまり、日本からベトナムへの進出を考えた場合、行政区分を理解した上で、ハノイ市またはホーチミン市、または、第一分類に指定される都市のいずれかであれば、現実的に生計を成り立たせることができる可能性があるという認識ができるわけです。

いかがでしたでしょうか。
少しわかりにくい各国の行政区分の一つ、ベトナムの行政区分基礎攻略を今回ご説明させていただきました。
皆さんのベトナムライフの参考にしてもらえたら幸いです。

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